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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

車輛に会社名等をデザインしたカーラッピングを行った場合の税務処理について

【質問】

 A社では、現在、所有して事業の用に供している営業用の車両について、新たに会社名や商品名等をデザインしたカーラッピング加工処理を行う予定です。このカーラッピングに係る費用は、税務上、どのように処理すべきでしょうか。

【回答】

1 法人税法上、「減価償却資産」とは、建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいうとされ(法法2二十三)、事業の用に供していないもの及び時の経過によりその価値の減少しないものは除かれています(法令13)。
  また、「資本的支出」とは、通常の管理又は修理をするものとした場合に予測されるその資産の使用可能期間を延長させ又はその資産の価値を増加させる部分に対応する金額、と規定され(法令132)、通達では、法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額は資本的支出となる(法基通7-8-1)とされています。
  例えば、外壁などの塗装で、従前より遮熱効果や耐久性の高い塗料を用いるなど、より利便性や耐久性が向上し、建物の価値が増加しているような場合、また、建物の躯体そのものを構成する主要な構成パーツである外壁を全面的に塗り替えるような大規模な改修工事をした場合には、資本的支出として処理されるケースが多いものと思われます。
2 公開情報等によりますと、カーラッピングとは、インクジェットプリンター等でプリント出力したフィルムを車体に貼って、車をデザインするという加工、装飾方法で、カーラッピングをイベントカー、バス、トラック、営業車などに施して企業や商品の広告を宣伝することなどに利用されるようです。ラッピングなどで目立たせたボディに、会社のロゴや社名を入れることにより、公衆に認知を高める効果もあり、「移動式の看板」ともいえるもの、との説明もあります。
  また、ラッピングシートで車体を包みこむことにより、日焼けなどによる車体カラーの色あせなどを防ぎ、元の塗装を保護し、経年劣化の影響を抑える効果もあります。
  カーラッピングは、塗装と異なり、ラッピングフィルムは貼ったり剥がしたりすることができ、ラッピングフィルムを剥がせば車体を元に戻すことができることから、車の資産価値を下げることがない、という特徴があります。
  ただし、カーラッピングの耐久性は塗装に比べて短く、ラッピングフィルムメーカーによれば、各社とも耐用年数は3年程度、とのことです。
3 車輛に係る耐用年数の適用については、車両に常時搭載する機器(例えば、ラジオ、メーター、無線通信機器、クーラー、工具、スペアータイヤ等をいいます。)は、車両と一括してその耐用年数を適用することとされている(耐通2-5-1)一方、車体の構造とは関係なく、単に自動車の荷台に搭載している機器で容易に積み替えのできる発電機等は、車体と区分して機械装置の耐用年数を適用するのが妥当であると解されています(「<改訂新版>耐用年数通達逐条解説」坂元左ほか 税務研究会出版局104頁)。
  お尋ねのカーラッピングを車輛に施した場合の処理については、例えば、業務用車両を新規に取得した際に、その事業供用に先立って社名・ロゴマークや商品名等のラッピングを施す場合もあるものと思われますが、そのラッピングに係る費用は、「当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額」(法令54〔1〕一ロ)に該当し、その車両の取得価額を構成すべき費用と考えるのが相当と考えられます。
  この点、お尋ねの事例では、既存の営業車輛に会社名等をデザインしたラッピングを新たに施す、とのことであり、その場合の当該費用の税務処理については、加工目的や効果等に係る事実認定次第となるものと思われます。
  一つの考え方として、ラッピングフィルムは、単体で広告媒体である車体に貼ったり剥がしたりすることができるようですが、一旦、貼付したフィルムを剥がして再利用することは難しいものと思われることから、当該フィルムは、加工した車輛と命運を共にするものとも解されますので、その加工の主たる目的が、車体や塗装の保護等であり、加工した車輛の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる場合には、当該車輛の資本的支出として資産に計上し、当該車輛に適用している耐用年数で償却する処理が考えられます(耐通1-1-2)。
  一方、営業用車両にカーラッピング加工を行う主たる目的が、企業名や商品名などの広告・宣伝効果を期待したものであり、車体や塗装の保護等は副次的な効果に過ぎない場合には、新商品の広告への切り替えやデザインの変更、また、その一般的な耐用年数である3年程度を経過した際には車両と切り離して剥がすこともできること等から、新たな広告宣伝用の有形減価償却資産を取得したものとして処理することも考えられ、その耐用年数は、その実質的な機能・用途である「移動式の看板」という点に着目しますと、「器具及び備品」の「5 看板及び広告器具」「看板、ネオンサイン及び気球」の3年を適用することが考えられます。

【関連情報】

《法令等》

法人税法2条
法人税法施行令13条
法人税法施行令132条
法人税基本通達7-8-1
耐用年数省令別表第1
耐用年数通達1-1-2
耐用年数通達2-5-1

【収録日】

令和 3年 4月28日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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