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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

事業所得者の開業時の税務手続き

【質問】

新規に事業を開始したが、税務上どのような手続きが必要となるのか。

【回答】

個人が、新規に事業を開始した場合に、税務上必要な手続きとして、納税地の所轄税務署長に提出する諸届出の種類及びその提出期限は次のとおりである。

【関連情報】

《法令等》

所得税法57条1項
所得税法57条2項
所得税法143条
所得税法144条
所得税法145条3号
所得税法216条
所得税法217条1項
所得税法229条
所得税法230条
所得税法施行令100条2項1号
所得税法施行令100条2項2号
所得税法施行令102条1項
所得税法施行令123条2項1号
所得税法施行令123条2項2号
所得税法施行令123条2項3号
所得税法施行令125条1号
所得税法施行令125条2号
所得税法施行規則36条の4第1項
所得税法施行規則36条の4第3項
所得税法施行規則55条
所得税法施行規則78条
所得税法施行規則98条1項1号
所得税法施行規則98条2項
所得税法施行規則99条
租税特別措置法41条の6
租税特別措置法施行規則19条

【解説】

 個人が、新規に事業を開始した場合に、税務上必要な手続きとして、納税地の所轄税務署長に提出する諸届出の種類及びその提出期限等は、「個人事業の開廃業等の届出書」をはじめとして次に掲げるとおりである。
1 個人事業の開廃業の届出書
 個人が、新規に事業を開始した場合には、その旨及び次に掲げる事項を記載したこの届出書を、その事実のあった日から1月以内に所轄税務署長に提出しなければならないこととされている(所法229条、所規98条2項)。
 この場合に、納税地と事業所の所在地とが異なるときは、その納税地の所轄税務署長のほか、事業所の所在地の所轄税務署長にもこの届出書を提出しなければならないとされている(所規98条1項1号)。
(1)氏名及び住所(国内に住所がない場合には、居所)並びに住所地と納税地とが異なる場合には、その納税地
(2)事業を開始した年月日
(3)その事業の概要
(4)その事業所の所在地
(5)その他参考となるべき事項
(注)本届書は、上記開業の場合のほか、別に事業所を新規に設置したり、それらの移転又は廃止をしたときにも、所要事項を記載して税務署長に提出しなければならないとされている。
2 給与等の支払をする事務所の開設等の届出書
 店員など従業員の給料、賞与等の支払をする者は、その支払の際にその給与等について所得税を徴収し、その源泉徴収をした日の属する月の翌月10日までにその徴収した所得税を税務署長に納付しなければならないこととされている(所法183条1項)。
 このため新たに給与等を支払う事務所、事業所を設けた場合(移転若しくは廃止を含む)には、その旨及び次の事項を記載した本届出書をその事実があった日から1月以内に、その給与支払事務所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければならないとされている。

