《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
特定の事業用資産の買換えの特例(3号)において買換資産が複数の土地等である場合の面積要件
【質問】
個人甲は、令和5年に15年以上所有していた賃貸用の事業用資産を譲渡し、同年中に土地3筆とその上の建物3棟(特定施設に該当するもの)を取得した。この3筆の土地は隣接して所在しているとともに各建物は各々独立しているが、いずれも同一の者に一体で事務所として賃貸の用に供されている。 この事業用資産の譲渡については、租税特別措置法37条1項の表3号に規定する買換えの特例を受けたいと考えている。買換資産である土地については、1筆ごとの面積ではいずれも300平方メートル未満であるが、3筆の合計面積は300平方メートル以上である。この3筆の土地について、同項表3号の買換資産としての面積要件を満たしていると解してよいか。
【回答】
3筆の土地が特定施設の敷地として一体として事業の用に供されているときは、3筆の土地の合計面積が300平方メートル以上であることから、面積要件は満たしているものと考えられます。
【関連情報】
《法令等》
【解説】
1 個人の特定の事業用資産の買換えの特例において、租税特別措置法37条1項の表3号に規定する買換えについては、特例の対象となる買換資産である土地等が特定施設の敷地でその面積が300平方メートル以上のものに限られています(同号下欄)。 この場合の特定施設の敷地の面積要件については、一般的には「特定施設の敷地の用に供される一の土地等の面積が単独で300平方メートル以上のもの」をいうと解されています。 したがって、物理的に隣接しない複数の土地については、それぞれの土地ごとにその面積が300平方メートル以上であるかどうかを判定することになります。2 しかし、〔1〕お互いに隣接する複数の土地等をまとめて取得し、これらの土地等を一の特定施設の敷地の用に供する場合や、〔2〕隣接する複数の土地をまとめて取得し、これらの土地等がそれぞれの複数の特定施設の敷地の用に供される場合で、これらの特定施設を一体として事業の用に供すると認められるときは、これらの土地等の合計面積をもって面積要件の判定をすることが相当です。 この点については、法人税の特定資産の買換えの特例(措法65の7)に関するものですが、国税庁ホームページの質疑応答事例「特定資産の買換特例(第3号)において買換資産が複数の土地等である場合の面積要件の判定について」において、これと同義の回答をしているものがあります。このような考え方は、個人の特定の事業用資産の買換えの場合にも同様に解するのが相当であると思われます。3 したがって、ご質問の場合にも、買換資産である建物3棟が特定施設に該当し、これらが一体として事業の用に供されている場合には、その敷地の面積要件はそれらの取得した土地の合計面積をもって判定することになります。その結果、面積が300平方メートル以上となるのであれば、その土地は買換資産としての面積要件を満たしているものと考えられます。
【収録日】
令和 6年 4月22日