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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

損金として認められない短期前払費用について

【質問】

 当社(7月決算)は、小売業を営む株式会社で西日本中心に多くの店舗を有しており、今期は新商品の販売が好調で大幅な増収、増益が見込まれます。
 そこで、極端な利益の上昇を押さえるため、今期事業年度末から、一部地域の賃借店舗の家賃について、現在の月払いから年払いに変更し、次期事業年度1年分の家賃4千万円について、7月末に一括支払いを予定しております。
 この場合、7月末に支払う家賃に係る短期前払費用について、損金算入が認められない場合があるのでしょうか。

【回答】

 税務上の損金算入が認められる短期前払費用につきましては、課税上弊害が生じない範囲内で費用計上の基準を緩和し、支払ベースでの費用計上を認めるものと解されています(法基通2-2-14)。
 例えば、(1)いわゆる利益調整のために月払いから年払いに支払いを変更するような場合の短期前払費用については損金算入が認められず、また、(2)税務上の短期前払費用は、1年以内に提供を受ける役務の対価に限定しておりますので、1年を超える役務提供の対価を支払うような場合には損金算入が認められず、(3)更に、財テクを目的として借入れを行い、その借入資金を預金、有価証券等の金融資産に運用するような場合、その借入金と運用資産とが明らかにひも付きの見合関係にあるときの借入金利子については、仮に1年以内の短期の前払利子を支払ったとしても損金算入が認めないとして取り扱われます。
 したがいまして、ご質問の場合、極端な利益の上昇を押さえるため一部地域の賃借店舗の家賃について月払いから年払いに変更するということですが、上記のとおり、利益調整のための短期前払費用の支出は、税務上、損金算入が認められない場合が多いと考えられます。
 なお、国税庁が公開しております法人税の「質疑応答事例」においても、短期前払費用の取り扱いに関し、『利益が出たから今期だけまとめて1年分支払うというような利益操作のための支出や収益との対応期間のズレを放置すると課税上の弊害が生ずると認められるものについては、これを排除していく必要があります。』として税務上の短期前払費用の取り扱いを明らかにしておりますのでご参考としていただきたいと思います(国税庁ホームページ・『質疑応答事例・法人税・短期前払費用の取り扱いについて』)。

【関連情報】

《法令等》

法人税基本通達2-2-14

【収録日】

平成23年 6月27日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
注2: 当Q&Aの内容は、作成時の法令等を基に作成しております。このため、当Q&Aの内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
注3: 当Q&Aの著作権は株式会社TKCに帰属します。当Q&Aのデータを改編、複製、転載、変更、翻訳、再配布することを禁止します。

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