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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

繰延消費税額等の取扱いについて

【質問】

 当社は、家具の製造小売とアパート賃貸を兼業しており、消費税の経理処理は税抜経理方式で仕入税額控除の計算は一括比例配分方式を採っていますが、当期の課税売上割合が75%であったために控除対象外消費税額等が200万円生じました。この控除対象外消費税額等200万円については、法人税法上、どのように取り扱われるでしょうか。
 なお、この控除対象外消費税額等200万円の内訳は、次のとおりです。
〈1〉当期中に仕入れた商品(棚卸資産)に係るもの 110万円
〈2〉当期取得の家具製造用機械(1台・取得価額4000万円)に係るもの 50万円
〈3〉当期の一般管理費等の経費に係るもの 40万円

【回答】

1 消費税法上の課税仕入れ等の税額として課税標準から控除できるのは、課税売上割合に見合う金額に限られるため、法人が税抜経理方式を採っている場合で課税売上割合が95%未満、又は、その課税期間における課税売上高5億円超の場合のとき、仮払消費税等の一部が仕入税額控除の対象にならず、その部分が控除対象外消費税額等として、法人税法上、課税売上割合に応じて次のように処理することとされています(令139の4〈1〉〈2〉)。
(1)課税売上割合が80%以上の場合
 すべての資産に係る控除対象外消費税額等について、法人がその事業年度において損金経理をしたときは、損金の額に算入されることになります。
(2)課税売上割合が80%未満の場合
 棚卸資産に係るもの、及び棚卸資産以外の資産に係るもののうち一の資産に係るものの金額が20万円未満のものについては、法人がその事業年度において損金経理をしたときは損金の額に算入されることになります。
 なお、経費に係る控除対象外消費税額等については、上記いずれの場合も損金に算入されます。
2 そして、資産に係る控除対象外消費税額等のうち〈1〉損金算入が認められているものについて損金経理を行わなかった場合の当該金額と〈2〉課税売上割合が80%未満の場合の棚卸資産以外の資産に係るもののうち一の資産に係るものの金額が20万円以上のものとの合計額については、これを「繰延消費税額等」として資産に計上し、5年以上の期間で損金経理により償却して損金の額に算入することとされており(令139の4〈3〉〈4〉)、具体的には、次の算式により各事業年度の損金の額に算入できる金額を算出します。
〔算式〕
  損金算入限度額=繰延消費税額等×(当期の月数÷60)
 なお、初年度については、事業年度の期央に生じたものとみなして上記の算式の1/2の金額が損金算入限度額となります。
3 したがって、貴社の場合、当期の課税売上割合が75%ですから、控除対象外消費税額等200万円の取扱いは、次のようになると考えられます。
〈1〉当期中に仕入れた商品(棚卸資産)に係るもの 110万円
 損金経理を行うことにより、全額を当期の損金の額に算入できます。
〈2〉当期取得の家具製造用機械(1台・取得価額4000万円)に係るもの 50万円
〔当期=初年度〕
  50万円×(12÷60)×1/2=5万円
  ∴損金経理により、5万円を当期の損金の額に算入できます。
〔翌期=次年度〕
  50万円×(12÷60)=10万円
  ∴損金経理により、10万円をその期の損金の額に算入できます。
〈3〉当期の一般管理費等の経費に係るもの 40万円
 当期の損金の額に算入します。
 なお、繰延消費税額等について損金経理をした金額がある場合には、損金の額に算入される金額の計算に関する明細書(別表16(10))を確定申告書に添付する必要があります(令139の5)。

【関連情報】

《法令等》

法人税法施行令139条の4
法人税法施行令139条の5

【収録日】

平成26年 6月25日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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