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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

無償による役務提供と寄付金課税について

【質問】

 デザインやホームページの作成等を請け負うA社は、このたび、町おこしのための地域、行政が一体となったイベントの運営団体との間でイベントのPRサイトを無償で開設するとともに、当該サイトの保守を5年間、無償で請け負うこととしました。ただし、その運営団体より、当該サイトにA社の広告を5年間の保守期間の間、無償で掲載させていただけることとなりました。それぞれの役務をA社の通常の業務の中で請け負った場合の料金及び原価は、次のとおりです。
  通常のサイト開設料 300万円(原価は人件費のみで200万円)
  通常の5年間の保守料 500万円(年100万円 原価は人件費のみで年40万円)
  通常の広告掲載料 通常5年間200万円
 これらのサービスの授受に係る課税関係はどのようになるのでしょうか。

【回答】

1 法人税法22条2項では、「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。」と規定され、無償による役務提供も収益の額として法人税法上の課税所得を構成することが明らかにされています。
  また、同法37条7項では、「前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。」と規定され、寄付金の額は、経済的利益の供与等の時における価額、すなわち「時価」により認識することとされています。
  なお、資産を帳簿価額により寄付した場合の処理に係る法基通9-4-8の解説書では、「法人がこれらの寄附金(注:指定寄付金等)を金銭以外の資産で支出した場合には、その支出の時におけるその資産の時価相当額が寄附金の額となる」、更に、「例えば、法人がその有する帳簿価額80、時価100の金銭以外の資産を地方公共団体に寄付した場合、税務上は、寄附金100(損金)とともに資産の譲渡益20(益金)を認識することになる」とされており、金銭以外の資産の贈与取引については、寄附金を時価で認識すべきことが留意的に述べられています。
  この通達は、損金算入について特例が認められている指定寄付金等について、計上もれとなっている譲渡益相当額の寄付金認容を認めた取扱いですが、引用部分は、一般的な現物による寄付や役務の無償提供の処理にも参照できるものと思われます(税務研究会出版局「法人税基本通達逐条解説(八訂版)845ページ」)。
2 お尋ねの事例は、デザインやホームページの作成等の請負事業を営むA社が町おこしイベントのPRサイトを無償で開設するとともに、そのサイトの5年間の保守も無償で引き受け、その見返りとして、当該サイトに5年間の保守期間の間、無償でA社の広告を掲載してもらえる、ということです。
  このサイトの開設及びその後の保守のいずれについても、無償による役務提供に該当しますので、上記1にお示しした法人税の取扱いにしたがい、A社が同様のサイトの開設及び保守を請け負った場合に通常付せられる対価に相当する金額(ご質問の事実関係によれば、通常のサイト開設料300万円及び通常の保守料500万円の期間対応額)により収益を認識するとともに、原則として、同額の寄付金が計上されることになろうかと思われます。
  但し、保守取引については、同期間、無償で当該サイトにA社の広告が掲載される、とのことですので、これを保守役務の無償提供に対する対価的意義を有する反対給付ととらえ、通常の広告掲載料200万円のうち各事業年度に対応する金額を広告宣伝費に計上し、これと通常の保守料500万円(収益)のうち各事業年度に対応する金額との差額を寄付金に計上する処理が相当と考えられます。
  お示しの「通常の業務の中で請け負った場合の料金」を前提とする限り、上記のような課税関係になるものと考えます。

【関連情報】

《法令等》

法人税法22条
法人税法37条
法人税法基本通達9-4-18

【収録日】

平成30年10月29日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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