《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
役員の社宅
【質問】
A社が役員Bの居住している住宅を役員Bの社宅として賃借し、A社が役員Bへ近隣の相場からみて適正な地代家賃を支払い、A社が引き続き居住している役員Bから所得税基本通達36-40~41に定める賃料相当額を徴収した場合には、社宅に係る経済的利益はないものとして差し支えないでしょうか。
【回答】
A社が役員Bに支払った地代家賃(時価相当額)と役員Bから徴収した所得税基本通達に基づき計算した賃料相当額との差額は、役員Bに対する給与等として課税対象になると考えられます。
【関連情報】
《法令等》
【解説】
社宅等とは、使用者から役員又は使用人に対して、使用者の業務上の必要に基づいて提供される住宅であることから、次のような意義ないし性格を有するものと考えられます(税務Q&A文献番号46102256「従業員が探した住宅を借上社宅とした場合の経済的利益について」参照)。(1)使用者が所有する住宅又は使用者が家主と賃貸契約を締結した住宅であること。(2)使用者から貸与される住宅で使用人には居住する住宅の選択性が乏しく、複数の住宅がある場合でも使用人の地位等に応じた一定の入居基準(役職や勤続年数の基準等など)が設けられ、貸与される住宅もおのずと限定されること。 したがって、使用者が役員の居住している住宅を借り上げ、当該住宅をそのまま役員に貸与するものは、所得税基本通達36-40又は36-41の適用対象となる社宅とは異質であると思われます。 そうしますと、A社が役員Bから徴収する賃料相当額に所得税基本通達の適用はありませんので、A社が役員Bに支払った地代家賃(時価相当額)と役員Bから徴収した所得税基本通達に基づき計算した賃料相当額との差額は、役員Bに対する給与等として課税対象になると考えられます。
【収録日】
令和 5年 5月17日