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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

相続人への貸付地と小規模宅地等の特例

【質問】

 被相続人は、10年前に長男が自己の事業用店舗を建築するに際し、その敷地を有償で貸し付けたが、当該敷地については、小規模宅地等の特例(以下「本件特例」という。)の適用ができるか。

【回答】

 親子間の土地貸借が相当の対価による賃貸借と認められる場合において、借主である長男が当該土地を取得するときには本件特例の適用はできませんが、長男以外の親族が取得するとともに貸付事業用宅地等に係る他の要件も満たすときには本件特例の適用が認められます。

【関連情報】

《法令等》

租税特別措置法69条の4第3項4号
租税特別措置法施行令40条の2第1項
民法520条
民法593条
民法601条
財産評価基本通達25

【解説】

1 賃貸借とは、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって効力を生ずる契約であり(民法601)、親族間であっても成立するものと解されています。
  ところで、親子間の土地貸借については、一般的に無償の使用貸借(民法593)と認められる場合が多く、たとえ固定資産税等相当額の使用料の授受があったとしても使用貸借に該当するものと解されているのですが、授受される賃料の額が通常の賃料に比して同等で、賃貸借契約書も締結されているなどの事実により賃貸借の成立が認められるときには、借主は借地権を持つことになり、当該土地は貸宅地として評価されることとなります(評基通25)。
2 ところで、本件特例の適用が認められる貸付事業用宅地等(措法69の4〔3〕四)に該当するためには、賃貸借の成立だけでは不十分で、被相続人がその対象となった宅地等について実際に「相当の対価を得て継続的に貸し付けている」ことが必要とされていますが(措令40の2〔1〕)、この「相当の対価」の意義については、一般的に貸付けの対象となっている資産の減価償却費、固定資産税等の公租公課その他の必要経費を回収した後において、なお相当の利益を生じているような対価であるか否かによって判定することとされています。
  そして、この賃料の相当の対価性以外にも、貸付事業用宅地等の該当要件には相続税申告期限までの事業継続があるところ、仮に、ご質問の宅地を借主である長男が取得するとした場合には、相続開始と同時に借主と貸主の地位が同一人に帰属して賃貸借契約は混同により消滅し(民法520)その要件を満たさないこととなることから、本件特例は適用できないものと考えられます。
  しかし、長男以外の親族がご質問の宅地を取得する場合には、賃貸借契約の混同による消滅はありませんので、長男との相当の対価に係る賃貸借契約を相続後も引き続き継続するなど貸付事業用宅地等に係る要件が満たされるのであれば、本件特例を適用することができると考えられます。

【収録日】

令和 2年 1月29日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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