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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

賃上げ・生産性向上のための税制(新所得拡大促進税制)の上乗せ措置の対象となる教育訓練費の範囲について

【質問】

 平成30年4月1日以降開始事業年度から適用されている所得拡大促進税制において、税額控除率の上乗せ措置の対象となる教育訓練費増加要件の対象となる教育訓練費の範囲についての質問です。当社では、使用人に読ませて知識の向上等を図ることを目的に、毎月、事業に関連する沢山の書籍を購入して全ての使用人の閲覧に供しています。書籍の閲覧について、管理はしていないものの、これは使用人の教育訓練に資する取組みと考えますが、この書籍の購入費用は、同税制の対象となる教育訓練費に該当しますでしょうか。

【回答】

1 「賃上げ・生産性向上のための税制」(措法42の12の5)は、平成30年度税制改正において、旧所得拡大促進税制(旧措法42の12の5)を改編したもので、条文上、「全法人対象」(措法42の12の5〔1〕)と「中小企業者等の特例」(同条〔2〕)に区分されます。
  「全法人対象」の制度は、賃金要件(継続雇用者給与等支給額が前年度比3パーセント以上増加)と設備投資要件(国内設備投資額が償却費総額の90パーセント以上)を満たした場合、「中小企業者等の特例」の制度は、賃金要件(継続雇用者給与等支給額が前年度比1.5パーセント以上増加)を満たした場合に、それぞれ給与総額の前年度からの増加額(雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)の15パーセントの税額控除が受けられるというものです。
  これにはさらに上乗せ措置があり、全法人対象では、教育訓練費が過去2年の平均値と比べて20パーセント以上増加した場合には、税額控除率が20パーセントとされ、中小企業者等の特例では、継続雇用者給与等支給額が前年度比2.5パーセント以上増加し、かつ、教育訓練費が前年度に比べて10パーセント以上増加した場合等には、税額控除率が25パーセントとされます。
2 この措置の対象となる教育訓練費とは、「法人がその国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用で政令で定めるものをいう。」と規定され(措法42の12の5〔3〕十)、政令及び規則では、〔1〕法人がその国内雇用者に対して教育訓練等を自ら行う場合の外部講師等(当該法人の役員又は使用人である者は除かれます。)に対して支払う報酬・料金・謝金や旅費、教育訓練の計画や内容作成の外部専門家への委託費、施設・設備その他の資産の賃借費用、DVD等のコンテンツ使用料など、〔2〕法人から委託を受けた他の者が教育訓練等を行う場合の当該他の者に対して支払う委託費用及び〔3〕法人がその国内雇用者を他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の授業料、受講料、受験手数料などが挙げられています(措令27の12の5〔18〕、措規20の10〔3〕~〔5〕)。
  この制度を説明した経産省の広報誌(「中小企業向け所得拡大促進税制ご利用ガイドブック―平成30年4月1日以降開始の事業年度用―」)では、お尋ねの書籍等の教材購入費の取扱いに関連するものとして、「対象とならない費用」の(6)に、教材等の購入・製作に要する費用が挙げられるとともに、Q&Aの中で、会社が自ら教科書や教育訓練用コンテンツを製作した場合の材料購入費等(Q59)、また、会社の教育訓練担当部署が教育訓練プログラム等を作成するために内部検討資料として購入した書籍の購入費(Q61)は、いずれも対象に含まれないこととされています。
  この点、制度創設時の「改正税法のすべて(平成30年版)」では、テキスト等の教材費が教育訓練費に含まれていないことについて、注書で、「教科書は、教育訓練費の対象外とされていますが、これは、本制度では税額控除率の上乗せの要件でもあり、一つ一つが少額で集計が困難であることに配慮し、その適否の判定が煩雑なものとならないように簡素化が求められたことからです。」と説明されております(435~436頁)。
  この財務省の説明及び上記の政令及び規則で詳細に限定列挙されている費用の中身を見ますと、本制度の対象となる教育訓練費は、実務での対象費用の判定を明確化するため、外部の専門家等に対外的に支払われる費用に限定することとされたものとも推察されます。
  したがいまして、お尋ねの使用人の知識の向上等のために購入している書籍の購入費については、本制度の上乗せ措置の対象となる教育訓練費には含まれないものと考えます。

【関連情報】

《法令等》

租税特別措置法42条の12の5
租税特別措置法施行令27条の12の5
租税特別措置法施行規則20条の10

【収録日】

平成31年 4月26日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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