《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
立体駐車場(露天式)の減価償却資産としての種類(建物該当性)について
【質問】
甲社は工場の横に自走式立体駐車場(以下「本件駐車場」という。)を設置しました。2階建てで、自動車がスロープで2階に上がり駐車するものです。 この本件駐車場の2階には屋根はなく(いわゆる露天式)、グレーチング(平型鋼を組み合わせて格子状にしたもの)施工で、外からも車が見える状況です。このような状況から甲社としては、今のところ本件駐車場を建物としての登記を予定していません。 本件駐車場の法人税における減価償却資産の耐用年数表の種類は、建物とすべきか教えてください。
【回答】
1 法令等の規定(1)法人税法では建物の定義を置いていません。一般に、「建物」とは、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものと考えられます。 また、耐用年数の適用等に関する取扱通達(以下「耐通」という。)には、次の記載があります。「いわゆる立体駐車場については、構造体、外壁、屋根その他建物を構成している部分は、別表第一の「建物」に掲げる「車庫用のもの」の耐用年数を適用する。」(耐通2‐1‐12)。 この通達の解説書には、「立体駐車場といわれるものは、構造的に屋根・隔壁を有し、その内部に車両を格納する方式のものと、屋根・外壁を有せず、鉄骨製柱と鉄板製床、進入路のスロープにより構成されている露天式もの(車両本体を登載する回転式又は上下昇降式のワゴンを設置しているもので屋根及び壁を有しないものを含む。)の二方式があるが、前者はその構造からその外構は建物に該当し、車両を格納するものであるから、車庫用の建物に該当するが、後者は建物としての構造を有していないので、構築物(露天式立体駐車場設備)に該当するものである。」との記載が見られます(税務研究会出版局・<改訂新版>耐用年数通達逐条解説65頁)。(2)耐用年数省令の建物の耐用年数の基となった「固定資産の耐用年数の算定方式」(昭和26年大蔵省主税局)では、建物構造を5種に分け、各種類別に用途、使用状況の差異による区別を設け、細分化された種類ごとに耐用年数を算定する過程を明らかにしていますが、この算定方式によれば、建物は「防水」、「床」、「外装」、「窓」、「構造体その他」に区分して、耐用年数を個別に算定した上でそれを総合して耐用年数を算定し、これに一般的な陳腐化及び現況下の技術及び素材の材質による一般的調整を加えています。2 裁決事例について 自走式立体駐車場のうち、屋外露天式に関しては、次の裁決があります。 自走式立体駐車場設備で屋外露天式のものは、屋根及び隔壁を有せず、鉄骨製の骨組み部分、床及びスロープ部分、基礎部分等より構成されており、上層部へのスロープを利用して車両が自走し、駐車位置まで移動する構造となっているもので、構築物に該当する。したがって、本件立体駐車場設備の耐用年数は、耐用年数省令別表一機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表の「構築物」の「金属造のもの」、細目の「その他のもの」に該当し45年を適用する。(平成10年10月8日裁決、裁決事例集No.56-251頁)。 なお、この裁決時には構築物の細目として「露天式立体駐車場」(耐用年数15年)はありませんでしたが、請求人は更正処分後に「耐用年数の短縮承認申請」を行い、15年による償却が承認されています。その後、露天式立体駐車場(耐用年数15年)は、平成20年度税制改正により追加され、平成20年4月1日以後に開始する事業年度から適用されることとなっています。3 ご質問に対する回答 本件駐車場はスロープで2階に自動車が上がり駐車するもの(自走式立体駐車場)で、駐車場の2階には屋根はない(いわゆる露天式)とのことです。 単に立体駐車場という場合には、屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、ご質問にあるように、建物に該当する事例もあると思われますが、本件駐車場は露天式(屋根がない。)であることから「建物」には該当せず、「建物」以外の建造物である「構築物」に該当するものと考えます。 併せて、本件駐車場は、露天式、グレーチング施工のものということから、耐用年数表別表一の種類「構築物」、構造又は用途「金属造のもの(前掲のものを除く。)」、細目「露天式立体駐車場」に該当するものと考えられます。
【関連情報】
《法令等》
【収録日】
令和 7年12月23日