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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

事前確定届出給与の損金算入の可否

【質問】

 当社は、製造業を営む3月決算期(以下単に「3月期」という。)の同族会社(資本金3千万円)です。
 従前は、事業年度終了後に利益処分による役員賞与を支給しておりましたが、最近の会社法や法人税法の改正を考慮し、平成19年3月期から事業年度の途中である年末賞与(12月)1回のみの支給に変更しました。
 平成19年3月期に係る現在までの経緯としましては、同18年5月の株主総会の直後に所轄税務署長に対し「事前確定届出給与に関する届出書」を提出し、その届け出は上記のとおり同18年12月支給の役員賞与1回分の届け出をしました。
 ところが、平成19年3月期は、得意先の拡大もあり業績が極めて良好でしたので、同19年5月に全社的に臨時賞与を支給する(同19年3月時点で在籍する全役員及び全社員を対象)こととなりました。
 以上の場合の、役員賞与の損金算入の可否についてご教示ください。

【回答】

1 法人税法上、従前の役員賞与の損金不算入の規定(旧法人税法35条)は、平成18年度の税制改正により削除されました。
  新たに、同年度の法人税法の改正により「役員給与の損金不算入」の規定(新法人税法34条)が創設され、同18年4月1日以後開始する事業年度に係る役員給与について、損金に算入されるものは〔1〕「定期同額給与」、〔2〕「事前確定届出給与」、〔3〕「利益連動給与」の三つに整理されました。
2 ところで、法人税法上、「事前確定届出給与」として損金の額に算入される役員給与は、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給するものとして所轄税務署長に届出が行われ、その定めのとおりに支給されたものとなります。
  したがって、本件の平成18年12月支給の役員賞与については、社内において、役員報酬規定や役員賞与規定等により予め定められた支給額について、同18年5月の株主総会等により決議され、その株主総会の直後に所轄税務署長に対し「事前確定届出給与に関する届出書」を提出したということですから、法人税法上の事前確定届出給与に該当し損金算入が認められると考えられます。
3 次に、平成19年5月支給の臨時賞与については、上記1に掲げる損金に算入される役員給与のいずれにも該当しないことから、この金額については、損金に算入されません。
  なお、同18年12月に支給した役員賞与については、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づき「事前確定届出給与」として、所轄税務署長に対しての届け出が行われており、かつ、そのとおりに支給されていますので損金算入することに特に影響を与えるものではないと考えます。

【関連情報】

《法令等》

旧法人税法35条
新法人税法34条

【収録日】

平成19年 7月 5日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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