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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

企業買収に係る諸費用の取扱い

【質問】

 A社は、企業買収の目的でB社の株式を取得しましたが、これに先立って、C銀行との間でB社株式の取得についてのアドバイザリー契約を結び、着手金100万円(株式購入の契約が成立しなかった場合でも返還しないもの)と契約の成立に伴う成功報酬500万円をC銀行に支払いました。
 また、C銀行からのアドバイスにより、株式の購入価格を算定するための参考として、B社の財務内容を調査することとなり、コンサルティング会社D社に対して、B社に係るデューデリジェンスを依頼し、その対価として60万円を支払いました。
 A社が支払ったこれらのアドバイザリー契約及びデューデリジェンスに係る費用は、支払時において損金算入して差し支えないでしょうか。

【回答】

1 法人税法では、購入した有価証券の取得価額は、その購入の代価とされていますが、購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加えた金額とされています(法令119〔1〕一)。
2 お尋ねの場合の、A社がC銀行に支払ったB社株式の購入についてのアドバイザリー契約の着手金(100万円)及び株式購入契約の成立に伴う成功報酬(500万円)のうち、後者の成功報酬500万円はB社株式の「購入のために要した費用」であることは明らかと考えられます。
  一方、前者の着手金100万円についても、支払時においては購入成立に至っていませんが、既にB社株式の購入を目的として締結したアドバイザリー契約の着手金であることから、これもまたB社株式の「購入のために要した費用」と認められます。
3 ところで、デューデリジェンスとは、一般に、企業の合併や買収等のいわゆるM&Aや投資を行うに際して、対象企業の財務内容やリスクを正確に把握するために事前に行う多面的な調査といわれています。
  デューデリジェンスは、費用が高額であることから、一般的には、買収先企業としての標的が決まり、買収を実行に移すか否か、買収価額をいくらにするか等、買収を最終決定する段階で行われることが多いようですが、レアケースとしては、買収対象を探す段階で複数の企業についてデューデリジェンスを行うケースもあるようです。
  デューデリジェンスの費用に係る税務上の取扱いとして示された法令通達等はありませんから、その取扱いについては、個々の実情に即して、その有価証券の「購入のために要した費用」に該当するか否かを判定すべきことになりますが、具体的には、そのデューデリジェンスがその企業を買収することを意思決定した後において行われたものであるか否かが、「購入のために要した費用」か否かを判定する分岐となるものと考えられます。
  すなわち、買収の標的の決定までに至らず、買収対象を探している段階でのデューデリジェンスの費用については、支出時の損金の額に算入して差し支えありませんが、買収の意思決定後に支出されるものについては、結果として買収を取り止めた場合を除き、その取得した株式の取得価額に算入すべきものと考えられます。
  お示しの事実によれば、D社に依頼したデューデリジェンスは、B社株式の購入を決定した後において、購入価格の参考とするために行われたものと認められますから、その費用は、B社株式の「購入のために要した費用」に該当します。
4 以上により、A社において、C銀行に支払ったアドバイザリー契約の着手金100万円及び成功報酬500万円並びにD社へ支払ったデューデリジェンスの費用60万円は、いずれもB社株式の「購入のために要した費用」に該当しますから、取得価額に算入するのが相当と考えます。

【関連情報】

《法令等》

法人税法施行令119条1項1号

【収録日】

平成26年 7月31日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
注2: 当Q&Aの内容は、作成時の法令等を基に作成しております。このため、当Q&Aの内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
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