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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

テナントを退去するに際して、内部造作等の所有権を放棄した場合の取扱い

【質問】

 A社は、第三者であるB社所有の貸店舗(以下「旧店舗」といいます。)を10年前から賃借し、飲食店業を営んできましたが、旧店舗の賃借開始時において、B社の了解を得て、店舗内のフロアや壁の張替え等の内部造作工事等の資本的支出を行い、A社の減価償却資産として減価償却を行ってきました。
 この度、A社は新築テナントビル内の新店舗に移転するため、B社と旧店舗の賃貸借契約の解約及び原状回復の要否等について協議を進めてきましたが、B社から、新店舗に移動可能な備品等を除く内部造作や電気設備の資産(以下「本件資産」といいます。)について、A社が所有権を放棄するならば、原状回復義務を免除する旨の提案がありました。
 本件資産の未償却残高は200万円ですが、これを移転させることは不可能であるため原状回復には本件資産を解体して撤去する必要があるところ、その撤去費用として150万円程度を要するものと見込まれ、スクラップ収入等も見込めないことから、A社としては、撤去費用の支出を要しないことのメリットがあるものと判断して、B社の提案を受け入れ、本件資産の所有権を放棄することになりました。
 ただ気掛かりなのは、本件資産の所有権の放棄について、時価相当額をB社に無償譲渡(贈与)したものと認定され、寄附金課税が行われるのではないかということです。
 仮に寄附金課税が行われるとした場合の時価の算定方法を含めてご教示ください。

【回答】

1 法人税法においては、資産の有償取引に限らず、無償取引に係る収益も益金の額に算入される旨規定されている(法法22〔2〕)ことから、資産の無償譲渡又は低額譲渡が行われた場合には、原則としてその資産の時価で譲渡されたものとみなされる一方、その資産の時価と譲渡対価の額との差額のうち実質的に贈与等をしたと認められる金額は、寄附金の額に含まれるものとされています(法法37〔7〕〔8〕)。
  また、その場合の時価すなわち減価償却資産の譲渡における時価を定めた法人税法に係る法令通達等は存在しませんが、法人における資産の評価損の損金算入(法法33)に関する減価償却資産の時価については、当該資産の価額につき当該資産の再取得価額を基礎としてその取得の時以降において旧定率法により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額によっているときは、これを認めることとされており(法基通9-1-19)、譲渡の場面における時価の算定においても参考となり得るものと考えられます。
2 ただし、その無償譲渡等が行われた場合のすべてにおいて時価と譲渡対価の額との差額が贈与等とされるのではなく、例えば、反対給付その他の事業上のメリットが得られる場合等、その無償譲渡等を行うことについて合理的な理由がある場合には、その差額について実質的に贈与等をしたものではなく、経済的合理性を有する譲渡取引における譲渡損と認められるものと考えられます。
3 A社が有する本件資産をB社に無償譲渡(所有権を放棄しての撤退)する理由は、A社にとって本件資産の移設や再利用等は不可能であるところ、その無償譲渡を行うことによって本件資産の解体撤去費用を負担することを免れるというメリットに基づくものであり、第三者たるB社に対する贈与を目的とするものではないものと認められます。
  そうすると、本件資産の無償譲渡には経済的合理性を認めることができますから、税務上、本件資産の譲渡時における帳簿価額相当額(200万円)を譲渡損として損金の額に算入するのが相当であり、贈与を前提とする寄附金課税が行われることはないものと考えられます。
4 なお、この無償譲渡の結果、B社においては、本件資産を無償で取得することになりますから、上記3のA社における税務上の取扱いにかかわらず、本件資産の時価相当額の受贈益が発生し、益金の額に算入すべきことになりますが、その場合の時価の算定については、上記1の後段記載の方法によることが相当と考えられます。

【関連情報】

《法令等》

法人税法22条2項
法人税法33条
法人税法37条7項
法人税法37条8項
法人税基本通達9-1-19

【収録日】

令和 2年 1月27日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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