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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

事前確定届出給与の意義(前職務執行期間に係る役員賞与)

【質問】

 A社(3月決算法人)は、これまで役員給与については、定期同額給与を支給するのみで、賞与等の支給はしていませんでしたが、前期(X年3月期)の業績が極めて好調であったことから、役員の功績に報いるために、X年6月20日開催の定時株主総会において、X-1年6月20日からX年6月20日までの職務執行期間(ただし、X-1年12月1日に就任した取締役1名については、その就任日からX年6月20日までの職務執行期間)に係る役員5名全員に係る賞与(以下「本件賞与」といいます。)の額(総額700万円)を、従業員賞与の支給日でもあるX年7月15日に支給する旨の決議を行い、X年6月末までに所轄税務署長に対して事前確定届出給与の届出書を提出し、その届出のとおりX年7月15日に支給しました。
 なお、この届出書の「〔2〕事前確定届出給与に係る職務執行を開始する日」には、「X年6月20日」と記載し、届出書の付表(事前確定届出給与等の状況)の「職務執行期間」欄には上記の各役員ごとの職務執行期間を記載してあります。
 本件賞与については、国税庁質疑応答事例「職務執行期間の中途で支給した事前確定届出給与」において示されたように従業員賞与と同じ支給時期に支給されるものであり、事前確定届出給与としての届出を適法に行い、かつ、その届出のとおり支給していることから、その全額が損金算入されると考えてよろしいでしょうか。

【回答】

 A社がX年7月15日に役員に支給する本件賞与は、お示しのとおり、前職務執行期間に係る職務執行の報酬であることを前提とする限り、当期(X+1年3月期)の事前確定届出給与には該当せず、損金不算入として取り扱われるものと考えます。
1 事前確定届出給与は、その役員の「職務執行期間開始の日以後の職務」について、定期同額給与のほかに所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与をいい(法法34〔1〕二)、確定額を支給する旨の定めは株主総会等の決議によることを要します(法令69〔2〕)から、「あらかじめ確定していること」が前提となります。
  お示しの事実によれば、本件賞与は、前期(X年3月期)の業績が極めて好調であったことから役員の功績に報いるために支給されるものであり、前期の定時株主総会開催日(X-1年6月20日)から当期の定時株主総会開催日(X年6月20日)までの前職務執行期間における役員の職務執行の対価たる賞与として、X年6月20日開催の定時株主総会で支給の決議がなされたものと認められます。
  そうすると、本件賞与は、既に終了した前職務執行期間に係る賞与として事後的に決定されたものであり、「あらかじめ確定している事前確定届出給与」には該当しません。
  したがいまして、本件賞与の額については、たとえ当期の事前確定届出給与として届出を行ったとしても、損金の額に算入されません。
  ちなみに、もし、本件賞与の額が前期の定時株主総会(X-1年6月20日開催)において支給の決議が行われ、かつ、前期において事前確定届出給与の届出が適法になされていた場合には、支給があった当期において損金算入されることになります。
2 また、「従業員賞与と同じ支給時期に支給されるものであること」を本件賞与が事前確定届出給与に該当する根拠の一つとお考えのようですが、お示しの国税庁質疑応答事例「職務執行期間の中途で支給した事前確定届出給与」のケースは、当職務執行期間の職務執行の対価を職務執行期間の開始早々に「前払い」する場合を前提としたものであり、お尋ねのように前職務執行期間の職務執行の対価の「後払い」のケースとは異なります。
  すなわち、例えば3月決算法人において、役員賞与を6月及び12月に支給するとした場合に、民法上委任の報酬は後払いが原則とされていることからすると、職務執行期間の開始直後の6月に支給することについては税務上問題があるのではないかとの疑問に対して、上記質疑応答事例は、「使用人への賞与が盆暮れの時期に支給されているのが一般の企業慣行であることを考えると、役員に対しても同時期に賞与を支給することはあながち不自然なことではないことから、法人が、役員への賞与の支給時期を使用人への盆暮れの賞与と同じ時期とし、かつ、毎期継続して同時期に賞与の支給を行っているときに、事前確定届出給与に係る一定の要件を満たしていれば、これを事前確定届出給与として当該事業年度の損金の額に算入することとして差し支えない」旨を明らかにしたものです。
  お尋ねの場合においては、従業員賞与の支給日に支給される役員賞与ではあっても、職務執行の対価を職務執行期間が終了した後において決定するものであり、いわゆる決算賞与と同様に利益処分を旨とする「事後確定」の賞与というべきものと認められ、事前確定届出給与に該当するものとは認められません。

【関連情報】

《法令等》

法人税法34条
法人税法施行令69条

【収録日】

平成27年 7月 6日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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