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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

法人の社長が取引先社長と行う観光旅行費用を法人が負担した場合の取扱い

【質問】

 A社は、機械部品製造を業とする資本金5千万円の法人です。
 この度、A社の甲社長は、先代社長時代以来の取引先で、近年はA社の売上高の約3割程度を占める最大の得意先でもあるB社の乙社長からお誘いを受けて、二人で海外旅行を行うことになりました。なお、乙社長も二代目であり、甲社長とは同年代でもあることから、両社長は日頃から家族ぐるみのお付合いをしています。
 旅行は、旅慣れた乙社長の企画によるものであり、行程は4泊5日ですが、往復の航空機はビジネスクラスで、現地のホテルも最高級クラスということであり、ゴルフその他のレジャーの費用を含めると一人当たりの旅行費用はかなりの高額になりますが、費用は各自負担となる予定です。
 A社としては、B社との今後の取引の維持・拡大のために、社長同士の親睦を一層深めておくことが得策と考えられることから、今回の旅行はA社の業務の遂行上必要なものとの認識に基づいて甲社長の旅行費用についてはA社が負担する予定です。
 そこで質問ですが、A社が負担する甲社長の旅行費用については、得意先B社の乙社長を接待し、親睦を深めることにより取引の維持拡大を図るための費用として、交際費等として処理して差し支えないでしょうか。
 それとも、旅行費用のうち、ビジネスクラスとエコノミークラスとの差額については、役員給与とされることになるのでしょうか。
 なお、A社の当期の交際費等の支出額は、この旅行費用を含めても定額控除限度額を超えない見込みです。

【回答】

 甲社長が乙社長と行う海外旅行が専ら観光を目的とする旅行である限り、A社が負担する甲社長の旅行費用の全額がA社長に対する役員給与として取り扱われるものと考えられます。
1 法人が支出する海外渡航費用が交際費とされる場合とは、その海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであることが前提となります。
  海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであるか否かについては、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定するものとされていますが、観光目的と認められる旅行は、原則として法人の業務の遂行上必要な海外渡航に該当しないものとして取り扱われます(法基通9-7-7)。
  そして、法人の業務の遂行上必要と認められない旅行に対応する部分については、個人的費用を会社が負担したものとして、その旅行者に対する給与として取り扱われます(法基通9-7-9)。
2 A社としては、両社長の海外旅行を親睦や接待のためのものとお考えのようですが、甲社長及び乙社長の2名の旅行費用はそれぞれ「各自負担」であることからすると、一般に行われている事業に関係のある者等を旅行や観劇に招待する費用等として交際費等として取り扱われる(措置法通達61の4(1)-15(4))旅行等ではなく、実質的には、取引関係がある会社の社長同士によるプライベートの旅行と認められます。
  また、その旅行の内容は、ゴルフやレジャー等の観光を目的とするものと認められますが、その場合には、たとえその観光の合間を縫って商談や相互の接待等が行われたとしても、そのことをもってその観光旅行が法人の業務の遂行上必要な旅行に該当するものということはできず、その費用を法人が負担する場合には、給与として取り扱われることについては上記1のとおりです。
  したがいまして、A社が負担する甲社長の観光旅行の費用については、ビジネスクラスとエコノミークラスとの差額のみにとどまらず、その全額が役員給与に該当するものとして取り扱われる結果、全額が損金不算入となり、併せて源泉所得税の課税がなされることになります。

【関連情報】

《法令等》

法人税基本通達9-7-7
法人税基本通達9-7-9
租税特別措置法61の4(1)-15

【収録日】

平成27年 3月31日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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