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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

中小企業倒産防止共済契約(経営セーフティ共済)の再加入時の共済掛金の損金算入の見直し(令和6年度改正)

【質問】

 当社(10月決算)は中小企業倒産防止共済契約(経営セーフティ共済)に加入済で、すでに加入後4年経過しています。当社では令和6年3月に工場において大規模修繕を行ったため、多額の修繕費が発生しましたので、令和6年10月決算では、同共済契約を解約して共済積立金の解約返戻金を雑収入に計上することにより、損失計上額をできるだけ少なくすることを検討しています。
 ところで、令和6年度税制改正において、中小企業倒産防止共済契約の再加入時の共済掛金の損金算入が制限される見直しが行われたとのことですが、その改正内容と適用時期について教えてください。

【回答】

1 中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)制度の概要
  中小企業倒産防止共済法に基づき昭和53年4月に創設された共済制度で、運営主体は(独)中小企業基盤整備機構です。この共済制度は、取引先企業の倒産により売掛金債権の回収が困難となった場合に自らの連鎖倒産等の事態を防止するため、共済金の貸付けが受けられるものであり、具体的には、共済契約者は予め掛金を積み立て(月額5千円~20万円、掛金積立限度額800万円)、取引先・企業の倒産により売掛金債権が回収困難となった場合には、この回収困難額と積み立てた掛金の10倍のいずれか少ない額を上限に、無担保・無保証人で共済金の貸付けが受けられます。
  なお、中小企業倒産防止共済の契約件数は、令和5年3月末で約62万件(個人事業者等を含みます。)と公表されています。
2 中小企業倒産防止共済事業に係る基金に充てるための共済契約に係る掛金の取扱い
  特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例(措法66の11)は、法人が各事業年度において、長期間にわたって使用され、又は運用される基金又は信託財産に係る負担金又は掛金で、同条に掲げる負担金等を支出した場合には、その支出した金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入するという特例制度です。
  この特例に、(独)中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済法の規定による中小企業倒産防止共済事業に係る基金に充てるための共済契約に係る掛金が適用対象に含まれる旨規定(措法66の11〔1〕二)されています。
  また、この共済契約に係る掛金を前納した場合には、その前納の期間が1年を超えるものは、上記の支出時損金算入の規定の適用外とする旨の取扱い(措通66の11-3)が設けられています。これは、中小企業倒産防止共済契約に係る掛金の額は、前納の期間が1年を超えない限り、納付時の損金の額に算入ができることを明らかにしたものです。
  なお、法人が支出した中小企業倒産防止共済契約に係る掛金の額を損金に算入する場合は、確定申告書に「特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」(別表10(7))を添付する必要があります(措法66の11〔3〕)。
3 令和6年度税制改正の背景
  所管省庁の中小企業庁は、近年、解約手当金の支給率が100パーセントとなる加入後3年目、4年目に解約が大きくなる時期に、共済契約を解約する傾向が特に顕著になっている一方、共済契約を解約してすぐに再加入する行動変容(加入者のうち再加入者は約16パーセントあり、そのうち2年未満に再加入する者が約8割)が発生していることから、このような脱退・再加入は、積立額の変動により貸付可能額も変動することとなり、連鎖倒産への備えが不安定となるため、本来の共済制度利用に基づく行動とは認められないとしています。
(中小企業庁:令和6年1月公表「中小企業倒産防止共済制度の不適切な利用への対応について」参照)。
4 中小企業倒産防止共済契約の再加入時の掛金の損金算入の見直し
  令和6年度税制改正において、中小企業倒産防止共済契約を令和6年10月1日以後に解除した場合、解除の日から2年間は再加入の共済契約の掛金の損金算入の特例が適用できないとする次の改正が行なわれています。
 (1)中小企業倒産防止共済事業に係る措置について、中小企業倒産防止共済法の共済契約の解除があった後に再加入し共済契約を締結した場合には、その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出するその共済契約に係る掛金は損金算入の特例が適用されないこととされました(措法66の11〔2〕)。
 (2)この改正は、法人の締結していた共済契約につき令和6年10月1日以後に解除があった後共済契約を締結した法人が当該共済契約について支出する掛金について適用されます(令和6年改正法附則53)。
  なお、上記改正は法人税関係となりますが、所得税関係の規定「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入の特例(措法28)」についても同様の改正が行なわれています。

【関連情報】

《法令等》

租税特別措置法28条
租税特別措置法66条の11
令和6年改正法附則30条
令和6年改正法附則53条

【収録日】

令和 6年 4月17日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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