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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

リース期間の中途で契約を解約して対象資産を買い取った場合の除却損計上について

【質問】

 12月決算法人のA社は、平成26年7月1日に、LED照明設備(以下「本件資産」といいます。)をリース資産として、リース期間を令和5年6月30日までの9年(108月)間、リース総額を1,080万円とする残価保証額のない所有権移転外リース契約(以下「本件リース契約」といいます。)を締結して事業の用に供し、リース期間定額法により減価償却を行ってきました。
 しかし、親会社からリース取引をやめるよう指示されたため、5年3か月(63月)経過した令和元年9月30日に、規定損害金としてその時点での未払リース料相当額450万円(1,080万円×45月/108月)を支払い、本件リース契約を中途解約しました。そして、本件資産をそのままリース会社から、契約条項に定められた60万円で購入しました。
 そこで質問ですが、この中途解約に伴って本件資産はリース取引の対象資産でなくなり、A社は新たに中古資産を取得するわけですから、その未償却残高を除却損として損金の額に算入してかまわないでしょうか。
 なお、本件資産の前期末(平成30年12月31日)現在の未償却残高及びリース残債務は、同額の540万円です。また、A社は、建物附属設備の減価償却には「定額法」を採用しています。
(別添「イメージ図」参照)

【回答】

1(1)中途解約に伴うリース債務の処理
  本件リース契約の場合、規定損害金は未払リース料相当額とされていますから、以下の仕訳のとおり、その時点での未払リース料相当額450万円を支払うことにより、リース債務(残債)がなくなります。
   リース債務(残債) 450万円 / 現 金 450万円
 (2)中途解約に伴う本件資産の未償却残高の除却損の損金算入について
  賃借人がリース期間の終了の時にそのリース取引の目的物であった資産を購入した場合、〔1〕リース期間終了の時又はリース期間の中途で、対象資産が無償又は名目的な対価の額で賃借人に譲渡されるものや、〔2〕賃借人に対し、リース期間の終了の時又は中途で対象資産を著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているもの等に該当する場合を除いて、その購入の直前における当該資産の取得価額にその購入代価の額を加算した金額を取得価額とすることとされています(法基通7-6の2-10)。
  つまり、賃借人が、「リース期間終了の時」に賃貸人からリース資産を購入した場合には、税務上は、賃借人が保有している資産に追加的な支出をしたものと認め、平成19年度の税制改正以前の資本的支出の場合と同様の処理を行うことになります。
  この点、本件リース契約の場合、契約の終了時には、名目的な対価の額や著しく有利な価額ではなく、条項上60万円で買い取ることとされていたようですから、上記通達の取扱いに従って購入の直前における本件資産の取得価額にその購入代価の額60万円を加算した金額を取得価額として処理することになります。
  したがって、本件資産がリース取引の対象資産でなくなったとしても、その未償却残高をリース資産除却損として損金の額に算入することはできないと解されます。
 (3)中途解約に伴って購入する本件資産の処理
  中途解約に伴って購入する本件資産の取得価額については、上記(2)の通達の取扱いに従いますと、まず、購入(令和元年9月30日)の直前(リース開始から5年3月(63月)経過)における当該資産の取得価額を、「(リース料総額)1,080万円-(累計減価償却費)1,080万円×63月/108月」の計算により、450万円と算出します。そして、中途解約時の本件資産の購入価額が60万円ですから、両者を加算した510万円が、新たなLED照明設備としての本件資産の取得価額になると考えられます。
   建物附属設備(LED照明設備)510万円/ リース資産 450万円
                       /  現 金   60万円
 (4)中途解約があった事業年度における本件資産の減価償却について
  「リース期間終了の時」に賃借人がリース資産を購入した場合の当該資産に係るその後の償却限度額は、そのリース取引が「所有権移転リース取引」か「所有権移転外リース取引」かによって、計算方法が異なりますが、「所有権移転外リース取引」であった場合は、法人が当該資産と同じ資産の区分である他の減価償却資産(リース資産に該当するものを除きます。)について採用している償却方法が「定額法」である場合は、その購入の直前における当該資産の帳簿価額に購入代価の額を加算した金額を取得価額とみなし、当該資産と同じ資産の区分の他の減価償却資産に適用される耐用年数から当該資産に係るリース期間を控除した年数に応ずる償却率により計算します。ただし、この年数に1年未満の端数があるときはその端数を切り捨て、この年数が2年に満たないときは2年とします(法基通7-6の2-10)。
  この取扱いは「リース期間終了の時」に適用されるものですが、「リース期間の中途において解約した時」であってもこの考え方を修正しなければならない理由は特にないと思われますから、基本的にこれを適用できると考えられます。
  そうすると、本件リース契約も「所有権移転外リース契約」であり、A社は建物附属設備の減価償却に「定額法」を採用していますからこの方法を採用することになりますが、中途解約に伴う購入直前の本件資産の取得価額とみなされる金額は上記(3)のとおり510万円、適用する耐用年数はLED照明設備に適用される15年(建物附属設備→電気設備→その他のもの)を基礎に「15年-5年3月」の計算により9年で、償却率は0.112となります。
  そして、事業年度の中途にリース期間が終了する場合の当該事業年度における本件資産の償却限度額については、リース期間終了の日以前の期間につきリース期間定額法により計算した金額と、リース期間終了の日の翌日以降の期間につき計算した上記の金額との合計額によることになります(法基通7-6の2-10の注)。
  そうすると、事業年度の中途にリース期間が終了する令和元年12月期における償却限度額は、まず、リース期間終了の日以前の期間につきリース期間定額法により計算した金額が、90万円(1,080万円×9月/108月)となります。そして、リース期間終了の日後の期間につき上記により計算した金額が、上記(3)の取得価額510万円に償却率0.112と当期に含まれる期間3/12をそれぞれ乗じた142,800円となりますから、両者の合計額は、1,042,800円となります。
  したがって、本件リース契約の中途解約があった令和元年12月期については、この1,042,800円を本件資産の償却限度額として、減価償却を行うものと考えられます。

【関連情報】

《法令等》

法人税基本通達7-6の2-10

【収録日】

令和 2年 3月12日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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