《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
用途未定賃貸用建物の仕入税額控除
【質問】
賃貸マンションの引渡しを受け、課税期間の末日時点では、賃貸に供していない場合で住宅用に貸すか事務所等用に貸すか未定の場合には、個別対応方式による仕入税額控除の計算方法はどうなるのですか。
【回答】
事業者の行った課税仕入れ等が課税資産の譲渡等にのみ要するものであるかどうかは、課税仕入れ等を行った日の状況により判定することとされていますが、課税仕入れ等を行った日においてはその用途の区分が明らかにされていない場合でも、その課税仕入れ等の日の属する課税期間の末日までにその用途が決定されたときには、その決定された用途によって仕入税額控除の計算をして差し支えないこととされています。 また、令和2年10月1日以後に行う居住用賃貸建物の課税仕入れについては、仕入税額控除の適用を認めないこととされました。ここでいう「居住用賃貸建物」とは、「消費税法別表第一13号に掲げる住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物」で高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産(高額特定資産等)に該当するものをいいます。課税仕入れした建物が居住用賃貸建物に該当するかどうかは、課税仕入れを行った日(自己建設資産の場合は、その建設に要した課税仕入れの支払対価の額に該当する原材料費及び経費に係るものの合計額(税抜き)が1,000万円以上となった日)の状況により判定します。ただし、その課税仕入れを行った日の属する課税期間の末日において、住宅の用に供しないことが明らかにされたときは、居住用賃貸建物に該当しないものとして取り扱って差し支えないこととされています。 ご質問の場合のように、課税仕入れ等を行った課税期間の末日においても、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかでない建物については、居住用賃貸建物に該当することになります。したがって、その建物に係る課税仕入れ等の税額は、仕入税額控除の適用を受けることはできないことになります。 ただし、仕入税額控除の適用を受けられなかった居住用賃貸建物について、その仕入れの日から同日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間(第3年度の課税期間)の末日までの間(調整期間)に住宅の貸付け以外の貸付けの用に供した場合又は譲渡した場合には、それまでの居住用賃貸建物の貸付け又は譲渡の対価の額を基礎として計算した額を第3年度の課税期間又は譲渡した日の属する課税期間の仕入控除税額に加算して調整することとされています。 なお、上記の改正規定は、令和2年10月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合について適用されますが、同年3月31日までに締結した契約に基づき、同年10月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合には適用されません。
【関連情報】
《法令等》
【収録日】
令和 2年 5月29日