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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

新型コロナウイルス関連の補助金の益金算入時期と圧縮記帳について

【質問】

 3月決算のA社において、令和3年3月期に、コロナ関連の補助金3,000千円(以下「本件補助金」といいます。)の交付決定が令和2年10月にあり、11月に概算払入金があったため、その資金で令和3年1月に6,000千円の固定資産(以下「本件資産」といいます。)を取得しました。ただし、実績報告を翌期(令和4年3月期)の令和3年4月に行いますから、確定通知書が届くのは同年7月ころになるようです。
 A社は「本件資産」について「国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入」(法法42)の適用しようと考えていますが、〔1〕本件補助金は令和3年3月期に益金の額に算入しなければならないのでしょうか、その場合、〔2〕圧縮記帳はどのように行うことになるのでしょうか。

【回答】

1 補助金に係る益金計上時期の考え方について
(1)本件補助金の概算払の性格については、厳密にはその「交付要綱」を確認する必要がありますが、一般的に補助金は、申請書に関係書類を添えて提出することとされ、〇〇大臣は、申請書が到達した日から起算して原則として1か月以内に交付の決定を行うものとされています。そして、事業完了の日から起算して1か月を経過した日又は令和〇年〇月〇日のいずれか早い日までに「事業実績報告」を提出し、その後、支払うべき「額を確定した」後に、補助事業者が提出する精算払請求書に基づいて支払を行うとされています。それゆえ、補助金は、「事業実績報告」の提出を受けて支払うべき「額を確定した」後に支払われますから、原則として「確定通知」のなされた時点が益金算入時期になるものと考えられます。
   なお、概算払の制度は、補助事業者が概算払による支払を要望する場合に、〇〇大臣が補助事業者の資力、補助事業の内容及び事務の内容等を勘案して真にやむを得ないと認めたときになされる取扱いです。それゆえ、令和3年3月期中に本件補助金の概算払がなされていることは、その益金算入時期の問題とは関連しない事柄と考えられます。
(2)ところで、ご質問の点に関連する考え方が、国税庁から出されている「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」44ページの問7《法人が交付を受ける助成金等の収益計上時期の取扱い》〔令和3年3月26日更新〕(国税庁HP→税の情報・手続・用紙→税について調べる→新型コロナウイルス感染症に関する対応等について。以下「本件FAQ」といいます。)で公表されています。
   そこでは、「法人税の所得金額の計算上、ある収入の収益計上時期は、原則として、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度となります(法法22〔2〕〔4〕)」との原則を踏まえつつも、「ご質問の助成金等については、国や地方公共団体により助成金等の『交付が決定された日』に、収入すべき権利が確定すると考えられますので、原則として、その助成金等の『交付決定がされた日』の属する事業年度の収益として計上することとなります」という原則を明らかにしています。
(3)この場合、上記(1)の考え方に照らしますと、ここにいう「交付が決定された日」とは、「確定通知を受けた日」のことを指しているのではないかとの疑義が生じます。
   しかし、「本件FAQ」では、圧縮記帳(法法42)の説明において、「助成金等相当額の収益計上に合わせて、助成金等相当額を圧縮記帳により費用計上することができます」と制度の概要を述べた上で、「『交付決定日』の属する事業年度中に助成金等の『確定通知を受けていない』場合には、返還を要しないことが事業年度終了の時までに確定していませんので、交付決定日の属する事業年度において圧縮記帳をすることはできません。この場合の交付を受ける助成金等は『交付決定日』の属する事業年度に収益として計上することとなります」としています。
(4)そうすると、国税庁は、補助金に係る「益金計上時期」と「圧縮記帳の適用時期」は異なることになると認識した上で、補助金に係る益金算入時期については、「確定通知を受けた日」ではなく「交付が決定された日」を基準とすべきとの考え方を採用しているものと理解されます。
   すなわち、一般的に言って補助金は、入金完了後に金額の変更もあり得る、つまり、「交付決定額」と「確定通知額」が異なることもあると思われますが、こうした場合でも国税庁は、「交付が決定された日」に「交付決定額」をもって収入すべき権利が確定したものと見た上で、その後に「確定通知額」で金額が異なることとなった場合はその時点で変更があった旨の処理を行うべきと解していると考えられます。
2 ご質問〔1〕について
 上記1の補助金に係る益金計上時期の考え方を踏まえますと、一般的に補助金は、「事業実績報告」の提出を受けて支払うべき「額を確定した」後に支払われますから、「確定通知」のなされた時点が収益としての計上時期になるものと考えられます。
 しかしながら、「本件FAQ」では、「交付が決定された日」と「確定通知を受けた日」を区別して認識した上で、「交付決定がされた日」の属する事業年度の収益として計上することとなります」という原則を明らかにしています。
 したがって、「本件補助金」に係る「交付決定がされた日」は令和2年10月とのことですから、「本件FAQ」を踏まえる限り、「本件補助金」は、令和3年3月期において益金の額に算入すべきことになると考えられます。
3 ご質問〔2〕について
(1)「本件資産」は令和3年1月に取得したとのことですから、「国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入」(法法42)の取得時期は令和3年3月期となります。
   そして、「国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入」(法法42)の対象となる補助金は、「返還を要しないことが当該事業年度終了の時までに確定した場合」に限られます(法法42〔1〕)が、「確定通知書」が届くのは令和4年3月期になるようです。
 したがって、「本件資産」について圧縮記帳(法法42)ができるのは、令和4年3月期(翌期)と考えられます。
(2)しかし、「返還を要しないことが当該事業年度終了の時までに確定した場合」の「確定」が当該事業年度終了のときまでにない場合でも、固定資産の取得等に充てるための国庫補助金等の交付を受ける場合で、その国庫補助金等の額に相当する金額以下の金額を、当該事業年度の確定決算において「特別勘定」で経理したときは損金の額に算入し(法法43〔1〕)、また、国庫補助金等の「返還を要しないことが確定」した事業年度でこれを取り崩して(法法43〔2〕)益金の額に算入する(法法43〔3〕)、つまり、戻し入れるという特別勘定の制度があります。
   この点、「本件FAQ」でも、上記1(3)の記載に続けて、「その交付決定日の属する事業年度において助成金等相当額の特別勘定を設けて費用等として経理する」ことにより、「確定通知日の属する事業年度まで収益を繰り延べ、確定通知日の属する事業年度において助成金相当額の収益計上と圧縮記帳による費用計上をすることができる」としています。
(3)したがって、令和3年3月期においては、その時点で本件補助金の確定通知書が届いていないため、圧縮記帳そのものはすることができませんが、特別勘定を設定して繰入損を計上することについてはできると考えられます。そうすると、以上をまとめた処理の仕訳は、以下のようになると考えられます。
【令和3年3月期】
 現預金     300万円 / 本件補助金収入 300万円
 本件資産    600万円 / 現預金     600万円
 特別勘定繰入損 300万円 / 特別勘定    300万円
【令和4年3月期】
 特別勘定    300万円 / 特別勘定戻入益 300万円
 圧縮損     300万円 / 本件資産    300万円

【関連情報】

《法令等》

法人税法42条
法人税法43条

【収録日】

令和 3年 6月18日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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