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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

耐用年数を経過した工場建物に係る扉の交換費用の取扱いについて

【質問】

 製造業を営むA社(3月決算法人)では、昭和43年1月建築の工場(耐用年数31年、定率法により償却済み)の鉄の扉が壊れたので、より軽く耐久性に優れた軽量スチールシャッターに交換しました。この交換費用として150万円がかかっていますが、このように耐用年数を経過して相当老朽化している資産について修理・改良等を行った場合の当該費用の取扱い及び資産計上するとした場合に適用される耐用年数はどのようになるでしょうか。

【回答】

1 法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額は修繕費となります(法基通7-8-2)。一方、法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額は資本的支出となります(法令132、法基通7-8-1)。
  この資本的支出と修繕費の区分については、耐用年数を経過した減価償却資産について修理、改良等をした場合であっても、一般の例によりその判定を行うこととされています(法基通7-8-9)。
  お尋ねの工場の扉の交換は、老朽化により壊れた扉の修復と同時に、より軽量で機能や耐久性を向上させる軽量スチールシャッターへの交換を行ったものであり、単なる原状回復による修繕費とは認められないものと思われます。
  法人税の基本通達では、資本的支出に該当するものの例示として、機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額が挙げられています(法基通7-8-1(3))。これは、き損等をした減価償却資産の部分品を従前より価値の高いものに取り換えた場合には、修繕費部分と資本的支出部分が混在していると考えられることから、その取替費用のうち従前と同様の部分品に取り換えたとした場合の通常の取替費用は修繕費、それを超える費用は価値を向上させた部分に対応するものとして資本的支出とする考え方と思われます。お尋ねの扉の交換費用も、同様の考え方で、請負業者の見積り等により修繕費部分と資本的支出部分に合理的に区分できる場合には、それにより交換費用を区分して処理することが考えられます。
  また、一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合において、法人が、継続してその金額の30パーセント相当額とその修理、改良等をした固定資産の前期末における取得価額の10パーセント相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認める、との形式基準の取扱いもあります(法基通7-8-5)。したがって、上記のような工事の内容に応じた実質基準により合理的に区分できない場合等には、この形式基準の適用も視野に入れてご検討される必要があるものと思われます。
2 次に、耐用年数を適用している減価償却資産について資本的支出をした場合には、その資本的支出に係る部分の減価償却資産についても、現に適用している耐用年数により償却限度額を計算することとされています(耐通1-1-2)。この通達の解説書では、耐用年数50年の建物の使用開始後20年経過した時点で資本的支出をした場合、その資本的支出部分については未経過年数30年ではなく耐用年数50年を適用する、と説明されております(「<改訂新版>耐用年数通達逐条解説」坂元左ほか 税務研究会出版局8頁)。すなわち、たとえ耐用年数を相当経過した建物に対する資本的支出でも、経過年数を考慮することなく、法定耐用年数を適用することとされております。
  この取扱いにしたがいますと、お尋ねの工場用建物の扉の改修に係る資本的支出については、工場建物の躯体の一部を構成するものですから、基本的には、当該工場建物に適用される耐用年数(31年)により償却していくこととなるものと思われます。

【関連情報】

《法令等》

法人税基本通達7-8-1
法人税基本通達7-8-2
法人税基本通達7-8-5
法人税基本通達7-8-9
耐用年数通達1-1-2

【収録日】

令和 1年 8月30日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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