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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

他人の建物に対する内部造作の耐用年数を賃借期間とすることの可否

【質問】

 A社は、レストランを開業するために設立した法人ですが、開業に当たり、店舗用建物(以下「本件建物」といいます。)の所有者であるB社との間で、下記の定期建物賃貸借契約(以下「本件契約」といいます。)を締結し、B社の了解を得て、必要な内部造作工事(工事費用総額1,000万円)を施工しました。
 耐用年数取扱通達1-1-3によれば、他人の建物に対する造作の耐用年数については、原則として、当該建物の耐用年数、その造作の種類、用途、使用材質等を勘案して、合理的に見積った耐用年数によることとされているところ、これによりA社が施工した内部造作について見積もると15年となりますが、上記通達のただし書きには、賃借期間の更新のできないもので、かつ、有益費の請求又は買取請求をすることができないものについては、その賃借期間を耐用年数として償却することができるとされているところ、本件契約においても、賃借期間は5年間とされ、「期間の満了により、更新がない。」とされており、また、明渡しに際して賃借人A社は、造作買取請求権を放棄する旨が約定されていることから、賃借期間である5年で償却することとして差し支えないでしょうか。
【本件契約の主要事項】
第2条(契約期間)
 〔1〕 契約期間は平成30年4月1日から平成35年3月31日までの5年間とし、期間の満了により契約は終了し、更新がない。
 〔2〕 ただし、甲(B社)及び乙(A社)は、協議の上、本契約の期間の満了の日の翌日を始期とする新たな賃貸借契約(以下「再契約」という)をすることができる。 
第12条(明渡し等)
 〔1〕 本物件の明渡し時において、乙は、乙の費用をもって引渡し当初の原状に復せしめなければならない。ただし、甲から指示のあった場合に限り、本契約終了時の現況のまま返還することができる。
 〔2〕 乙は、本物件の明渡しの際、借地借家法第33条に規定する造作買取請求権を放棄するとともに、本契約の終了に際し、乙は甲に対して営業権ならびに居住権又は賃借権等いかなる権利も有しないことを確認する。
第18条(再契約)
 再契約をした場合には、第12条の規定は適用しない。ただし、本契約における原状回復の債務の履行については、再契約に係る賃貸借が終了する日までに行うものとする。

【回答】

1 他人から賃借した建物についてされた造作の耐用年数は、原則として、その建物の耐用年数、その造作の種類、用途、使用材質等を勘案して、合理的に見積った年数とされていますが、例外的取扱いとして、その建物について賃借期間の定めがあるもの(賃借期間の更新のできないものに限る。)で、かつ、有益費の請求又は買取請求をすることができないものについては、当該賃借期間を耐用年数として償却することができることとされています(耐用年数取扱通達1-1-3)。 
  この例外的取扱いは、賃借期間と運命を共にする資産すなわち賃借期間の終了によりその権利を失う造作の取得価額については、その賃借期間を償却期間として償却することが合理的との考え方に基づく取扱いと考えられますから、その「賃借期間の更新ができない」か否かについては、「更新」、「延長」、「再契約」等の単なる契約書上の文言等の形式によるのではなく、真に賃借期間の終了をもってその造作に係る権利を喪失することが確実であるかどうかを実質的に判定する必要があるものと考えられます。
2 お示しの貸主B社と借主A社との本件契約の第2条には、「期間の満了により終了し、更新がない。」との記載がありますが、このくだりは、定期建物賃貸借契約の定型文にすぎないものと認められます。
  すなわち、一般的に、定期建物賃貸借契約においては、契約の更新がないこととする旨を定めることができる(借地借家法38〔1〕)こととされていますが、再契約については禁止されていないため、契約の当事者が合意さえすれば、再契約することができると解されています。
  本件契約の第2条においても、その〔1〕で「(契約)期間の満了により契約は終了し、更新がない」とされているものの、その〔2〕において「ただし、B社及びA社は、協議の上、本契約の期間の満了の日の翌日を始期とする新たな賃貸借契約(以下「再契約」という)をすることができる。」とされていることから、再契約は可能と認められます。
  また、本件契約の18条(再契約)には、「再契約をした場合には、第12条(明渡し等)の規定は適用しない。ただし、本契約における原状回復の債務の履行については、再契約に係る賃貸借が終了する日までに行う」旨の規定があり、事実上も本件建物の内部造作については、再契約後も使用可能であることが明らかと認められます。
  そうすると、本件契約については、再契約の可能性が排除されていないことを前提とする限り、事実上は「賃借期間の更新ができない」ものに該当するとは認められないことから、本件建物に施した内装工事の耐用年数について、契約上の賃借期間である「5年」によることはできず、合理的に見積った耐用年数「15年」で償却するのが相当と考えられます。
  なお、もし、結果として再契約を行わず、耐用年数満了前に内部造作を廃棄又は放棄等した場合には、その時点で未償却残高を除却損として損金算入できることはいうまでもありません。

【関連情報】

《法令等》

耐用年数の適用等に関する取扱通達1-1-3
借地借家法38条

【収録日】

平成30年 6月27日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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