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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

中古で取得した工場について資本的支出をした場合の耐用年数について

【質問】

 金属製品の製造業を営むA社では、従来の工場では手狭になったため、この度、中古の工場を取得することとなりました。取得価額は、1,000万円であり、A社の製造事業の用に供するために改修費用(全て資本的支出に該当するものと判断しています。)として400万円を投じています。当該工場は、20年前に建設された建物であり、法定耐用年数は31年、この建物を現在、新築するとした場合の建設費は、3,500万円程度と見込まれます。また、この工場については、今後、A社の製造工程において必要が生じた場合は、更なる大規模な改修を行うことも予定しています。
 このような中古資産については、その取得時及びその後の資本的支出に応じて適用される耐用年数の取扱いが変わってくるようですが、当該工場に適用される耐用年数について、今後、大規模改修を行った場合の取扱いも含め、ご教示ください。

【回答】

1 法人が中古資産を取得しこれを事業の用に供した場合には、事業の用に供した時以後の使用可能期間を見積り、これを耐用年数とすることが認められている(耐用年数省令3〔1〕一)ほか、使用可能期間の見積りが困難な場合には、下記により計算した年数を残存耐用年数とすることが認められています(簡便法:耐用年数省令3〔1〕二)。
  なお、この計算により算出した見積耐用年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年となります。
 (1)法定耐用年数の全部を経過したもの
    法定耐用年数×0.2=耐用年数
 (2)法定耐用年数の一部を経過したもの
    (法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×0.2)=耐用年数
  ただし、この簡便法による計算は、その中古資産を事業の用に供するに当たって支出した資本的支出の金額が、当該中古資産の取得価額の50パーセント相当額を超える場合には適用が認められないこととされています(耐用年数省令3〔1〕ただし書)。
  また、法人が中古資産を取得した場合において、当該減価償却資産を事業の用に供するに当たって支出した資本的支出の金額が当該減価償却資産の再取得価額の50パーセントに相当する金額を超えるときは、当該減価償却資産については、新品と同様に扱い、別表第一等に定める法定耐用年数によることとされています(耐通1-5-2)。この再取得価額とは、当該建物と同一の建物を新築するものと仮定した場合の取得価額をいうものと解されます(措置法通達64(2)-5(注)1)。
  お尋ねの事例では、当該工場を事業の用に供するに当たって支出した資本的支出の金額は、400万円であり、当該工場の再取得価額と見積もられる3,500万円の50パーセント相当額の1,750万円を超えていませんので、法定耐用年数によらず、省令に規定する見積耐用年数又は簡便法による耐用年数の適用が認められます。
  また、当該資本的支出の金額400万円は、当該建物の取得価額1,000万円の50パーセント相当額の500万円も超えていませんので、簡便法の適用が可能となります。その場合の耐用年数の具体的な計算は、次のとおりとなります。
  (法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×0.2)=(31年-20年)+20年×0.2=15年
2 次に、法人が見積法又は簡便法により算定した耐用年数により減価償却を行っている中古資産につき、事業の用に供した後の各事業年度において資本的支出を行った場合で、一の計画に基づいて支出した資本的支出の金額の合計額又は当該各事業年度中に支出した資本的支出の金額の合計額が当該減価償却資産の再取得価額の50パーセントに相当する金額を超えるときは、耐用年数通達1-5-2の取扱いを準用し、その資産はもはや中古資産ではなく新品と同様に取り扱うこととされ、本体の減価償却資産と追加取得の資本的支出のいずれについても、その後は別表第一等に定める法定耐用年数を適用することとされています(耐通1-5-3)。
  したがいまして、今後、お尋ねの工場について資本的支出に該当する大規模な改修を行うこととなり、当該資本的支出の金額が、その時点の再取得価額の50パーセント相当額を超えた場合には、この通達の適用により、その資本的支出をした後の減価償却は、当該工場本体及び追加取得の資本的支出のいずれについても、法定耐用年数である31年を適用することとなります。
  一方、当該資本的支出の金額が、その時点の再取得価額の50パーセント相当額を超えない場合には、この通達の適用はありませんので、資本的支出に適用される耐用年数の通常の取扱い(耐通1-1-2)にしたがい、省令に定める耐用年数(省令3条に規定する中古資産の見積耐用年数も含まれるものと解されます。)を適用している減価償却資産について資本的支出をした場合には、その資本的支出に係る部分の減価償却資産についても、現に適用している耐用年数により償却限度額を計算することとされていますので、取得時に上記の簡便法を適用した場合には、当該工場に現に適用している15年の耐用年数が適用できることとなります。

【関連情報】

《法令等》

耐用年数省令3条
耐用年数通達1-1-2
耐用年数通達1-5-2
耐用年数通達1-5-3
租税特別措置法通達64(2)-5

【収録日】

令和 2年 8月14日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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