《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
テレワーク助成金の消費税の取扱い
【質問】
新型コロナウイルス感染症の拡大防止及び緊急時における企業の事業継続対策として、在宅勤務等を可能とするテレワーク環境の構築に取り組む都内中堅・中小企業等に対し、その取組に係る経費の助成を行い、企業の職場環境整備の推進を図ることを目的とするテレワーク助成金が多くの法人に支給されています。 この助成金の支給元は、「公益財団法人東京しごと財団」という公益法人です。その使途は、下記のように定められており、大部分が課税仕入れになると思われますが、課税仕入れに限定されているわけではなく、クラウドサービスの利用料等は、海外取引に該当することも考えられます。 機器等の購入費(例:パソコン、タブレット、VPNルーター) 機器の設置・設定費 (例:VPNルーター等機器の設置・設定作業費) 保守委託等の業務委託料(例:機器の保守費用) 導入機器等の導入時運用サポート費(例:導入機器等の操作説明マニュアル作成費) 機器のリース料(例:パソコン等リース料金) クラウドサービス等ツール利用料(例:コミュニケーションツール使用料) なお、当事務所の関与先の場合には、助成金の全額が課税仕入れに使われています。 テレワーク助成金は、公益財団法人からの助成金なので、消費税法施行令75条4項1号をそのまま文理解釈をすれば、使途特定の特定収入に該当しないようにも思います。 しかし、助成金の原資は税金であること、助成金の性格からして、実際に使われているのはほぼ全額課税仕入れであることを考えると、使途不特定の特定収入にしなければならないのでしょうか。
【回答】
補助金、助成金等の資産の譲渡等の対価以外の収入で、特定支出のためにのみ使用することとされているもの以外のもの(特定収入)については、その特定収入の使途の指定の状況に応じて、仕入控除税額の調整方法が異なります。 この場合の特定収入の使途の特定については、法令等(法令、交付要綱等又は国・地方公共団体が合理的な方法により使途を明らかにした文書)において課税仕入れに係る支払対価の額に係る支出のためにのみ使用することとされているもの(課税仕入れ等に係る特定収入)かどうかを判定することとされています。 ご質問の助成金の交付主体である「公益財団法人東京しごと財団」の根拠法は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」であろうと思われますので、特別の法律により設置された法人には該当しない可能性が高いと思いますが、特定支出や課税仕入れ等に係る特定収入に該当するかどうかの判定に当たっては、公共・公益法人等が国又は地方公共団体から交付を受ける補助金等の使途は、交付要綱等でその使途が明らかにされていないまでも、その多くが予算又は決算において明らかにされていますので、公共・公益法人等においても、国・地方公共団体が合理的な方法により使途を明らかにした文書により補助金等の使途を特定することができるものとされています。 以上のような方法により、特定収入について課税仕入れ等に係る特定収入として特定できない場合には、使途不特定の特定収入に該当することとなり、課税仕入れ等に係る特定収入の該当する場合には、仕入控除税額の計算方法に応じて、更に、課税売上げにのみ要する課税仕入れ等にのみ使途が特定されているもの、課税売上げと非課税売上げに共通する課税仕入れ等に使途が特定されているもの、非課税売上げにのみ要する課税仕入れ等にのみ使途が特定されているものに区分することになります。 特定収入の区分については、その交付主体における補助金等の原資が税金かそれ以外によるものかどうかにかかわらず、上記の方法で判定すればよいのであり、使途不特定の特定収入については、被交付者において実態として課税仕入れにのみ充てられたとしても、そのことで特定収入の区分が変わるものではないと考えます。
【関連情報】
《法令等》
【収録日】
令和 3年 8月25日