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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

固定資産を取得した後に国庫補助金等の交付を受けた場合の所得税法第42条の適用の可否等について

【質問】

 私は、平成26年3月に国庫補助金等の交付対象とされている機械設備(耐用年数10年)を480万円で取得して事業の用に供していますが、平成27年1月に国庫補助金等として60万円(以下「本件補助金」といいます。)の交付を受けました。
 この本件補助金は、総収入金額不算入とすることができますか。

【回答】

 あなたが平成27年に交付を受けた本件補助金については、平成27年分の総収入金額不算入とされることになります。
 ただし、その額は一定の調整を行った後の金額(55万円)とされることになるものと考えられます。

【関連情報】

《法令等》

所得税法42条1項
所得税法43条2項
所得税法施行令91条
所得税法施行令134条1項2号イ
《参 考》 平成22年2月9日付東京国税局審理課長名による文書回答事例 「個人事業者が、固定資産を取得した後で国庫補助金等の交付を受ける場合の課税上の取扱いについて」

【解説】

1 所得税法第42条第1項は、「国庫補助金等の交付を受け、その年においてその国庫補助金等をもってその交付の目的に適合した固定資産の取得等をして、その年12月31日までに国庫補助金等の返還を要しないことが確定した場合には、国庫補助金等のうちその固定資産の取得等に充てた部分の金額に相当する金額を総収入金額に算入しない」旨規定していますので、国庫補助金等の交付対象とされる固定資産を取得した後に国庫補助金等の交付を受けた場合には、文理上、同条の適用対象とはされないのではと思料されるところです。
  しかし、所得税法第42条の規定は、国庫補助金等の受入れに伴って課税利益が生ずるとした場合には、その国庫補助金等によって取得を予定された資産の取得資金が税の額だけ不足することで、その取得ができなくなる可能性を回避するための調整手段として設けられた制度である旨説明されていますので(DHCコンメンタール所得税法第3巻3462頁参照)、国庫補助金等の交付対象とされる固定資産を取得した後に国庫補助金等の交付を受けた場合であっても、同条の適用を受けることはできるものと解するのが相当と思料されます。
2 この場合、国庫補助金等の交付対象とされる固定資産を取得した年分においては、国庫補助金等の交付は受けていませんので、同年分において所得税法第42条第1項の適用を受けることはできず、その減価償却費の計算は通常どおり行うことになりますが、国庫補助金等の交付を実際に受けた年分以後の各種所得の計算における調整についてはどのように行うのかが問題となります。
  この点において、所得税法第42条には、その調整規定は何ら設けられていませんが、同法第43条には、国庫補助金の交付があった年以後の年において国庫補助金等の返還を要しないことが確定した場合の総収入金額及び減価償却費の調整について規定していますので、同条に準じて次のように計算するのが合理的と考えられます。
(1)固定資産の取得をした年
   固定資産の取得に要した金額を基に減価償却費の計算を行います。
(2)国庫補助金等の交付があった年
  イ 総収入金額に算入する部分

                                
                 国庫補助金等の交付を受けた日にお
                 ける当該固定資産に係る未償却残高
   国庫補助金等-国庫補助金等×――――――――――――――――
                 当該固定資産の取得に要した金額

  ロ 固定資産の取得価額及び未償却残高について、次の調整を行います。
  (イ)固定資産の取得価額
     固定資産の取得価額=固定資産の取得に要した金額-国庫補助金等
  (ロ)国庫補助金等の交付を受けた日における固定資産の未償却残高から
     次の金額を控除した金額を調整後の未償却残高として減価償却費等
     の額を計算します。

            国庫補助金等の交付を受けた日における
            当該固定資産に係る未償却残高
   国庫補助金等 × ―――――――――――――――――――
            当該固定資産の取得に要した金額

3 ご質問の機械設備について、上記2の算式に当てはめた場合、次のようになるものと解されます。
 なお、償却方法は定額法(償却率0.1)によっています。
(1)平成26年分
  イ 減価償却費40万円
    480万円×0.1×10月/12月=40万円
  ロ 未償却残高440万円
    480万円-40万円=440万円
(2)平成27年分
  イ 総収入金額に不算入とされる本件補助金の額55万円
    本件補助金60万円×440万円/480万円=55万円
  ロ 総収入金額に算入される本件補助金の額5万円
    本件補助金60万円-上記イの額55万円=5万円
   (注)この5万円は、上記(1)で本件補助金を控除しないで計算した減価償却費の過大部分を取り戻して課税される部分と考えられます。
  ハ 調整後の取得価額420万円
    480万円-60万円=420万円
  ニ 減価償却費42万円
    420万円×0.1=42万円
  ホ 調整後の未償却残高385万円
    440万円-55万円=385万円
  へ 本年分の未償却残高343万円
    385万円-42万円=343万円
(3)平成35年分(平成28年分から34年分については省略)
  イ 減価償却費42万円
    420万円×0.1=42万円
  ロ 未償却残高7万円
    前年末未償却残高49万円{343万円-償却額累計294万円(42万円×7年)}-42万円=7万円
(4)平成36年分
  イ 減価償却費69,999円
    420万円×0.1×2月/12月=7万円(所得税法施行令第134条第1項第2号イを適用して1円を控除した額69,999円)
  ロ 未償却残高1円(70,000円-69,999円)

【収録日】

平成27年 5月30日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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