《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
国外居住扶養親族に係る扶養控除の適用について
【質問】
居住者甲は、タイ国籍を有する配偶者乙と生計を一にしており、乙の母国に居住している乙の両親A及びBと未成年の姉弟(以下「乙の親族」といいます。)の生活資金を援助するため、乙の親族に対し個々に送金する手数やその送金費用等を考慮して一括で送金する方が合理的と判断し、乙の親族の世帯主であるAにその全額を送金しています。 この送金は、乙の親族が母国での最低限若しくはそれ以上の生活が維持できる援助になり得るものと考えていますので、乙の親族全員を甲の国外居住扶養親族として扶養控除の適用が認められますか。
【回答】
居住者甲が行う送金は、乙の親族に対してそれぞれ個別に行われているものではなく、Aに対してのみ行われているものですので、A以外の乙の親族に係る送金事実を証明するものはないということになります。 したがって、甲は、Aについては国外居住扶養親族に該当して扶養控除の適用対象とすることはできますが、各人別に送金関係書類の添付又は呈示ができない他の親族については国外居住扶養親族とはされず、扶養控除の適用を受けることはできないものと解されます。
【関連情報】
《法令等》
【解説】
1 会計検査院の指摘(注)を受け、平成27年度税制改正により、居住者が、確定申告において国外居住扶養親族に係る扶養控除の適用を受ける場合には、確定申告書に記載される国外居住扶養親族の『各人別』に当該居住者の親族に該当する旨を証明する書類(以下「親族関係書類」といいます。)及び国外居住扶養親族が当該居住者と生計を一にすることを明らかにする書類(以下「送金関係書類」といいます。)の添付又は呈示の義務化が制定され(所法120〔3〕二、所令262〔3〕一・二)、平成28年分以後の所得税に係る確定申告書を提出する場合に適用されています。(注)我が国における国際化の進展に伴い、外国人労働者や国際結婚等の増加とともに国外居住扶養親族も増加するなど、大きく社会情勢が変化している中にあって、従来の国外居住扶養親族については、控除対象扶養親族の生存の有無及び住所を確認できなかったり、納税者の友人等の第三者を通じるなどして現金を手渡したとする申立書のみが提出されていて送金の事実を確認できなかったりといったことなど、控除対象扶養親族の要件を満たしているかについて十分に確認できないまま扶養控除が適用されている状況となっていることから、扶養控除制度の在り方について、様々な視点から有効性及び公正性を高めるよう検討を行っていくことが肝要である(財務省「平成27年度税制改正の解説」129頁以下要約)。2 具体的には、親族関係書類としては、「外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(当該書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を含む。)」(所規47の2〔5〕二)、また、送金関係書類としては、「生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、『各人に行った』ことを明らかにするもの(当該書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を含む。)」(所規47の2〔6〕)とそれぞれ規定されています。3 そうしますと、居住者甲が、乙の親族についてそれぞれ国外扶養親族として扶養控除の適用を受けるための送金関係書類は、上記2のとおり、乙の親族それぞれについて各人ごとに作成されたものを提出又は呈示することが要件とされていますので、世帯主Aに一括で送金されている場合にはこの証明がされていないA以外の乙の親族については、甲の国外居住扶養親族として扶養控除の適用はできないことになります。 なお、ご質問のように、乙の親族への送金を世帯主Aに一括で送金すること自体の合理性はあると考えられますが、課税庁が課税の公平を図るため、諸外国で生活する扶養親族に関し、八方手を尽くして情報収集を行うことには自ずと限界があり、これでは会計検査院の指摘を受けた問題を解決するために行われた上記1の税制改正の実効性が伴わないことにもなりかねません。むしろ、申告する居住者自らこれを積極的に証明することを適用要件としたことには合理性はあるものと解されます。
【収録日】
令和 2年 7月15日