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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

クラウドファンディングに係る税務処理について

【質問】

 製造業を営むA社では、このたび、新製品の開発を行うにあたりクラウドファンディングで個人及び法人から1,000万円の資金を集めることを計画しています。
 クラウドファンディングの方法としては、寄付型、購入型及び金融型(貸付型・ファンド型・株式型)という3つのタイプがあるようですが、それぞれの場合の受入側の税務処理は、どのようになりますでしょうか。

【回答】

1 クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の者から資金を集める手段であり、一般的な方法としては、クラウドファンディングサービスを提供するサイト等に登録して商品やサービスの内容をインターネット上に掲載し、該当商品の優位性や開発計画などをアピールすることにより、それを見た不特定多数の者が小口の資金を支援するという流れとなり、インターネット上でその商品に共感した不特定多数の者から資金を小口化して調達できるメリットがあるようです。
  このクラウドファンディングには、ご記載のとおり、寄付型(社会的意義の高いプロジェクト等に対して寄付を募るもので資金の出し手にリターンを返戻しないタイプ)、購入型(資金の出し手に自社の商品やサービスなどの金銭以外のリターンを行うタイプ)及び金融型(貸付型・ファンド型・株式型の3種類があり、資金の出し手に利息や配当等の形で金銭のリターンを行うタイプ)という3つのタイプがあります。
2 それぞれのタイプのクラウドファンディングを受け入れた場合の受入れ側の税務処理は、次のようになるものと思われます。
(1)寄附型のクラウドファンディングの場合
  寄附型のクラウドファンディングの場合は、資金を寄附金として集めることとなりますので、受入側の法人は受贈益として受け入れることとなります(法法25の2〔2〕)。その場合、1,000万円の資金を調達する予定で募集していたもののそれを超える資金が集まった場合も、寄附金として受け入れる以上、全額を受贈益に計上することとなります。
  なお、寄付型の場合、基本的に支援者に対するリターンはありませんが、感謝の気持ちとしてお礼程度の品物を提供する場合には、「法人が得意先、仕入先その他事業に直接・間接の利害関係のある者等に対する贈答その他これに類する行為のために支出するもの(措法61の4〔4〕)」として、交際費等に計上する処理が相当と思われます。
(2)購入型のクラウドファンディングの場合
  購入型のクラウドファンディングの場合は、資金の拠出者は実質的に資金を出して物やサービスを購入しているものと考えられますので、税務上は、資産の販売やサービス(役務)の提供と同様の取扱いになるものと思われ、受け入れた資金はいったん前受金等として計上のうえ、税務上の収益認識方法にしたがい、資産の販売等に係る目的物の引渡しや役務の提供があった時点で売上に振り替えることとなるものと思われます(法法22の2〔1〕~〔3〕)。
  なお、購入型の場合、一般的には、提供された資金に見合う資産等が対価として提供されますが、資金拠出額に対してリターンとして提供する資産等の価値が著しく低い場合には、その差額は寄附金とみなされる可能性もあり、その場合には、実質的に寄附金とみなされた部分は、上記の寄附型と同様の処理となるものと思われます。
(3)金融型のクラウドファンディングの場合
  金融型のクラウドファンディングのうち、貸付型については、資金の貸付けを受けることとなりますので、受け入れた資金は借入金に計上し、金銭のリターンは利息として支払い、株式型・ファンド型については、株式の発行や匿名組合への出資(ファンド持分の購入)等の方法で資金を集めるものと思われますので、受け入れた資金は株式発行法人の資本金や匿名組合営業者の出資金等に計上し、金銭のリターンは配当や匿名組合分配金等として支払うこととなるものと思われます。

【関連情報】

《法令等》

法人税法22条の2
法人税法25条の2
租税特別措置法61条の4

【収録日】

令和 3年 8月18日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
注2: 当Q&Aの内容は、作成時の法令等を基に作成しております。このため、当Q&Aの内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
注3: 当Q&Aの著作権は株式会社TKCに帰属します。当Q&Aのデータを改編、複製、転載、変更、翻訳、再配布することを禁止します。

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