《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
借主が複数棟の貸家の敷地として利用している使用貸借に係る土地の評価
【質問】
被相続人所有の1筆の土地の上に3棟の貸家があり、それぞれ賃貸されている。 ただし、それらの貸家(建物)の所有者は相続人であり、相続人が被相続人の土地を使用貸借で借り受けて貸家を所有している。 一般的に、土地を使用貸借で貸し付けている場合は一体の土地として評価することとされている一方で、貸家の場合は各棟の敷地ごとに区分して評価することとされている。 本件の場合、3棟の貸家ごとの敷地に区分して、それぞれ別の評価単位として評価することができるか。
【回答】
3棟の貸家の敷地として利用しているのは借主である相続人であり、被相続人は使用貸借により貸し付けている宅地として、自用地として評価することになりますから、全体を一つの評価単位として評価することになると考えられます。
【関連情報】
《法令等》
【解説】
1 一般に、数棟の貸家の敷地として利用されている宅地(貸家建付地)については、各貸家の敷地ごとに一つの評価単位として評価することとされています。 この点については、国税庁ホームページ掲載の質疑応答事例「宅地の評価単位」において、「(5)貸家建付地を評価する場合において、貸家が数棟あるときには、原則として、各棟の敷地ごとに1画地の宅地とする。」と説明されており、また、アパートの場合については、TKCデータベース掲載の《税務Q&A》(文献番号46005825)「複数棟が一括借上げされた貸家の敷地の評価単位」が参考になります。 これらの取扱いは、土地の所有者に対してそれぞれの貸家の借受人(借家人)がそれぞれ締結した賃貸借契約に基づく借家権を主張できることから、それぞれ異なる権利が設定されている土地として、原則として貸家の敷地ごとに評価することとしているものと解されます。なお、アパートの場合には借家権の存する部屋ごとの敷地に区分して利用の単位とすることは合理的でないことから、アパート各棟の敷地ごとに評価することとしているものと考えられます。3 これに対して、ご質問の場合には、3棟の貸家を建築して利用しているのは相続人であり、土地所有者である被相続人にとっては、極めて弱い権利である使用借権が設定されている土地として、その全体を自用地として評価することになります。そのため、全体を一つの評価単位として評価することになると考えられます(国税庁質疑応答事例「宅地の評価単位-使用貸借」の(1)の事例と同様)。 ただし、遺産分割協議等により、3棟の貸家の各敷地ごとに分筆して、異なる相続人がそれぞれ相続するような場合には、不合理分割(評価通達7-2(1)の(注))に該当しない限り、その相続人ごとに取得した土地を評価単位として評価することになります。
【収録日】
令和 7年 9月22日