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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

忘年会費用と課税しなくて差し支えない経済的利益

【質問】

 A社は忘年会を企画しています。
今期は増収増益でもあったことから、社長を含め全従業員8人参加予定で、予算は飲食及びコンパニオン代で30万円です。
 全費用を会社負担としますが、このような場合、個人に対する給与課税が生じるのでしょうか。

【回答】

 A社が負担した忘年会費用は、使用人等に対する給与として課税の対象になるものと思われます。

【関連情報】

《法令等》

所得税法36条1項
所得税基本通達36-30

【解説】

 所得税基本通達36-30は「使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、使用者が、当該行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。)に対しその参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない。
(注)上記の行事に参加しなかった者(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を含む。)に支給する金銭については、給与等として課税することに留意する。」としています。
 そして、上記通達の趣旨は「所得税基本通達36-30が、使用者が『役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる』行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的な利益については、課税しなくて差し支えないものとするのは、上記のような行事は簡易なものであることが多く、それに参加することにより享受する経済的な利益の額は少額であることに鑑み、少額不追求の観点から強いて課税しないこととするのが相当であるためであると解される。」(東京高裁平成25年5月30日判決(TKC税研データベース:税務判決(裁決)要旨文献番号60059583))と判示されています。
 また、全社員を対象として行う忘年会につき、1人当たり5,000円の費用を使用者が負担する事例については特に多額ではないことから課税しない福利厚生費として取り扱っても差し支えないとする質疑応答事例があります(平成27年度版「現物給与をめぐる税務」(大蔵財務協会)331頁)。
 ご質問の事例は、飲食及びコンパニオン代で一人当たり37,500円となっているところ、上記通達及び判決の「社会通念上一般的に行われていると認められる会食」及び「少額不追及の観点」、また、上記質疑事例からすると、A社の忘年会に伴って役員又は使用人が受ける経済的利益は、上記基本通達に該当すると解することは困難ではないかと思われます。
 なお、法人税に関する問題として「忘年会等の費用が、福利厚生費と交際費等のいずれに当たるかの判断をされた事例」(TKC税研データベース:税務判決(裁決)要旨文献番号60016918)」もご参照ください。

【収録日】

平成31年 1月31日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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