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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

未成工事支出金・建設仮勘定に係る課税仕入れの時期

【質問】

 建設請負工事業を営む課税事業者ですが、次のような場合の課税仕入れに係る消費税の仕入税額控除を行う時期はいつですか。
(1)未成工事支出金とした請負工事に係る課税仕入れの額
(2)出来高検収書に基づいて下請業者に支払った工事代金の額
(3)当社の建設仮勘定に計上した課税仕入れの額

【回答】

 消費税の仕入税額控除の対象となる課税仕入れに係る消費税額は、原則として、その資産を譲り受け、借り受け又は役務の提供を受けた日とされていますが、その日がいつであるかは、所得税や法人税における所得金額の計算上の資産の取得時期や経費の計上時期と同じく、いわゆる発生主義によるものとされています。
 しかし、課税仕入れに係る資産について現実に引渡しを受けた日の属する課税期間以外の課税期間の課税仕入れとして取り扱われるものがあります。例えば、免税事業者が課税事業者となった場合の、その直前に保有する棚卸資産に係る消費税額の調整等や、短期前払費用に係る課税仕入れ時期の特例、あるいは未成工事支出金に係る仕入税額控除の時期の特例等がそれです。
 質問の場合は、それぞれ次のように取り扱われます。
(1)未成工事支出金とした課税仕入れの工事原価の額
 建設請負業者等の所得金額の計算では、いわゆる費用収益対応の観点から、請負工事に係る原価の支出額はその目的物の完成までは未成工事支出金として経理処理するところですが、その課税仕入れの時期はその資産の引渡しを受けた時、あるいは外注先や下請先がその役務の提供を完了した時とされています。
 しかし、事業者が未成工事支出金として経理した課税仕入れについて、その請負に係る目的物を完成して相手方に引き渡した日、つまり、未成工事支出金勘定の額を完成工事原価の額に振替処理をした日の属する課税期間の課税仕入れとすることは、継続適用を条件にできるものとされています。
(2)出来高検収書により下請業者に支払った請負工事代金の額
 建設工事等の元請業者が、その下請業者の行った工事等の出来高について検収し、その内容や出来高に応じた金額等を記載した出来高検収書を作成し、その下請業者の確認を受けて記載された請負金額を支払っている場合には、その支払をした日の属する課税期間における課税仕入れの額とすることができるとされています。
 なお、この出来高検収書に係る取扱いは、下請業者がいわゆる孫請業者に請負わせる場合にも同様に適用できるものとされています。
(3)建設仮勘定に計上した額
 事業者が施主の場合の建設工事等については、その目的物の全部を完成する前に支出したその建設工事の取得に要する課税仕入れ額については、未成工事支出金の場合と同様に、その課税仕入れ等をした日の属する課税期間において仕入税額控除を行うこととされています。
 しかし、建設仮勘定で経理した金額について、その目的物の全部の引渡しを受けた日の属する課税期間の課税仕入れとすることができるとされてます。
 なお、施主が、その建設工事等について検収を行い、検収内容や出来高に応じた金額等を記載した出来高検収書を作成し、その請負業者の確認を受けて、その出来高に応じた請負金額を支払っている場合は、支払をした日の属する課税期間における課税仕入れの額とすることができるとされています。

【関連情報】

《法令等》

消費税法30条1項
消費税法基本通達11-3-1
消費税法基本通達11-3-5
消費税法基本通達11-3-6
消費税法基本通達11-6-5

【収録日】

平成13年 5月31日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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