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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

事前確定届出給与が定めどおりに支給されたか否かの判定について

【質問】

 A社(3月決算法人)では、甲取締役に対する事前確定届出給与につき、×1年5月16日の定時株主総会決議において×2年5月15日に100万円を支給する旨の決議(対象となる職務執行期間は、×1年5月16日~×2年5月15日)を行い、翌×2年5月16日の定時株主総会決議において×3年3月31日に100万円を支給する決議(対象となる職務執行期間は、×2年5月16日~×3年5月15日)を行い、いずれも所定の届出期限までに所轄税務署に届出書を提出しましたが、実際の支給状況は、×2年5月15日には届出どおり100万円を支給したものの、×3年3月31日には支給を行っていません。
 このように令和3年の支給日を前倒したことにより、両決議に係る事前確定届出給与の支給日が同一の事業年度となっている場合、×3年3月31日の不支給により、届出どおりに支給した×2年5月15日支給分の損金算入に何か影響がありますでしょうか。

【回答】

1 事前確定届出給与とは、その役員の職務につき、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与(定期同額給与及び業績連動給与を除きます。)をいいます。そして、同族会社に該当しない法人が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与を除き、事前確定届出給与については、所定の提出期限までに、納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関して所定の事項(事前確定届出給与の支給時期及び各支給時期における支給金額等)を記載した届出を行う必要があります(法法34〔1〕二)。
  届出期限は、原則として、株主総会等の決議により事前確定給与の定めをした場合における当該決議の日(同日が職務執行開始日後である場合には、職務執行開始日)から1月を経過する日(同日が会計期間開始日から4月を経過する日後である場合には当該4月経過日とし、新設法人の場合にはその設立日以後2月を経過する日)までとされています(法令69〔4〕)。
2 この事前確定届出給与は、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給される給与をいいますから、同号の規定に基づき納税地の所轄税務署長へ届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合にはこれに該当しないこととなり、原則として、その支給額の全額が損金不算入とされます(法基通9-2-14)。
  すなわち、所轄税務署長への届出額と実際の支給額が異なる場合には、事前に支給額が確定していたものといえないことから、事前確定届出給与に該当しないものとなり、それが増額支給であれば増額分だけでなく実際の支給額の全額が損金不算入となり、減額支給であれば実際に支給した金額が損金不算入となるものと解されています(税務研究会出版局発行「十訂版法人税基本通達逐条解説」889ページ)。
3 また、事前確定届出給与が定めのとおりに支給されたかどうかをどのように判定するのか、という点については、(複数回の支給がある場合の事例ですが)国税庁の質疑応答事例(法人税)の「定めどおりに支給されたかどうかの判定(事前確定届出給与)」において、以下のように説明されています。
  すなわち、役員給与は定時株主総会から次の定時株主総会までの間の職務執行の対価であると解されますので、その支給が複数回にわたる場合であっても、定めどおりに支給されたかどうかは当該職務執行の期間を一つの単位として判定すべきであると考えられます(これは、平成25年3月14日の東京高裁判決(【文献番号】60059507)に沿った説明となっています。)。
  したがって、同一の職務執行期間に複数回の支給がある場合には、原則として、その職務執行期間に係る当該事業年度及び翌事業年度における支給について、その全ての支給が定めどおりに行われたかどうかにより、事前確定届出給与に該当するかどうかを判定することとなりますので、一部が定めどおりに支給されなかった場合は、原則として、全ての支給が事前確定届出給与に該当せず、損金不算入となるものと解されます。
  ただし、当該職務執行期間が決算期をまたいでおり、前事業年度には定めどおりに支給され、翌事業年度には定めどおりに支給しなかった場合には、その不支給が前事業年度の課税所得に影響を与えるようなものではないことから、前事業年度は損金算入が認められる、との取扱いが示されています。
4 このように、事前確定届出給与が定めどおりに支給されたか否かは、職務執行期間ごとに判定することとなります。この点、お尋ねの事例では、3月決算法人において、届出どおりに支給された×2年5月15日支払分(対象となる職務執行期間は、×1年5月16日~×2年5月15日)の100万円と、支給されなかった×3年3月31日支払分(対象となる職務執行期間は、×2年5月16日~×3年5月15日)は、異なる職務執行期間に係る事前確定届出給与、とのことですので、これらの支給日が同一の事業年度に係るものであっても、定めどおりに支給されたかどうかは職務執行期間を一つの単位として判定されます。
  したがって、×3年3月31日支払分の不支給は、定めどおりに支給された×2年5月15日支払分には影響しませんので、事前確定届出給与として損金に算入されるものと思われます。

【関連情報】

《法令等》

法人税法34条
法人税法施行令69条
法人税基本通達9-7-14

【収録日】

令和 4年 6月15日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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