 ただし、上記1の個人事業の開廃業の届出書を提出した場合には、この届出書を提出する必要はないこととされている(所法230条、所規99条)。
(1)氏名及び住所、又は主たる事務所の所在地
(2)給与支払事務所等を設けた旨及びその年月日
(3)給与支払事務所等の所在地
(4)本届出書を提出する日の現況におけるその給与支払事務所等において給与等の支払を受ける者の職種等の別の人員数
(5)その他参考となるべき事項
3 所得税の青色申告承認申請書
 所得税においては、申告納税制度を採用して、納税者が自ら自己の所得を計算し、それに基づき自主的に納税をすることとしている。
 この自主的な申告を側面から支援し、申告納税制度の実をあげるために、法律で定める帳簿を備え、正確な所得の計算を行う納税者には、その計算に際し特別の軽減を与えたり、申告や納税の手続き上も有利な取扱いをするなどして、通常の納税者と区別して青色申告書で確定申告をすることができることとされており、このような申告をする者を青色申告者と呼んでいる。
 青色申告は、青色申告書の提出について税務署長の承認を受けた者だけが提出できることとされているので、青色申告をしようとする者は、次の事項を記載した申請書を、開業に係る業務を開始した日(その年1月16日以後)から2月以内に、納税地の所轄税務署長に提出しなければならないとされている(所法144条、所規55条)。
(1)開業した業務に係る所得の種類
(注)青色申告をすることができる者は、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行う居住者とされているから、所得の種類はこの3種類となる(所法143条)。
(2)申請者の氏名及び住所(国内に住所がない場合には居所)並びに住所地と納税地とが異なる場合には、その納税地
(3)申請書を提出した後最初に青色申告書を提出しようとする年
(4)青色申告書の提出について、承認を取り消されたり、取りやめの届出をした後再び承認の申請書を提出しようとする場合には、その取消し処分の通知を受けた日又は取りやめの届出書の提出をした日
(注)青色申告承認の取消し処分の通知を受けた日、又は青色申告取りやめの届出書を提出した日以後1年以内に再び申請をしたときには、税務署長は、その申請を却下することができるとされている(所法145条3号)。
(5)その年1月16日以後に開業に係る業務を開始した場合には、その業務を開始した年月日
(6)その他参考となるべき事項
4 棚卸資産評価方法の届出書
 新たに事業所得を生ずべき事業を開始した者は、その事業に係る棚卸資産について、その営む事業の種類ごとに、また、棚卸資産の区分ごとにそのよるべき評価方法を選定して、その開業の日の属する年分の確定申告期限までに納税地の所轄税務署長に届け出なければならないこととされている(所令100条2項1号)。
(注)この届出書は、上記のほか、従来の事業のほかに他の種類の事業を開始したとき又は従来の事業の種類を変更した場合にも所轄税務署長に提出しなければならないこととされている(所令100条2項2号)。
 なお、この届出をしない場合には、たな卸資産の評価については最終仕入原価法によって評価することとされている(所令102条1項)。
5 減価償却資産の償却方法の届出書
 新たに事業を開始した者は、その事業に係る減価償却資産につきその減価償却資産の区分ごとにその減価償却の方法を選定して、その業務を開始した日の属する年分の確定申告期限までに納税地の所轄税務署長に届け出なければならないこととされている(所令123条2項1号)。
(注)この届出書は、上記のほか、新たに不動産所得、山林所得又は雑所得を生ずべき減価償却資産を取得したとき及び現に採用している償却方法以外の方法によるべき減価償却資産を取得した場合等にも所轄税務署長に提出しなければならないこととされている(所令123条2項2、3号)。
 なお、この届出をしない場合には、減価償却資産の償却の方法は定額法(鉱業用減価償却資産については生産高比例法)によって償却することとされている(所令125条1、2号)。
6 青色専従者給与に関する届出書
 青色申告者が、その者と生計を一にする親族(その年12月31日の現況で、年齢が15歳未満である者を除く)で、その事業に専ら従事する者(「青色事業専従者」という)に対して、この届出書に記載されている方法に従い、その金額の範囲内で給与を支払った場合に、相当と認められるものは、その支給した年分の事業に係る所得の必要経費に算入することができるとされている(所法57条1項)。
 青色申告者が、青色専従者給与額を必要経費に算入するためには、その年分以後の各年分についてその適用を受けようとする年の3月15日(その年1月16日以後に開業した場合には、その事業を開始した日から2月以内)に次に掲げる事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされている(所法57条2項、所規36条の4第1項、3項)。
(1)青色事業専従者の氏名、その職務の内容及び給与の金額並びにその給与の支給期
(2)この届出書を提出する者の氏名及び住所(国内に住所がない場合には、居所)並びに住所地(国内に住所がない場合には、居所地)と納税地が異なる場合には、その納税地
(3)この届出書を提出する者と青色事業専従者との続柄及び年齢
(4)青色事業専従者が他の業務に従事し又は就学している場合には、その事実
(5)その事業に従事する他の使用人に対して支払う給与の金額並びにその支給の方法及び形態
(6)昇給の基準その他参考となるべき事項
(注)新規開業の場合で、その事業に従事する親族がいるときに、青色申告の申請をする場合には、3の青色申告承認申請書と同時にこの届出書が税務署長に提出されているようである。
7 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
 給与所得をはじめ源泉徴収の対象となるものとして法令に定めのある特定の所得の支払については、その支払をする者が、支払をする金額から所定の所得税を差し引いて所定の納期限までに納付することを源泉徴収という。
 給与等の支払に際して徴収する所得税については、原則として、支払が行われた日の翌月10日までに納付することとされている。
 この納付する所得税について、その給与の支払をする事業における給与の支払を受ける者が常時10人未満である場合で、税務署長の承認を受けたときには、1月から6月及び7月から12月までの各期間内に徴収した所得税額をそれぞれ、7月10日と翌年1月10日の2回にまとめて納付することができるとされており、これを源泉徴収に係る所得税の納期の特例という(所法216条)。
 この納期の特例に関する承認を受けるためには、次に掲げる事項を記載した承認申請書を税務署長に提出しなければならないこととされている(所法217条1項、所規78条)
(1)承認を受けようとする事務所の所在地、その事務所において給与の支払を受ける者の数。
(2)この承認申請書を提出する者の氏名及び住所若しくは居所若しくは主たる事務所の所在地
(3)承認を受けようとする事務所等に係る最近における6月間の月別の給与等の支払を受ける者の数及びその給与等の金額並びに臨時に雇用している者がある場合には、その者に係るこれらの内訳
(4)現に国税の滞納があり、又は最近において著しい納付遅延の事実がある場合において、それがやむを得ない事由によるものであるときは、その事由
(5)この申請書を提出した日以前1年以内において、納期の特例に関する承認の取消しの通知を受けたことの有無
(6)その他参考となるべき事項
(注)この源泉徴収に係る所得税の納期の特例の承認を受けている者が、その年12月20日までに、次の事項を記載した「給与、退職手当等について源泉徴収した所得税の納期限の特例に係る届出書」を提出したときは、その提出した日の属する年以後の各年の7月から12月までの期間に支払った給与等について徴収した所得税の額の納期限は、その期間の属する年の翌年1月20日とすることとされている(措法41条の6、措規19条)。
   1 この届出書を提出する者の氏名及び住所若しくは居所又は主たる事務所の所在地
   2 この届出に係る特例の適用を受けようとする事務所等の名称及び所在地
   3 その他参考となるべき事項

【収録日】

平成13年 5月31日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
注2: 当Q&Aの内容は、作成時の法令等を基に作成しております。このため、当Q&Aの内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
注3: 当Q&Aの著作権は株式会社TKCに帰属します。当Q&Aのデータを改編、複製、転載、変更、翻訳、再配布することを禁止します。

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