《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
役員給与の同一事業年度内の複数回変更の可否
【質問】
当社は、ガソリンスタンドを営む株式会社ですが、原油の数年前からの価格変動の影響を受け、当期の売上金額は極端な減額となっております。 当社は、現在、信用協会や金融機関に対する当社の業績報告の対応に苦慮しており、役員給与についても定時株主総会における大幅減額のほか、事業年度の期中においても役員給与の複数回の減額等を余儀なくされ、同一事業年度内において3回目の減額をする必要に迫られております。 このような場合、役員給与の同一事業年度内の複数回変更は認められるのでしょうか。
【回答】
平成18年度の税制改正により創設された役員給与の損金不算入については、法人がその役員に対して支給する給与のうち損金算入される範囲は、(1)定期同額給与、(2)事前確定届出給与、(3)利益連動給与のみに限定され、原則として期中の変更も認められないとして規定されました(法法34条)が、平成19年の税制改正により、定期同額給与の事業年度の中途における改定については、(1)通常改定、(2)臨時改定事由による改定、(3)業績悪化改定事由による改定(減額改定に限ります。)に該当する場合には認められることとして改正されました(法令69条)。 この改正後の業績悪化改定事由に当たる場合とは、その法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由とされています(法令69(1))が、この業績悪化事由には、「法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなど」はこれに含まれないこととされています(法基通9-2-13)。 なお、業績悪化改定事由の具体的理由としては、例えば、経営の状況の悪化により従業員の賞与を一律カットせざるを得ないような状況にある場合等がそれに当たると解されています。 ご質問の役員給与の同一事業年度内の複数回変更の可否については、上記の業績悪化改定事由に該当する場合には、同一事業年度内の複数回変更は認められるものと考えます。
【関連情報】
《法令等》
【収録日】
平成20年11月17日