《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
棚卸資産である土地に係る造成費用の高額特定資産該当性
【質問】
不動産業者が販売の予定で取得した土地に係る開発申請費、土地造成費、登記費用等の費用は、高額特定資産に該当するでしょうか。
【回答】
〔1〕消費税法第12条の4第1項に規定する高額特定資産には一の資産の課税仕入れに係る税抜支払対価の額が1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産が該当し、また自己建設高額特定資産にはその建設等に要した課税仕入れに係る原材料及び経費に係る税抜支払対価の額の合計額1,000万円以上であるものが該当します。 この場合の棚卸資産には、商品又は製品、半製品、仕掛品(半成工事を含む。)、主要原材料、補助原材料、消耗品で貯蔵中のものその他これらの資産に準ずるものが該当しますが、調整対象固定資産の場合のように資本的支出を対象とする取扱いにはなっていません。もっとも、調整対象固定資産に関しても、消費税法施行令5条に掲げる資産以外の資産に係る資本的支出、例えば、土地に係る資本的支出である土地の造成費、改良費等については、それらを調整対象固定資産としては取り扱わないこととされています。〔2〕もともと、高額特定資産の仕入れ等があった場合における事業者免税点制度の適用に関する特例や簡易課税制度選択届出書の提出制限に関する特例は、いわゆる自販機スキームのような仕入税額控除制度の濫用を防止するために制定された調整対象固定資産の仕入れ等に係る特例の効力が課税選択3年目以後には及ばなかったことを埋めるものとして制定されたという経緯があります。しかし、消費税法第33条第1項の規定による課税売上割合が著しく変動した場合の仕入控除税額の調整も高額特定資産が棚卸資産である場合は対象とならないことを考えますと、棚卸資産である不動産業者における土地の造成費、改良費等の建設等に要した経費を本体から切り離して高額特定資産としなくてもよいのではないかと考えられます。〔3〕高額な資産を譲渡した場合に、その課税期間は本則課税により、売上げについて延払基準を適用しつつ仕入税額控除については一括控除で還付を受け、その翌課税期間は簡易課税を選択した上で、延払基準をやめて残額を一括課税売上げとすることで実際には課税仕入れがないにもかかわらず仕入税額控除を受けるというような二重控除の問題も、棚卸資産が土地の場合にはその譲渡が非課税であることから、発生することはありません。この点からも、簡易課税制度の適用を制限しなくてもよいのではないかと考えられます。(参考)長期割賦販売等につき延払基準の方法で経理した場合に課税を繰り延べる消費税法第16条第1項の特例は、平成35年3月31日までの経過措置はあるものの、平成30年度改正により廃止されました。 以上の点から、棚卸資産に該当する不動産業者における土地の造成、改良等に要した費用については、それらが本体から独立して高額特定資産に該当することはないと考えられます。
【関連情報】
《法令等》
【収録日】
平成30年 8月28日