TKC会員事務所一覧 TKC会員のご紹介
前文献
20文献中の1文献目

《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

複数棟が一括借上げされた貸家の敷地の評価単位

【質問】

 被相続人甲は、2,000平方メートルの土地にアパート3棟を建築し、3棟すべてを同一の不動産会社に一つの契約書で一括賃貸(家賃定額のいわゆるサブリース方式)している。
 このように、賃貸契約が建物ごとではなく、3棟一括で一つの契約書になっている場合の評価は、敷地全体を1画地として評価するのか、それともアパートの敷地ごとに1画地として評価するのか。

【回答】

 宅地の価額は、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいいます。)ごとに評価するとされており、また、貸家建付地を評価する場合において、貸家が数棟あるときには、原則として、各棟の敷地ごとに1画地の宅地とするとされています。
 ご質問のアパートの敷地については、3棟が同一の不動産会社に一つの契約書で一括借上げにより賃貸されているとしても、原則として、それぞれの建物の敷地ごとに評価することになります。

【関連情報】

《法令等》

財産評価基本通達7-2
国税庁ホームページ>法令等>質疑応答事例>財産の評価>宅地の評価単位

【解説】

1 宅地は、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいいます。以下同じ。)を評価単位とすることとされています(評基通7-2)。
  「1画地の宅地」の判定は、原則として、〔1〕宅地の所有者による自由な使用収益を制約する他者の権利(原則として使用貸借による使用借権を除きます。)の存在の有無により区分し、〔2〕他者の権利が存在する場合には、その権利の種類及び権利者の異なるごとに区分するとされており、貸家建付地を評価する場合において、貸家が数棟あるときには、原則として、各棟の敷地ごとに1画地の宅地として評価することとされています(国税庁HP質疑応答事例)。
2 同旨の裁決事例として、「一般に、建物の賃借人は、建物の賃貸借契約の性質上当然に、建物の使用目的の範囲内においてその敷地の利用権を有するものと解され、所有する宅地の上に貸家が複数ある場合、各貸家の敷地に、各貸家の使用目的の範囲内において利用権がそれぞれ生じ、その利用権に基づき各貸家の敷地がそれぞれ利用されることとなるところ、〔1〕本件契約は、その実態において、本件各共同住宅の棟ごとに締結された賃貸借契約を1通の契約書としたにすぎないと認められ、また、〔2〕本件各共同住宅は、構造上各棟がそれぞれ独立した建物であり、各棟が一体のものとして機能していた特段の事情があるとも認められないことからすると、構造上全体が一体のものであるともいえず、本件各宅地の上に存する本件各共同住宅の賃借人である本件賃借会社の敷地利用権の及ぶ範囲は、本件各共同住宅(5棟)の敷地ごとに及んでいるものと認めるのが相当である。そうすると、本件各宅地は、財産評価基本通達7-2《評価単位》により、遺産分割後の所有者単位に基づき、本件各宅地をそれぞれ取得した者(2名)ごとに区分し、その上で、区分した各宅地に存する本件各共同住宅の敷地ごとに区分することとなるから、本件各土地の評価単位は、5画地とすることが相当である(平26年4月25日 東裁(諸)平成25-111)」としたものがあります。
3 したがいまして、本件アパートのように貸家が数棟あるときの敷地の評価単位としては、数棟が一つの契約で一括借り上げにより賃貸されているとしても、原則として、それぞれの建物の敷地ごとに評価することになると考えられます。

【収録日】

令和 1年 7月31日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
注2: 当Q&Aの内容は、作成時の法令等を基に作成しております。このため、当Q&Aの内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
注3: 当Q&Aの著作権は株式会社TKCに帰属します。当Q&Aのデータを改編、複製、転載、変更、翻訳、再配布することを禁止します。

 TKC会員事務所一覧 TKC会員のご紹介
前文献 次文献