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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

賃貸建物の取壊費用と資産損失の処理

【質問】

 個人Aは建物(倉庫)1棟を同族法人へ賃貸していたが、土地の有効活用のため、この建物を取壊て賃貸マンションを建築する予定である。
 この場合、取壊費用及び建物(倉庫)の未償却残高はどのように取り扱われるのでしょうか。
 なお、取壊費用等は次のとおりであり、取壊しに伴う発生資材等はありません。
(1)取壊費用     500万円
(2)資産損失(未償却残高)300万円
(3)不動産所得の金額   450万円(〔1〕及び〔2〕の金額の控除前の金額)

【回答】

 Aが行っている不動産賃貸業の規模が事業的規模か否かにより、未償却残高の資産損失の取扱いが異なることになる。非事業的規模であれば、その年分の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入できる(所法51条4項)ことになるが、その限度を超える部分の損失額は必要経費に算入できないこととなる。
 次いで、取壊費用については、資産損失とは別であり、その年分の不動産所得の必要経費に算入することができる(所法37条、51条1項、所令142条1号、所基通51-2)。

【関連情報】

《法令等》

所得税法37条
所得税法51条
所得税法施行令142条
所得税基本通達51-2

【解説】

 Aが行っている不動産賃貸業の規模は、所基通26-9の取扱いから事業的規模の不動産貸付ではなく、業務的規模の不動産貸付と判断されます。
 そうしますと、倉庫の取壊しによる損失(未償却残高)は、所法51条4項の資産損失となり、この資産損失を控除する前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入することになります。
 なお、取壊費用500万円は、所法37条に定める必要経費ですので、例え業務的規模の不動産所得であっても、他の必要経費と同様に取り扱われますので、所得金額に関係なく全額を必要経費に算入します。
 次に、所法51条4項に定める資産損失については、「この項の規定を適用しないで計算した所得金額」(所法51条4項かっこ書き)を限度として必要経費に算入することになります。
 したがって、まず、取壊費用を不動産所得の金額の計算上必要経費に算入し、その結果、不動産所得の金額が黒字となる場合には、その所得金額を限度として倉庫の取壊しに係る資産損失額を必要経費に算入することになりますが、取壊費用を不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した結果、不動産所得の金額が赤字となる場合には、資産損失額は必要経費として算入することができないことになります。
 お尋ねの場合の具体的な計算は、次のようになります。
資産損失控除前の不動産所得の金額・・・・△50万円(450-500)
資産損失のうち必要経費に算入される金額・・・ 0円
 不動産所得の損失50万円は、他の所得と損益通算できますが(所法69条)、資産損失の金額300万円は、不動産所得の金額が既にマイナスになっているため、必要経費に算入される金額がないことになり、300万円は切り捨てになります。

【収録日】

平成22年 3月 3日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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