《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
自己建設高額特定資産の仕入れ等の場合の事業者免税点制度等の不適用期間の始点
【質問】
不動産賃貸業を営むA社(一般課税適用者)は、店舗としての賃貸用建物を新築することとなりました。新築工事に当たっては、設計はB社と900万円(税抜)で、建物の施工はC社と3億円(税抜)で、また、店舗の内装工事についてはD社と2,000万円(税抜)で請負契約を締結しました。設計は前期に完了しましたが、建物の施工と店舗の内装工事が完了して引渡しを受けたのは当期末になりました。 この賃貸用建物の取得に要した課税仕入れに係る消費税額は、当期分の申告において仕入税額控除を受けることとし、来期からは簡易課税制度の適用を受けたいので、当期中に簡易課税制度選択届出書を提出しようと考えていますが、消費税法上問題はないでしょうか。
【回答】
消費税法上、税抜支払対価の額が100万円以上の建物は調整対象固定資産に該当します。そして、調整対象固定資産に係る税抜支払対価の額が1,000万円以上の場合は高額特定資産に該当することになります。ただし、消費税法第12条の4第1項《高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例》の規定は、その調整対象固定資産が自己建設高額特定資産に該当しない高額特定資産(通常の高額特定資産)であるか、あるいは、自己建設高額特定資産であるかによって、その適用関係が異なります。 具体的には、単なる高額特定資産の場合は、仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間からその仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までは事業者免税点が適用されず、仕入れ等の課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日まで簡易課税制度選択届出書の提出が制限されます。また、自己建設高額特定資産の場合は、費用の累計額が1,000万円以上となった日の属する課税期間後の課税期間に建設等が完了した場合には、それらのタイミングがずれた分だけ、適用制限の終点が後ろにずれることになります。 したがって、取得した資産が単なる高額特定資産か自己建設高額特定資産かは、重要な問題です。自己建設高額特定資産の場合、これらの適用制限の起点が建設等に要した課税仕入れ等の費用の累計額が1,000万円以上となった日の属する課税期間とされており、複数の課税仕入れがあることが前提とされていますから、建設工事が設計から施工までの全てを一の請負契約により行う場合は、単なる高額特定資産と、また、複数の課税仕入れを自ら差配して完成されるような場合は自己建設高額特定資産と判別することになると考えられます。 お尋ねの場合、設計、施工と内装工事という複数の課税仕入れにより完成する自己建設高額特定資産に該当しますが、費用の累計額が1,000万円以上となった日の属する課税期間に建設等が完了していますから、結果的には、通常の高額特定資産の場合と同じ期間制限が掛かることになります。したがって、簡易課税制度選択届出書の提出も当期及び来期は制限されることになり、来期末までは提出できないことになります。
【関連情報】
《法令等》
【収録日】
令和 3年 6月18日