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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

新型コロナウイルス感染症対策に係る特別利子補給の益金算入時期等について

【質問】

 A社は、新型コロナウイルス感染症対策として中小企業基盤整備機構(以下「機構」といいます。)の「特別利子補給制度」の適用申請を行い、利子補給(この補給金を、以下「助成金」といいます。)を受けることとなりました。
 この場合、支払利息は毎月金融機関へ支払うこととなりますが、助成金は、借入れ当初に、以後3年分の利子補給として一括支給されます。
 この場合の助成金の益金算入時期、支払利息の損金算入時期はいつになるのでしょうか。

【回答】

1 「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」について
  「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、一定の要件に該当する場合、当初3年間、4,000万円を限度として、災害発生時の融資制度に適用される利率から0.9パーセント低減した利率が適用されるという日本政策金融公庫の制度ですが、この融資後は、当然元本を利息も含めて同公庫に返済することになります。
  しかし、この低減した利率の利息部分については、「機構」が、借入者へ3年間分の利子相当額を一括で助成する「特別利子補給制度」を実施していますから、この利子補給(助成金)を受けることで、当初の3年間は実質的に上記の特別貸付が無利子で利用できることになります。なお、「特別利子補給制度」は、新型コロナウイルス感染症特別貸付を受けている者が、中小企業者であれば、一定期間の売上高が20パーセント以上減少した場合に、その要件に該当することになります(日本政策金融公庫「『新型コロナウイルス感染症特別貸付』と『特別利子補給制度』の併用による実質的な無利子化融資のご案内」より)。
  ただし、交付された「助成金」(利子補給額)と金融機関に支払った利子額に差が生じている場合には、追加交付または「助成金」の返納により、これを精算することになりますので注意が必要です(中小企業基盤整備機構「新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度特別利子補給助成金の申請に関するご案内」より)。
2 「助成金」の益金算入時期について
(1)ある収益をどの事業年度に計上すべきかは、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従うべきであり、これによれば、収益は、その実現があった時、すなわち、その収入すべき権利が確定したときの属する年度の益金に計上すべきものと解されます。ただし、ここでいう権利の確定とは、権利の発生と同一ではなく、権利発生後一定の事情が加わって権利実現の可能性を客観的に認識することができるようになることを意味するものであり、各権利の内容や性質ごとに具体的な事情を考慮して個別に検討すべきものと考えられます(「権利確定主義」。最高裁平成5年11月25日第一小法廷判決・民集47巻9号5278頁参照)。
(2)一方、法人が、資産の販売等に係る取引を開始するに際して、相手方から中途解約のいかんにかかわらず取引の開始当初から返金が不要な支払を受ける場合には、原則としてその取引の開始の日の属する事業年度の益金の額に算入する(法基通2-1-40の2)取扱いとされています。
(3)そうすると、「助成金」が、「返金不要の支払」といえるかどうかが問題となりますが、上記1のとおり、交付した助成金と実際に支払った利子額に差異があった場合は、助成金の返金や追加交付の手続きがありますから、「助成金」は、「返金不要の支払」とはいえないと考えられます。
   したがって、当期の支払利息に対応する「助成金」は「利子補給収入」として益金算入しますが、その余の部分は確定していませんので、「前受金」として負債計上することになると考えられます。
     現預金  ×× / 前受金         ××
             / 利子補給(助成金)収入 ××
   なお、この翌期以降は、「前受金」のうち、その期の支払利息に対応する部分を「利子補給収入」として益金算入することになると考えられます。
     前受金  ×× / 利子補給(助成金)収入 ××
3 支払利息の損金算入時期について
  支払利息は、毎月金融機関へ支払うこととなるとのことです。
  したがって、そうであれば、当期に支払期限の到来した支払利息について、損金算入することになります。
     支払利息 ×× / 現預金 ××
  そして、翌期以降も、同様の処理を行うことになると考えます。
4 まとめ
  上記2、3のとおり、特別利子補給制度を利用した場合には、利子補給(助成金)収入も支払利息も、結局その期に対応する金額が、益金及び損金の額に算入されることになると考えられます。
  そうすると、特別利子補給を受けた法人は、融資期間の当初3年間に限り、融資当初に3年分の利子補給の支払を受けることになりますが、3年後に精算する時点で利子補給の助成金が確定することになります。仮に、当初の融資契約とおりであれば、3年分の一括利子補給(助成金)は、実質的に3年分の支払利息と相殺されて損益は生じないことになります。

【収録日】

令和 2年10月26日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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