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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

非居住者が支給を受ける退職手当の選択課税

【質問】

 国内で勤務したあと、外国支店勤務となり、その外国で定年となり退職した。
 この程支払を受けた退職金は、国内勤務および外国勤務の期間を通じてのものである。
 この退職金につき源泉徴収された所得税について、軽減される措置があると聞いたが、それはどのようなものか。

【回答】

 国内の事業所から、国外の支店、事業所に転勤し、非居住者となった者がそこで退職し非居住者として退職手当等の支払を受けた場合には、その退職手当等の金額に100分の20を乘じて計算した所得税を分離課税されるとされている。
 この場合に、退職手当等の支払を受けた非居住者は、その退職手当等について、その支払の基因となった退職を事由としてその年中に支払を受ける退職手当等の総額を居住者として受けたものとみなして、所得税法第30条および第89条の規定を適用するものとした場合の税額に相当する金額により所得税を課されることを選択することができるとされている。

【関連情報】

《法令等》

所得税法161条8号ハ
所得税法164条2項2号
所得税法170条
所得税法173条

【解説】

 国内の事業所から、国外の支店、事業所に転勤し、非居住者となった者がその国外で退職し、非居住者として退職手当等の支払を受けた場合には、その退職手当等のうち居住者として勤務していた期間(国内事業所に勤務していた期間)に対応する部分については国内源泉所得に該当し、原則としてその退職手当等の金額に100分の20を乗じて計算した所得税を分離課税により徴収されるとされている(所法161条8号ハ、164条2項2号、170条)。
 この場合に、退職手当等の支払を受けた非居住者は、その退職手当等について、その支払の基因となった退職(その年中に支払を受けるその退職手当等が2以上ある場合には、それぞれの退職手当等の支払の基因となった退職)を事由としてその年中に支払を受ける退職手当等の総額を居住者として受けたものとみなして、所得税法第30条(退職所得)および第89条(税率)の規定を適用するものとした場合の税額に相当する金額により所得税を課されることを選択することができるとされている(所法171条)。
 このことは、居住者が退職手当等の支払を受ける場合には、退職後の収入減少や老後の生活等の担税力の弱さを考慮して勤続年数に基づく退職所得控除額を控除し、その控除後の金額の2分の1を退職所得の金額として所得税の負担の軽減を図っているものである(所法30条)。
 そこで、非居住者に対しても国内勤務に基因して支払を受ける退職所得がある場合には、それらの担税力等を考慮しこの規定が設けられていると考えられるものである。
 この退職所得に係る選択課税について具体的に示すと次のとおりとなる。
1 分離課税を受ける非居住者が、その支払を受ける居住者期間に係る退職手当等につき非居住者に対する源泉徴収の規定の適用を受ける場合において、その退職手当等につき上記の選択をするときは、その者は、その退職手当等に係る所得税の還付を受けるため、その年の翌年1月1日(同日前に所得税法第171条に規定する退職手当等の総額が確定した場合には、その確定した日)以後に、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出することができるとされている(所法173条1項、所規70条)。
(1)その年中に支払を受ける退職手当等の総額(所得税法第171条の規定の適用がある部分の金額に限る)およびその総額につき所得税法第171条の規定を適用して計算した所得税の額
(2)その年中に支払を受ける退職手当等につき非居住者に対する源泉徴収の規定により徴収されまたは徴収されるべき所得税の額がある場合には、その所得税の額(その退職手当等の額のうちに、その年の中途において国内に居所を有しないこととなったことにより提出する1の申告書に記載すべき部分の金額がある場合には、その金額につき所得税法第170条の規定を適用して計算した所得税の額を含む)。
(3)(2)に掲げる所得税の額から(1)に掲げる所得税の額を控除した金額
(4)(1)に掲げる退職手当等の総額の支払者別の内訳およびその支払者の氏名または名称および住所もしくは居所または本店もしくは主たる事務所の所在地
(5)(1)に掲げる所得税の額の計算の基礎
(6)所得税法第173条第2項の規定による還付金の支払を受けようとする銀行または郵便局の名称および所在地
(7)その他参考となるべき事項
2 1による申告書の提出があった場合には、税務署長は、1の(3)の金額に相当する所得税を還付することとされている(所法173条2項)。
3 2の場合において、その申告書に記載された1の(2)に掲げる所得税の額(所得税法第212条から第215条までの規定により源泉徴収されるべきものに限る)のうちにまだ納付されていないものがあるときは、2の還付金の額のうちその納付されていない部分の金額に相当する金額については、その納付があるまでは、還付されないとされている(所法173条3項)。
4 2による還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第58条第1項の期間は、1の申告書の提出があった日(同日後に納付された3に係る所得税の額に係る還付金については、その納付の日)の翌日からその還付のための支払決定をする日またはその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなった日がある場合には、その適することとなった日)までの期間とするとされている(所法173条4項)。
 このため、上記に係る退職手当等を支払う者は、原則どおり100分の20の割合による源泉徴収を行っておく必要があることとなる。

【収録日】

平成13年 9月 5日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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