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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

取締役を退任し顧問に就任した者の報酬等の取扱いについて

【質問】

 当社の取締役(オーナー一族ではありません。)である甲氏は、この度、役員としての定年を迎えることとなりましたので、退職金を支給したいと思います。取締役退任後は、もちろん取締役の仕事には従事しませんが、顧問として会社に残る予定です。また、甲氏の給与は、数年前に、健康上の理由で常務取締役から平取締役となった時に従前の半分以下に引き下げており、元々多額の給料ではないので、取締役を退任して顧問となってからも同額を支給したいと思います。
 このように取締役退任後も顧問として会社に残り、同額の給与を支給する場合、税務上何か問題となりますでしょうか。

【回答】

1 一般に、会社法等の規定による役員である取締役を退任して法人の経営から退き、顧問等の立場で法人の業務に従事する場合、取締役の退任に当たり株主総会の決議等に基づき支給される役員退職給与は、過大なものでない限り損金算入が認められるものと思われます。その後の顧問としての報酬の取扱いについては、職務への従事形態に応じて、雇用契約に基づき法人の指揮命令下で勤務する関係にある場合には、使用人給与として法人税法36条(過大な使用人給与の損金不算入)の規定が適用されますが、甲氏はオーナー一族ではない、とのことですので、この制度の対象となる特殊関係使用人には該当しないものと思われます。また、委託契約等に基づき法人と独立の立場で自己の計算と危険において役務を提供する関係にある場合には、通常の委託報酬と同様、業務の対価として相当の金額であれば顧問報酬等として損金に算入されるものと考えられます。
  お尋ねの甲氏の顧問としての契約関係や職務の具体的な内容は不明ですが、少なくとも、法人の経営を担う「取締役の仕事には従事しない」とのことですので、法人の経営に従事していない、との事実認定が相当と判断される場合には、上記のような取扱いとなり、顧問報酬が取締役時代と同額であったとしても、顧問としての業務の対価として相当の金額の範囲であれば、税務上から問題となることはないものと考えます。
2 一方、法人税法上の役員の範囲については、法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人のほか、「法人の使用人以外の者でその法人の経営に従事しているもの」が含まれ(法法2十五、法令7二)、法人税基本通達9-2-1では、「法人の使用人以外の者でその法人の経営に従事しているもの」には、「相談役、顧問その他これらに類するものでその法人内における地位、その行う職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められるものが含まれる」と規定されています。
  したがって、顧問に就任後も甲氏が法人の経営に従事している実態にある場合には、法人税法上は、みなし役員として取り扱われ、役員給与の損金不算入(法法34〔1〕)や過大な役員給与の損金不算入(法法34〔2〕)の規定が適用されることとなります。
  また、法人税基本通達9-2-32(役員の分掌変更等の場合の退職給与)に基づき、取締役からみなし役員とされる顧問への分掌変更が「役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合」に該当し、退職給与として取り扱われるか否かの検討も必要となります。

【関連情報】

《法令等》

法人税法2条15号
法人税法34条
法人税法36条
法人税法施行令7条2号
法人税基本通達9-2-1
法人税基本通達9-2-32

【収録日】

平成31年 3月29日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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