《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
会社負担の従業員駐車場代
【質問】
24時間介護施設を経営しているA社では、仕事の特殊性から勤務体制を3交代制(早朝・昼・夜間)としているため、ほとんどの職員が自動車通勤を行っています。このため、自動車通勤者に対し、同施設内にある駐車場及び同施設から至近距離にある有料駐車場を借用してそれぞれ無償で貸与していますが、これは経済的利益の供与として課税の対象になりますか。 なお、施設内にある駐車場及び有料駐車場は、いずれもアスファルトコンクリートに白線で駐車スペースを表示しただけの簡易なものです。 また、介護施設から最寄駅までの距離は約2キロメートル程度ですが、路線バスの便は全くありません。
【回答】
お尋ねの駐車場については、その経済的利益の供与は無いものとして差し支えないと考えます。 ただし、有料駐車場については、条件によっては経済的利益の供与があるものとして課税の対象になる場合が考えられます。
【関連情報】
《法令等》
【解説】
1 通勤のため自転車その他の交通用具を使用することを常例とする者については、その通勤距離に応じて非課税とする金額が定められていますが(所令20条の2第2号)、通勤に自動車を使用する場合、その通勤距離の長短にかかわらず当該車両を駐車しておくための場所は必要不可欠なものとなります。 この点に関し、非課税とする通勤手当の範囲を定めた所得税法施行令20条の2第1号には、「通勤のため交通機関又は有料の道路を利用し、かつ、その運賃又は料金(以下この条において「運賃等」という。)」と規定されているように、駐車場の賃料若しくは無償使用の場合の使用料相当額(以下「賃料等」といいます。)については文理上この「運賃等」には含まれないものと解されます。 そうすると、同条第2号ハ乃至へに規定されている「運賃等」は、上記同条1号に定義されたものと同義ですので、通勤に自動車を使用する場合の駐車場の賃料等に係る経済的利益については、基本的には課税の対象になるものと考えます。2 お尋ねの駐車場ですが、3交代制の勤務体制という中にあって、通勤手段としての公共交通機関の利用が制限され、自動車での通勤が絶対となるような場合において、使用者として例えば借上げバス等を運行させるよりも、別途駐車場の手当をし、乗用車での通勤に任せた方が、時間的にも経済的にも合理的であり、かつ、これらの駐車場について特定の者のみが利用できるということではなく、空いている場所を職員が自由に選択して使用できるといった場合などにおいては、両駐車場に関する経済的利益については課税しないものとして差し支えない範疇に入るものと考えます。 なお、上記のように特段の事情や合理的理由が認められないような場合であっても、介護施設内の駐車場の場合、これを利用することの経済的利益の額の評価が困難であることが考えられますし、仮に評価できたとしてもその額は僅少なものになるのではないかと考えられますので、課税しないこととして差し支えないものと考えます。しかし、有料駐車場の場合、有料である以上、その額も明確でありますので、これを利用する職員が特定されているような場合には、経済的利益の供与があるということになるものと考えます。
【収録日】
平成22年 1月19日