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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

譲渡資産の取得費等に算入する抵当権設定登記費用

【質問】

 個人甲は、本件土地を取得するに当たり資金調達のために抵当権を設定した。
 同人は、当初、当該土地をそのまま放置していたが、取得の5年後に自宅を建てて住んでいた。
 そして、取得から10年後の今年、事情により自宅を取り壊して当該土地を譲渡した。
 この場合、取得の際に支払った抵当権設定登記の費用の全額を本件土地の取得費に算入することができるか、それとも所有期間(10年間)のうち取得時から使用開始の日までの期間(5年間)に対応する全額の2分の1に相当する金額だけを算入するのか。

【回答】

 支払った抵当権設定登記費用の全額を固定資産の取得費に算入して差し支えありません。

【関連情報】

《法令等》

所得税法38条
所得税基本通達38-8

【解説】

1 譲渡所得における譲渡資産の取得費については、譲渡した土地や建物の購入代金、建築
代金、購入手数料のほか設備費や改良費のほかに、次の主な費用が含まれます。
  なお、建物の取得費は、購入代金又は建築代金などの合計額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額となります。
(1)土地や建物を購入(贈与、相続又は遺贈による取得も含みます。)したときに納めた登録免許税(登記費用も含みます。)、不動産取得税、特別土地保有税(取得分)、印紙税
(2)借主がいる土地や建物を購入するときに、借主を立ち退かせるために支払った立退料
(3)土地の埋立てや土盛り、地ならしをするために支払った造成費用
(4)土地の取得に際して支払った土地の測量費
(5)所有権などを確保するために要した訴訟費用
   なお、相続財産である土地を遺産分割するためにかかった訴訟費用等は、該当しません。
(6)建物付の土地を購入して、その後おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用
(7)土地や建物を購入するために借り入れた資金の利子のうち、その土地や建物を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子
(8)既に締結されている土地などの購入契約を解除して、他の物件を取得することとした場合に支出する違約金
   これらの取得費の取扱いは、所得税法第38条、所得税基本通達38-8などに規定されています。
2 その所得税基本通達38-8前段では、「固定資産の取得のために借り入れた資金の利子・・・のうち、その資金の借入れの日から当該固定資産の使用開始の日・・・までの期間に対応する部分の金額は、・・・当該業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、当該固定資産の取得費又は取得価額に算入する。」とし、固定資産の使用開始の日(当該固定資産を使用しないで譲渡した場合においては、当該譲渡の日)までの期間に対応する部分の借入金の利子をその固定資産の取得費等に算入することとして取り扱われているところです。
  そして、同通達後段では、「固定資産の取得のために資金を借り入れる際に支出する公正証書作成費用、抵当権設定登記費用、借入金の担保として締結した保険契約に基づき支払う保険料その他の費用で当該資金の借入れのために通常必要と認められるものについても、同様とする。」としています。
  ところで、この「同様とする」との表現について、固定資産の取得費等に算入する当該固定資産の取得のために資金を借り入れる際に支出する抵当権設定登記費用等は、当該固定資産の使用開始の日までの期間に対応する部分となるのか、又はその全額であるのかについて本件の質問のような疑義が生じるところです。
  この点について、所得税基本通達38-8の前段と後段の対応関係をみると、同通達前段における「固定資産の取得のために借り入れた資金の利子・・・のうち、その資金の借入れの日から当該固定資産の使用開始の日・・・までの期間に対応する部分の金額は、」の部分に対応するのは、同通達後段における「固定資産の取得のために資金を借り入れる際に支出する・・・抵当権設定登記費用・・・で当該資金の借入れのために通常必要と認められるものについても、」の部分となり、また、同通達前段における「当該固定資産の取得費又は取得価額に算入する。」の部分に対応するのは、同通達後段における「同様とする。」の部分となっていることが認められます。
  言い換えれば、同通達後段は、「固定資産の取得のために資金を借り入れる際に支出する・・・抵当権設定登記費用・・・で当該資金の借入れのために通常必要と認められるものについても、」「当該固定資産の取得費又は取得価額に算入する。」となります。
  すなわち、抵当権設定登記費用のように、借入れに際して一時に支払われるものについては、使用開始の日までの期間に対応する部分の金額ではなく、その全額を固定資産の取得費等に算入することができることとなります。
  ただし、事業所得などの必要経費に算入されたものは含まれませんので、ご留意ください。

【収録日】

令和 2年 3月 6日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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