TKC会員事務所一覧 TKC会員のご紹介
戻る 前文献
20文献中の1文献目

《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

生命保険金を代償分割の代償金として交付した場合の課税関係

【質問】

 被相続人甲には、配偶者乙、長男丙及び長女丁の3人の相続人がいる。
 甲の遺産は、亡父から相続した郷里の不動産4,000万円があるのみで、他にめぼしい財産はない。このほか、甲は自己を被保険者とする生命保険を掛けていたので、その死亡保険金6,000万円が保険金受取人である乙に支払われた。
1 乙は、遠隔地にある甲の遺産である不動産を相続することを望まず、これを丙又は丁に相続させた上で、更に受取保険金の中から丙及び丁に合計3,000万円程度を交付することで代償分割による遺産分割協議を調えたいと思っている。
 この場合に、相続人らについて相続税以外の税負担は生じないと考えてよいか。
2 仮に、乙が甲の郷里の不動産を取得することとし、受取保険金の中から乙及び丁に対し各2,000万円の金銭を交付することで遺産分割協議を成立させた場合にはどうか。

【回答】

1 上記1の場合には、乙は遺産を取得しないことから、相続による取得遺産の価額を調整するための代償分割が成立する余地はありません。また、乙が取得した死亡保険金は、甲の遺産ではないので、これを遺産分割の対象とすることはできません。
 この場合には、相続財産の処理には関係なく、乙が自己の固有財産となった生命保険金を原資として丙又は丁に金銭の贈与をしたことになりますから、丙又は丁には贈与税が課税されます。
2 上記2の場合には、乙は遺産を取得しているので、乙が取得財産の価額の範囲内で他の共同相続人に交付した金銭等は、代償分割に係る代償金に該当すると解することができます。したがって、代償分割であることを明示した遺産分割による限り、相続人らに相続税以外の贈与税等の課税関係は発生しません。

【関連情報】

《法令等》

相続税法9条
商法673条
商法675条
家事審判規則109条

【解説】

 生命保険契約は、保険契約者と保険会社の両当事者が契約を締結して、保険事故(満期や被保険者の死亡)が発生した場合には、保険会社がかねて約定した保険金を保険契約者の指定した保険金受取人に支払うことになる双務・諾成の契約です。
 したがって、死亡保険金が支払われる場合でも、保険金(保険金請求権)は、いったん保険契約者であった被保険者に帰属した上で、改めて相続により保険金受取人に帰属するとの根拠はありません。判例でも、死亡保険金請求権の遺産性・相続財産性はないとし、保険金受取人の固有財産であるとしています(最高裁昭和48年6月29日第二小法廷判決・民集27巻6号737ページ)。
 代償分割は、遺産分割を行う上で分割が困難な財産や分割を望まない財産がある場合に、そのことにより遺産を共同相続人が合意できる価額の割合に分割できないときの価額調整のための分割方法ですから、多すぎる価額の財産を取得した相続人が他の相続人に自己の財産を交付して、各相続人のネットとしての取得財産価額を合意の財産価額に合わせるための方法です。
 そうすると、代償債務者が取得した相続財産(相続税法上のみなし取得財産を含まない)の価額を上回る代償金を交付することは、その代償債務者の固有財産を移転するもので、実質的に相続を機に自己の財産を他に無償移転することにほかならないといえます。

【収録日】

平成16年 2月 6日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
注2: 当Q&Aの内容は、作成時の法令等を基に作成しております。このため、当Q&Aの内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
注3: 当Q&Aの著作権は株式会社TKCに帰属します。当Q&Aのデータを改編、複製、転載、変更、翻訳、再配布することを禁止します。

 TKC会員事務所一覧 TKC会員のご紹介
戻る 前文献 次文献