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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

借地権が存在する土地の地代を無償とした場合の課税関係

【質問】

 A社は、料理店を営む同族会社ですが、その所有する店舗用建物は、昭和40年代に先代の代表取締役であったB氏(現在の代表取締役C氏の実父)が所有していた土地(以下、「本件土地」といいます。)上にA社が建築したものであり、本件土地の現在の所有者はC氏です。
 本件土地の賃貸借については、権利金の授受はなく、土地の無償返還に関する届出書も提出されていませんが、賃貸借契約開始の当初においては、A社がB氏に相当の地代を支払うこととされていました。
 しかしながら、地代の改訂を行わないこととしていたため、その後の地価の上昇に伴い、現在では地代の額が相当の地代の4分の1程度となっており、A社には、自然発生的に本件土地が所在する地域における借地権割合(70パーセント)に相当する借地権価額が帰属しているものと思われたことから、平成10年のB氏の死亡に伴う相続税の申告に当たっては、本件土地にはA社に更地価額の70パーセントの借地権が帰属するものとして評価したところ、その後の税務調査においても是認されています。
 ところで、A社においては、長年の赤字続きのため、C氏に支払う地代の支払が滞っている状況にあり、C氏としても、地代が未収のまま、地代収入の申告及び所得税の納付を余儀なくされていることから、今後、本件土地の賃貸借を使用貸借に変更し、地代の額をゼロとすることを検討していますが、この地代の額の無償化に伴い、借地権や地代について認定課税が行われることはないでしょうか。

【回答】

1 お尋ねの前提事実を確認すると、本件土地の賃貸借については権利金の授受や土地の無償返還に関する届出書の提出はなく、賃貸借契約開始の当初において相当の地代を授受することとしていたものの、以後、地代の改訂が行われなかったため、現在においては地代の額が相当の地代の額の4分の1相当額まで低下した結果、A社に自然発生的に借地権価額が帰属しており、法人税基本通達13-1-3の算式による借地権の価額は、上限である「通常収受すべき権利金の額相当額(更地価額に本件土地の所在する地域における借地権割合(70パーセント)を乗じた金額)」に達しているものと認められます。
2 お示しの「賃貸借を使用貸借に変更する」との趣旨が、「地代の額をゼロにする」との趣旨であることを前提としますと、現状の地代の額は、既に底地部分に対応する地代の額(いわゆる通常の地代)以下と認められることから、これを更に減額したとしても、法人税基本通達13-1-4《相当の地代を引き下げた場合の権利金の認定》の適用は行われませんし、既にA社に潜在的に帰属すると認められる上限の借地権価額(更地価額の70パーセント相当)を越える借地権の認定課税も行われません。
  なお、この自然発生によりA社に帰属すると認められる潜在的な借地権価額については、借地権の譲渡や返還等に伴ういわゆる「出口課税」が行われる時まで、課税が繰り延べられることになります。
  また、A社にとっては、地代の引下げ(無償化)による経済的利益の額の受贈益が生じますが、これを課税する場合は、同額の支払地代の認容が行われ、「支払地代/受贈益」として収支相殺される結果、受贈益の認定課税も行われません。
3 なお、お示しの「賃貸借を使用貸借に変更する」との趣旨が、「現在の賃貸借契約を解約して、土地の無償返還を前提とする使用貸借契約に移行する」との趣旨である場合には、現況において本件土地に係る借地権がA社に帰属しているにもかかわらず、その借地権を一旦、地主C氏に無償で返還した上で、新たに無償返還条項を付した使用貸借契約を開始したものと認定される結果、借地権価額相当額を地主C氏に贈与したものと認定されることが懸念され、その場合には、C氏がA社の役員であるため、その贈与した価額はC氏に対する臨時的な役員給与として損金不算入とされることになりますので、注意が必要です。

【関連情報】

《法令等》

法人税基本通達13-1-3
法人税基本通達13-1-4

【収録日】

平成29年 2月28日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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