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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

建物の建設資金の融資に係る融資手数料の取得価額算入の要否

【質問】

 A社は、機械部品製造業を営む12月決算法人ですが、工場の地方移転に伴い、所有する工場跡地にテナントビルを建設し賃貸することとなり、その建設資金として取引銀行から5億円の融資を受けましたが、融資条件が特殊であったため融資手数料500万円を平成30年2月に支払いました。
 この融資手数料については、とりあえずテナントビルの建設仮勘定として経理しましたが、最終的には、テナントビルの取得価額に算入する必要があるのでしょうか。

【回答】

1 お示しの融資手数料(以下「本件融資手数料」といいます。)とは、テナントビル(以下「本件ビル」といいます。)の建設のために必要な資金を金融機関から融資を受けるに当たり、融資に必要な手続の実行に係る役務の提供の対価として支払われるものと認められ、それらの役務の提供は、融資の実行までに完了するものと認められることから、本件融資手数料の支払の債務は支払時において確定しているものと認められます(法基通2-2-12)。
  したがいまして、本件融資手数料は、資産の取得価額を構成する場合でなければ、支払時を含む事業年度の損金の額に算入すべき費用となるものと考えられます。
2 そこで、融資手数料の資産の取得価額算入の要否を検討すると以下のとおりです。
  すなわち、自己の建設等に係る減価償却資産の取得価額は、〔1〕その資産の建設等のために要した原材料費、労務費及び経費の額及び〔2〕その資産を事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額とされています(法令54〔1〕二)。
  ところで、融資手数料については特段の取扱いは示されていませんが、同じく融資に伴い生じる費用である融資利息すなわち借入金利子についてみると、固定資産を取得するために借り入れた借入金の利子の額は、たとえその固定資産の使用開始前の期間に係るものであっても、これをその固定資産の取得価額に算入しないことができるものとされています(法基通7-3-1の2)。
  この取扱いは、企業会計上、支払利息については、財務活動により生じる費用として営業外費用に分類されるものの、例外的処理として、建設に要する借入資本の利子で稼動前の期間に属するものは、これを取得価額に算入することができる(企業会計原則と関係諸法令との調整に関する連続意見書第三(昭和35年6月22日大蔵省企業会計審議会中間報告)、第一、四、2)とされていることを、税務上も考慮することとしたものであり、資産の取得資金や建設資金としての借入金に係る利子については、これを取得価額に算入するかどうかを法人の選択に任せることとしたものと解されます。
  この借入金の利子に係る取扱いを融資手数料について準用できるかどうかが問題となりますが、融資手数料及び融資利息は、融資利息が借入期間の経過に伴い約定利率に従って発生するのに対して、融資手数料は借入れに先立つ融資実行に係る金融機関の役務の提供の対価として発生することにおいては異なるものの、ともに資金の融資を受けるという企業の財務活動により生じる費用であることからすると、この取扱いを参考とすることができるものと考えられます。
  そして、資産の取得との関連性の度合いについて考えると、利子の発生前に生じる融資手数料が利子よりも資産の取得との関連性が高いものとは解されないところ、上記のとおり借入金利子でさえ資産の取得価額に算入することは要しないこととして取り扱われることからすれば、融資手数料についても資産の取得価額に算入しないことができるものと解するのが相当と考えられます。
  したがいまして、本件融資手数料については、本件ビルの取得価額に算入することなく、支払時の損金の額に算入して差し支えないものと考えられます。
3 なお、借入金の利子の額を建設中の固定資産に係る建設仮勘定に含めたときは、その利子の額は固定資産の取得価額に算入されたこととして取り扱われます(法基通7-3-1の2(注))。
  これは、借入金利子を取得価額に算入するかどうかの選択は、これを支出した事業年度において判断すべきところ、一旦借入金利子を資産の取得価額に算入した場合は、その後の事業年度において改めてこれを取得価額から抜き出して損金算入することを禁じた取扱いと解されます。
  したがいまして、本件融資手数料についても、当期(平成30年12月期)において建設仮勘定に含めた場合には、その後の事業年度においてこれを抜き出して損金算入することはできないことになりますので、本件ビルの完成時において本件融資手数料の額を取得価額に含めるか否かについては当期中に判断する必要があり、もし、損金の額に算入することとする場合には、当期末までに建設仮勘定経理を取り消した上で支払手数料等として損金経理する必要があるものと考えられます。

【関連情報】

《法令等》

法人税法施行令54条
法人税基本通達2-2-12
法人税基本通達7-3-1の2
企業会計原則と関係諸法令との調整に関する連続意見書第三、第一、四

【収録日】

平成30年 4月28日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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