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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

適格分社型分割が行われた場合の分割承継法人に移転した建物の取得日について

【質問】

 当社は運輸倉庫業を営んでおりますが、来期に当社の倉庫事業部門を分離してA社を新設する分社型新設分割(適格分社型分割)をする予定です。
 この適格分社型分割により、当社が平成10年3月31日以前に取得した建物(倉庫)についても分割承継法人であるA社に移転することになります。
 当社では、この建物(倉庫)の減価償却については定率法で償却しておりますが、分割承継法人であるA社においても、この建物(倉庫)の減価償却は定率法でよいのでしょうか。

【回答】

 法人税法には、「合併又は分割により合併法人又は分割承継法人にその有する資産及び負債の移転をしたときは、・・・・合併又は分割の時の価額(時価)による譲渡をしたもの」として合併法人又は分割法人の各事業年度の所得の金額の計算をすることとされております(法法62(1))。
 しかし、上記の規定にかかわらず、一定の要件を満たす適格分社型分割、適格現物出資又は適格事後設立(以下「適格分社型分割等」という。)が行われた場合には、適格分社型分割等によりその有する資産及び負債の移転をしたときは、その移転した資産及び負債は、税務上の「帳簿価額による譲渡をした」ものとすることとされております(法法62条の3(1)、62条の4(1)、62条の5(1))。
 この場合、「譲渡」とは、移転を受ける側においては「取得」となり、その移転を受けた時に取得したものとなります。
 平成10年度の税制改正で減価償却制度に関する改正が行われ、建物の償却方法について、平成10年4月1日以後に取得された建物の償却方法については定額法のみとされ、同日前に取得された建物については、従前どおり定額法又は定率法のいずれかの方法とされました(法法31(1)、法令48(1))。
 この規定は、減価償却資産等の移転があった場合などのとき、その減価償却資産は移転した時に取得したものとして取扱うのか、それとも移転の時に取得したのではなく、移転をした法人が当初に取得した時をもって取得したものとするのかにより、減価償却の方法が異なることになります。
 適格分社型分割や適格現物出資の場合の規定については、「帳簿価額による譲渡」という表現であり、「譲渡」となりますので、非適格の合併や分割と同様に資産等の移転をした法人側では「譲渡」であり、資産等の受け手側の法人では「取得」となります(法法62の3、62の4)。
 ただし、組織再編成が行われた場合の「建物」の取得日については、同法令第48条第2項において「適格分社型分割等により分割法人等から移転を受けた建物については、その分割法人等がその建物を取得した日に分割承継法人等において取得されたものとみなす」こととされ、取得日が引き継がれる旨が規定されております。
 このことから、本来、適格分社型分割等による資産及び負債の移転の概念は、税務上の帳簿価額による譲渡(移転を受ける法人側では、税務上の帳簿価額による取得)ですが、上記の規定により、適格分社型分割等の場合は平成10年3月31日以前に取得された建物を適格分社型分割等により分割法人等から移転を受けた場合であっても、その建物は分割法人等が取得した日に分割承継法人等に取得されたものとみなされ、取得日が引継がれる取扱いをすることが認められます(法令48(2))。
 従って、御質問の場合も分割法人の取得日を引継ぐことになりますので、定率法での減価償却が可能となります。

【関連情報】

《法令等》

法人税法31条1項
法人税法62条1項
法人税法62条の3第1項
法人税法62条の4第1項
法人税法62条の5第1項
法人税法施行令48条1項
法人税法施行令48条2項

【収録日】

平成17年 7月22日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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