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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

機械及び装置の事業供用日の判定と減価償却費としての損金経理について

【質問】

 A社は、金属製品製造業を営む法人ですが、この度、新製品の製造のために新型の機械装置(以下、「本件機械」といいます。)を購入しました。
 本件機械は、期末までに、設置及び試運転を完了し、新製品の試作品の製造に着手していますが、現段階では新製品の受注獲得のための営業中であり、ある程度受注がまとまる翌期以降に本格生産に入ることとしています。
 A社では、これまでは機械装置の設置後、試運転を完了し、受注があればいつでも稼動できる状態になった日を事業の用に供した日として、減価償却を開始してきましたが、機械装置の設置後、試運転を了しても、受注獲得まで相当の日数を要することが多いため、実際に製品の本格生産がスタートするまでに長いもので1年以上掛かるものもあり、売上の発生時期と減価償却費の計上時期とがかけ離れることがありました。
 このためA社では、本件機械をはじめ、今後取得する機械装置については、受注を受けて実際に製品の生産を開始した日をもって事業の用に供した日として減価償却を開始しようと考えていますが、問題はないでしょうか。

【回答】

 本件機械のように、「受注を受けての生産開始」に先立って「試作品の製作」のためにも使用される機械装置については、その試作品の製作を開始した日をもって事業の用に供した日とするのが相当と考えます。
1 減価償却資産を事業の用に供したか否かは、その法人の業種・業態及びその資産の特質や使用の状況を総合的に勘案して判断すべきものと考えられます。
  すなわち、「事業の用に供した日」とは、一般的にはその減価償却資産のもつ属性に従って本来の目的のために使用を開始した日をいいます(措通65の7(2)-2等)から、例えば、機械装置を購入した場合には、その機械装置を工場内に搬入しただけでは事業の用に供したとはいえず、原則としてその機械装置を据え付け、試運転を完了し、本来の目的である製品の生産等を開始した日が事業の用に供した日と考えられます。
  この場合、製品の製造を目的として取得した機械装置の本来の目的とは、最終的にはその「製品の生産」にあるものと考えられますが、その場合であっても、製品の生産に先立ってその製品の開発のための試作品等の製作を要し、取得した機械装置がその試作品の製作にも使用される場合には、その機械装置は、製品製造への事業供用に先立ち、試作品製作という製品開発のための法人の事業の用に供されたことが明らかと認められます。
  つまり、機械の作動状況の確認として行われる「試運転」は事業供用に当たりませんが、製品開発のためにその機械を使用して行われる「試作品の製作」は、その機械の「事業供用」にほかならないものと解されます。
2 ところで、機械装置等の取得から本格生産開始までの経過を時系列で考えると、〔1〕設置及び試運転が完了して稼動可能状態になった段階、〔2〕本格生産開始に先立って試作品の製作を開始した段階及び〔3〕本格生産が開始された段階とに区分されることが考えられますが、通常はこの〔1〕から〔3〕の時期は大差がないものと考えられることから、実務上においては、従前のA社のように〔1〕の時期をもって事業供用開始日として償却を開始したとしても問題視されない場合が一般的と考えられます。
3 これに対して、A社が今後採用を予定している本格生産の開始日をもって償却開始日とする方法は、上記〔1〕の稼動可能状態になった時期と〔3〕の本格生産開始の時期とが大幅に異なることを考慮したいわゆる「費用収益対応」の見地に基づくものと解されます。
  しかしながら、減価償却資産としての機械及び装置の特質からすると、本格生産に至らずとも試作品の製作によっても既に減価償却資産としての損耗は生じ得ること、また、研究開発用の機械装置等のように、売上と減価償却費とが対応しない場合もあることなどから、必ずしも売上と機械装置の減価償却費の計上について厳密な対応関係を要するものとは解されません。
  また、本件機械については、当期末において上記2の〔2〕の段階、すなわち既に試作品の製作のために使用されていることからすると、物理的にも当期において事業の用に供されているものと認められるところです。
  もとより、事業供用年度である当期において減価償却費の損金算入を行わなかったとしても、事実上の償却不足が生じるにとどまり、税務上是正を求められることはないことから、その意味においては「問題はない」ものと考えられます。
  ただし、措置法上の特別償却を適用する場合には、それらに係る各規定は、事業供用年度において適用すべきこととされている(措置法42の6(1)、同 42の12の5(1)ほか)ため、事業供用年度の判定及び特別償却の適用時期については厳格を期するべきと解されることから、少なくとも、本件機械のように既に当期において試作品の製作のために使用されている場合には、当期において事業供用がなされたものと認定され、事業供用年度ではない本格生産開始事業年度において特別償却の規定を適用することが認められないことも想定されますので、注意が必要です。

【関連情報】

《法令等》

租税特別措置法通達65の7(2)-2

【収録日】

平成27年 5月30日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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