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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

修繕費

【質問】

 会社の資産である事務所外壁の張り替えを行い、280万円の支出をしました。
 張り替えたサイディングは以前と変わらない材料を使用しました。
 なお、固定資産として事務所の建物の前期末における取得価格は3,210万円です。
 修繕費として損金算入してよいでしょうか。

【回答】

1 固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額は修繕費として損金算入が可能となります(法基通7-8-2)が、固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、または、その耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額は、資本的支出として取り扱われます(法基通7-8-1)。
  そして、修理、改良等のために支出した金額のうち資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合には、その金額が、(1)60万円に満たない場合、又は(2)その修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10パーセント相当額以下である場合のいずれかに該当するときは、修繕費として損金経理をすることができるものとされています(法基通7-8-4)。
2 ところで、昭和44年に廃止された旧法人税基本通達235においては、家屋又は壁の塗替は資本的支出と修繕費の区分計算をしないで、その全額を修繕費と認めることとされていましたが、その考え方は基本的に現在も変わらないものと考えられます。
  しかしながら、一方で、近年の塗料や外壁材等の性能の向上により、従前の外壁の原状回復にとどまらず、断熱効果や防水効果等において格段の改良が行われる結果、従前よりも資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなる場合が多く見受けられることから、そのような場合には、修繕費処理が認められず、資本的支出として処理すべきケースも想定されます。
3 ご質問の場合、張り替えた外壁のサイディング(外壁材)は以前と変わらない材料を使用しているということですから、その張替えは、価値や耐久性の向上をもたらすものではなく、建物の通常の維持管理や原状回復にとどまるものとして、修繕費としての処理が可能と考えられます。
  また、仮に、ご質問の外壁の張替えが、資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない部分があるとしても、前期末における固定資産の取得価額3,210万円の10パーセント相当額以下であることから、修繕費として処理して差し支えないものと考えます。

【関連情報】

《法令等》

法人税基本通達7-8-1
法人税基本通達7-8-2
法人税基本通達7-8-3

【収録日】

平成29年 4月18日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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