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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

土地建物等以外の資産を譲渡した場合に適用した概算取得費5パーセントの額について、実額よりも過少となっている場合の更正の請求の可否

【質問】

 平成24年に父から相続した絵画(美術年鑑に記載されている有名画家が製作したもの)を平成29年に200万円で譲渡しましたが、その取得費が不明であったため、総合長期譲渡所得の金額の計算上、概算取得費5パーセントの特例を適用し、その額を10万円として確定申告を行っていました。
 遺品を整理していたところ、父が生前100万円で購入していたものであることが証明できる明細書が発見されましたので、概算取得費5パーセントの額で算定した額10万円について、実際の購入額100万円に是正してもらうための更正の請求は可能ですか。

【回答】

 更正の請求は可能と考えられます。

【関連情報】

《法令等》

国税通則法23条
所得税法33条3項2号
所得税法38条
租税特別措置法31条の4
所得税基本通達38-16
租税特別措置法通達31の4-1

【解説】

1 租税特別措置法第31条の4《長期譲渡所得の概算取得費控除》では、土地建物を譲渡した場合における長期譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費は、所得税法38条にかかわらず、当該収入金額の5パーセントに相当する金額とする旨規定していますが(同条1項本文)、その5パーセントに相当する金額が実際の取得費の額に満たないことが証明された場合には、その実際の取得費の額とする旨規定しています(同条1項ただし書)。
  そして、租税特別措置法通達31の4-1では、「租税特別措置法第31条の4第1項の規定は、昭和27年12月31日以前から引き続き所有していた土地建物等の譲渡所得の金額の計算につき適用されるのであるが、昭和28年1月1日以後に取得した土地建物等の取得費についても、同項の規定に準じて計算して差し支えないものとする。」と規定し、その取得年次にかかわらず長期譲渡所得の計算に当たっては概算取得費5パーセントの適用を認めています。
2 また、所得税基本通達38-16では、「土地建物等以外の資産に係る譲渡所得の取得費が不明な場合、譲渡収入の5パーセントを取得費として譲渡所得の金額を計算しているときは、これを認めて差し支えない。」という取扱がされているところ、同通達逐条解説では、「長期譲渡所得は、土地建物等と土地建物等以外の資産の種類は異なるものの、いずれも長期保有資産の値上がり益に対する課税であるという点において同じであり、これらの取得費の計算を異にしなければならないという理由が特にないこと、取得費を譲渡収入金額の5パーセント相当額と計算しても課税上特に弊害がないこと、取得費の簡便な計算方法の取扱いを定めた方が納税者の利便が図られるという観点から、土地建物等以外の資産を譲渡した場合の取得費は、譲渡収入金額の5パーセントに相当する金額と計算しても差し支えないものとして取り扱うことを明らかにした」ものである旨解説されているところです。
3 そうしますと、上記2の所得税基本通達38-16の取扱は、上記1の租税特別措置法第31条の4の規定を土地建物等以外の資産にも範囲を広げて適用することを認めたものと考えられますので、所得税基本通達38-16を適用して譲渡収入の5パーセントを取得費とした場合であっても、後にその5パーセントに相当する金額が実際の取得費の額に満たないことが証明された場合にこれを認めないとする規定は設けられていませんので、上記2の租税特別措置法第31条の4第1項ただし書と同様に取り扱われることになるのではないかと考えられます。
  したがって、ご質問の場合においても、実際に判明した取得費の額に基づく更正の請求(通法23条)は可能であると考えられます。

【収録日】

平成30年 6月27日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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