1 前払費用の意義については、法基通2-2-14通達において明らかにされていますが、更に具体的に述べますと、次のようになります。 (1)一定の契約に従って継続的に提供を受けること、要するに等質等量のサービスがその契約期間中継続的に提供されること。 (2)役務の提供の対価であること。 (3)翌期以降において時の経過に応じて費用化されるものであること。 (4)現実にその対価として支払ったものであること。 以上の要件のすべてを満たす費用が本通達における前払費用に該当することとなりますので、一定の時期に特定のサービスを受けるためにあらかじめ支払った対価(例えば、前払い給料、前払い顧問料、翌期に放映されるテレビCM料等)、あるいは物の購入とか生産に対する対価の前払いは前払金(又は前渡金、手付金)であって前払費用に該当しません。また、ノーハウの提供を受けるための頭金等既に提供を受けたサービスの効果が将来に及ぶためにその対価を繰り延べるいわゆる繰延資産も前払費用とは性質を異にします。 以上のことから、前払費用に該当する費用としては、土地建物等の賃借料、保険料、工業所有権等の使用料、信用保証料、手形割引料、借入金利子、ロイヤリティ(繰延資産に該当するものを除きます。)等になります。 2 小切手・手形の振出しが本通達に定める「支払った」ことに当たるかどうかの問題がありますが、手形・小切手法上では、手形の支払期日満期日又は小切手所持人の支払呈示日までは債務が存続することとされています。しかし、実務では手形・小切手が振出された場合には、企業会計上も既払い同様に処理するのが通例であり、その性質上、もはや取消し不能であることから単なる未払金とは実態が異なるものといえます。そこで、本通達では手形・小切手の振出しをもって「支払った」ものに当たると解されているようです。
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