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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

システム移行におけるデータ・コンバート費用の取扱いについて

【質問】

 A医療法人は、従前のオーダリングシステム(コンピュータを利用して、要検査項目や処方箋等を含む診察結果を正確かつ迅速に各部門へ伝達するシステム)を、B社製の新システムに移行することになり、ハードウェアとしてのシステムサーバのほか、オーダリングシステムソフトウェア一式が納品されました。
 このほか付随費用として、〔1〕新システムをA医療法人の事務処理手順に合致させるためのソフトウェアの修正作業に係る費用200万円及び〔2〕旧システムのデータを新システムで使用可能にするためのデータの変換作業に係る費用300万円が発生しました。
 これらの付随費用は、ソフトウェアの導入のための費用として取得価額に算入する必要があるのでしょうか。

【回答】

 ソフトウェアの資産区分につきましては、平成12年の税制改正において、繰延資産から無形固定資産(法令13八リ)に変更され、その耐用年数は、複写して販売するための原本については3年、その他のものについては5年とされています(耐用年数省令別表第3)。
 そして、他の者から購入したソフトウェアについて、そのソフトウェアの導入に当たって必要とされる設定作業及び自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用の額は、当該ソフトウェアの取得価額に算入することとされています(法基通7-3-15の2(注))。
 お尋ねの付随費用のうち、〔1〕のA医療法人の事務処理手順に合致させるためのソフトウェアの修正作業に係る費用200万円は、上記通達にいう「自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用」に該当するものと認められることから、オーダリングシステムソフトウェアの取得価額に算入する必要があるものと考えられます。
 一方、〔2〕の旧システムのデータを新システムで使用可能とするためのデータの変換作業に係る費用300万円については、この費用が上記通達にいう「ソフトウェアの導入に当たって必要とされる設定作業及び自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等」に該当するか否かが問題となりますが、通達上この点については明らかにされていないことから、一般に公正妥当な会計処理の基準と認められる取扱い等があれば、これに基づいて判断するのが相当と考えられます。
 ところで、日本公認会計士協会による「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針(会計制度委員会報告第12号)」によれば、その16項において、ソフトウェアを利用するために必要なその他の導入費用のうち、新しいシステムでデータを利用するために旧システムのデータをコンバートするための費用(以下「データ・コンバート費用」といいます。)については、発生した事業年度の費用とする旨の取扱いが示されています。
 これは、データ・コンバート費用が、新システムへの移行に対応させるための費用であって、データの内容自体の効用や価値を高めるものではないことに着目した妥当な取扱いと考えられ、税務上も同様に取り扱うのが相当と思われます。
 お尋ねの〔2〕の「旧システムのデータを新システムで使用可能にするためのデータの変換作業に係る費用」とは、このデータ・コンバート費用に該当するものと認められますので、支出時の損金の額に算入することとして差し支えないものと考えます。

【関連情報】

《法令等》

法人税法施行令13条8号
法人税基本通達7-3-15の2

【収録日】

平成25年 2月25日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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