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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

みなし配当の金額の計算

【質問】

 A社は製造業を営む非上場会社です。A社はC氏の株式を1株当たり7,000円で自己株式として取得する予定です。
 A社の資本金等の状況は次のとおりですが、この場合のC氏の課税関係はどのようになりますか。
 (1)A社の資本金等の額     5,000,000円
 (2)A社の発行済株式数     1,000株(自己株式はない。)
 (3)A社株式の保有状況
     B氏(A社の代表取締役)    800株
     C氏(B氏との親族関係はない) 200株
 (4)A社の1株当たりの評価額(時価) 20,000円
 (5)C氏のA社株式の取得価額    500,000円

【回答】

 C氏が交付を受けた1,400,000円のうち、400,000円はみなし配当とされ、残余の1,000,000円は、株式等の譲渡収入とみなされます。
 なお、C氏には、みなし譲渡所得課税が行われますが、みなし譲渡の金額はみなし配当の金額の計算に影響を及ぼしません。

【関連情報】

《法令等》

所得税法25条1項
所得税法59条1項
所得税法施行令61条2項
租税特別措置法37条の10第3項

【解説】

 法人の株主等が当該法人の自己株式の取得により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が当該法人の資本金等の額のうちその交付の基因となった当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額は、配当等とみなされます(所法25条1項5号)。
 この場合の「その交付の基因となった当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額」は、当該自己株式の取得等をした法人が一の種類の株式を発行していた法人(口数の定めがない出資を発行する法人を含む。)である場合には、当該法人の当該自己株式の取得等の直前の資本金等の額を当該直前の発行済株式等の総数で除して計算した金額に株主等がその直前に有していた当該法人の当該自己株式の取得等に係る株式の数を乗じて計算した金額とされています(所令61条2項6号)。
 なお、法人の株主等がその法人の自己の株式又は出資の取得により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額は、みなし配当とされる部分の金額を除き、一般株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされます(措法37条10第3項)。
 ご質問の場合におけるみなし配当及び譲渡収入の計算は次のとおりとなります。
 (1)譲渡価額 7,000円×200株=1,400,000円
 (2)譲渡株式に対応する資本金等の額 5,000,000円÷1,000株×200株=1,000,000円
 (3)みなし配当の金額 1,400,000円-1,000,000円=400,000円
 (4)譲渡収入 1,400,000円-400,000円=1,000,000円
 なお、C氏はA社株式を時価の2分の1未満の金額で譲渡していますので、みなし譲渡(所法59条1項、所令169条)の対象となり、時価との差額2,600,000円(200株×20000円-1,400,000円)は、譲渡所得の収入金額に加算されることになり、C氏のA社株式の取得価額500,000円は、株式等の譲渡収入から控除することができます。
 また、みなし譲渡の金額はみなし配当の金額の計算に影響を及ぼしませんので、みなし配当の金額は、実際に交付を受けた金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額1,400,000円に基づき計算します。

【収録日】

令和 5年 7月19日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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