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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

グループ法人間で出向負担金の一部を免除した場合の税務処理について

【質問】

 A社クループでは、親会社のA社と完全支配関係にある子会社であるB社とC社との間で社員の出向契約を締結し、B社の社員をC社に出向させ、当該社員に係る給与は、出向元法人であるB社が支給し、C社からB社に対して出向負担金を支払っています。
 B社とC社の給与水準は同程度であり、両社の間に給与較差はありませんので、これまでは、B社が支払う出向者給与の全額(仮に100とします。)を出向負担金としてC社がB社に支払ってきましたが、近年、C社の業績が思わしくないことから、この度、出向負担金の一部(仮に30とします。)を免除することとしました。
 この場合、グループ法人税制が適用になるA社グループに属するA社、B社及びC社それぞれの税務上の取扱いについてご教示ください。

【回答】

1 出向に係る法人税の取扱いでは、出向者の労務は出向先に対して提供されているため、出向者に対する給与は、原則として、出向先法人において負担することを前提に、使用人出向者に対する給与を出向元法人が支給することとしているため、出向先法人が自己の負担すべき給与負担金を出向元法人に支出したときは、当該給与負担金の額は、出向先法人におけるその出向者に対する給与(退職給与を除く。)として取り扱うものとされています(法基通9-2-45)。
  このように、従業員を出向させた場合、その従業員に対する給与は、出向元法人が負担する出向元法人と出向先法人との給与の較差補填部分(法基通9-2-47)を除き、基本的には出向先法人において負担すべき費用となりますので、出向先法人から受け入れた給与負担金がその負担すべき金額を下回る場合や給与負担金を全く収受していない場合等には、出向元法人と出向先法人との間で寄付金認定の問題が生じます。
2 ところで、お尋ねの親会社A社と子会社B社及びC社のようにグループ法人税制の適用下にある法人間では、内国法人が当該内国法人との間に法人による完全支配関係がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額は損金不算入とされるとともに(法法37〔2〕)、当該他の内国法人が受けた受贈益の額は益金不算入とされる(法法25の2〔1〕)特例が適用になりますが、この特例は、経済的利益の供与による受贈益や寄付金にも適用されますので、お尋ねのように、完全支配関係がある法人間において出向負担金に関し受贈益・寄付金が生じる場合にも、この特例の適用があります。
  そして、完全支配関係がある法人間における経済的利益の供与の取扱いについては、内国法人が、当該内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人から、例えば、金銭の無利息貸付け又は役務の無償提供などの経済的利益の供与を受けた場合には、支払利息又は役務提供の対価の額を損金の額に算入するとともに同額を受贈益の額として益金の額に算入することとなるのであるが、当該経済的利益の額が当該他の内国法人において法第37条第7項《寄附金の損金不算入》に規定する寄附金の額に該当するときには、当該受贈益の額は当該内国法人において法第25条の2第1項《完全支配関係のある法人間の受贈益の益金不算入》の規定の適用があることに留意することとされています(法基通4-2-6)。
  この通達の解説書では、この通達が設けられた趣旨について、従来、子会社が負担すべき費用に相当する金額を親会社が負担したことにより、その負担額が親会社において寄付金に該当する場合でも、子会社においては当該費用の額と受贈益が相殺され、所得金額に影響がないことから、あえて両建経理を行わなくても法人税の課税所得の計算上特段問題は生じなかったが、平成22年度の税制改正で完全支配関係がある内国法人から受けた受贈益は益金不算入とされたことから、上記のような子会社にあっては、当該費用の額を損金算入するとともに、当該受贈益の額を益金算入する両建経理を行い、併せて、当該受贈益の額を益金不算入とすることが必要となり、その所得計算に影響が生じることとなった旨の説明がされています(税務研究会出版局発行「八訂版法人税基本通達逐条解説」431ページ)。
3 また、親法人であるA社については、保有する子会社株式であるB社及びC社の株式について寄附修正事由(上記のグループ法人税制の適用がある寄附金・受贈益の授受、すなわちB社からC社への寄附)が生じた場合には、寄付金の額に持分割合を乗じた金額(すなわち30×100パーセント=30)だけB社株式の帳簿価額を減額し、受贈益の額に持分割合を乗じた金額(すなわち30×100パーセント=30)だけC社株式の帳簿価額を増額する(法令119の3〔6〕他)とともに、それぞれの増減額を利益積立金額に加減算する(法令9〔1〕七。なお、条文上は、ネットの差引金額を加減算する規定となっています。)税務処理を行うこととされています。
4 これらの法令・通達の取扱いにしたがいますと、お尋ねの出向負担金の免除額の取扱いについては、A社、B社及びC社において、それぞれ次のような税務処理が必要となります。
 イ 出向元法人であるB社
   出向者に支払う給与100とB社から受け入れる出向負担金70との差額である免除額30を寄付金として認識(すなわち「現預金70・寄附金30/従業員給与100」)のうえ、当該寄付金の額30を別表四で加算・流出の申告調整を行う。
 ロ 出向先法人であるC社
   同社が負担すべき出向者給与100とB社に支払った出向負担金70との差額である免除額30を受贈益として認識(すなわち「従業員給与100/現預金70・受贈益30」)のうえ、当該受贈益の額30を別表四で減算・流出の申告調整を行う。
 ハ 親会社であるA社
   持分割合に見合う寄付金の額30をB社株式の帳簿価額から減額し、持分割合に見合う受贈益の額30をC社株式の帳簿価額に増額するとともに、それぞれの増減額を利益積立金額に加減算する税務処理を、別表五(一)の「〈1〉 利益積立金額の計算に関する明細書」に反映する申告調整(すなわち、「当期の減」欄にB社株式30、「当期の増」欄にC社株式30をそれぞれ記載)を行う。

【関連情報】

《法令等》

法人税法25条の2
法人税法37条
法人税法施行令9条
法人税法施行令119条の3
法人税基本通達4-2-6
法人税基本通達9-2-45
法人税基本通達9-2-47

【収録日】

令和 2年10月28日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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