《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
10年前に退職した会社から受け取った特別弔慰金の相続税法上の取扱い
【質問】
被相続人は、相続開始の10年前に、勤めていた会社(以下「本件会社」という。)を退職して、退職金を受け取っていた。 そして、被相続人の相続開始後に、本件会社からその相続人に対して特別弔慰金200万円が支払われたが、この特別弔慰金は、本件会社が、被相続人の退職後も保険会社と契約し、保険料の全額を負担していたものであり、被相続人の死亡により本件会社が受け取った保険金を原資に、その遺族に対して特別弔慰金として支払ったものである。 この相続人が受け取った特別弔慰金は、相続税法3条の生命保険金又は退職手当金に該当して相続税の課税対象となるか。
【回答】
ご質問の特別弔慰金は、相続税の課税対象となる生命保険金又は退職手当金に該当しないと考えます。
【関連情報】
《法令等》
【解説】
1 被相続人の死亡により相続人その他の者が当該被相続人に支給されるべきであつた退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与で被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合においては、当該給与の支給を受けた者について、相続又は遺贈により取得したものとみなされます(相法3〔1〕二)。2 ご質問の場合、被相続人は、本件会社を10年前に退職した後は雇用関係もなく、退職手当金の支給も既に受けていたとのことですので、本件会社から支給された特別弔慰金は、相続税法3条1項2号に規定する退職手当金等に該当しないと考えられます(国税庁質疑応答事例「生前に退職している被相続人の死亡により元の勤務先から支払いを受ける特別弔慰金等」参照)。3 ところで、雇用主がその従業員のためにその者を被保険者とする生命保険契約に係る保険料の全部又は一部を負担している場合において、従業員の死亡を保険事故としてその相続人その他の者が当該保険金を取得した場合、雇用主が負担した保険料は、当該従業員が負担していたものとして、当該保険料に対応する部分については、相続税法3条1項1号の規定を適用するとされています(相基通3-17)。 ご質問の場合、特別弔慰金の原資となった生命保険は、本件会社が契約者かつ負担者で受取人でもあることからしますと、相続人は被相続人の死亡を保険事故として保険金を受け取ったものとはいえず、本件会社から特別弔慰金として取得したものと認められますので、相続税法3条1項1号に規定する生命保険金にも該当しないと考えられます。4 したがいまして、ご質問の特別弔慰金は、被相続人の相続税において、課税対象となる相続財産には該当しないと考えます。
【収録日】
令和 7年 9月22日