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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

圧縮記帳の対象資産を先行取得した場合の少額減価償却資産の損金算入の特例の金額判定について

【質問】

 A社(4月決算法人)では、令和4年4月期中に事業再構築補助金の申請を行い、補助対象となる建物の内装工事(1,000万円)と器具及び備品の取得(合計金額500万円)を行ったものの、令和4年4月末現在、補助金の入金はなく、入金及び交付額の確定は翌令和5年4月期中となる予定です。この令和4年4月期に取得した器具及び備品の中には、国庫補助金の圧縮記帳を適用した場合、取得価額から補助金の額を控除した金額が10万円未満となる資産、10万円以上20万円未満となる資産及び30万円未満となる資産がありますが、その場合、少額減価償却資産の損金算入の特例制度の適用に係る取得価額の金額判定はどのように行うべきでしょうか。

【回答】

1 少額減価償却資産の損金算入の特例制度については、全法人を対象とした法人税法上の特例と、中小企業者等を対象とした租税特別措置法上の特例があります。
 このうち、法人税法施行令においては、取得価額が10万円未満等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の制度(法令133)及び取得価額が20万円未満の一括償却資産の3年償却の制度(法令133の2)が設けられていますが、この両規定においては、「10万円未満」あるいは「20万円未満」か否かを判定する取得価額について「法令54条1項の各号の規定により計算した価額」をいう旨規定しています(法令133)。
  そして、法人税法施行令54条3項では、減価償却資産につき、法人税法42条から50条までの規定(法人税法上の圧縮記帳の規定)により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額がある場合には、法人税法施行令54条1項各号に定める金額(減価償却資産の取得価額)から圧縮記帳の規定により損金の額に算入された金額を控除した金額をもって当該資産の同項の規定による取得価額とみなす旨を規定しています。
  このように、上記の法人税法上の特例規定における「10万円未満」あるいは「20万円未満」か否かを判定する取得価額については、法人税法上の圧縮記帳の規定に基づく圧縮記帳後の取得価額によることとなります。
 また、租税特別措置法67条の5の中小企業者等に係る取得価額が30万円未満の少額減価償却資産の損金算入の特例における「30万円未満」か否かを判定する場合の取得価額についても、同様に圧縮記帳後の取得価額を基礎として行うことができるものと解されます(この点については、《税務Q&A》【文献番号】43202240【件名】「圧縮記帳により改訂取得価額が30万円未満となった減価償却資産の取扱い」をご参照ください。)。
2 ところで、国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度は、原則として補助金の交付と対象資産の取得が同一事業年度において行われた場合に適用がありますが、対象資産の取得が補助金の交付事業年度前の各事業年度である場合(いわゆる「先行取得」のケース)においても、その交付を受けた事業年度において圧縮記帳を適用することができます(法法42かっこ書)。
 その場合の圧縮限度額は、国庫補助金等の額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額によることとされ、政令では、次の算式により算定することとされています(法令79の2)。
   交付を受けた国庫補助金等の返還不要が確定した日におけるその固定資産の帳簿価額(未償却残高)×〔その返還不要となった国庫補助金等の額/その固定資産の取得等に要した金額〕
 したがって、お尋ねの事例のように、国庫補助金の対象資産の取得・事業供用年度(令和4年4月期)が国庫補助金の交付・確定年度(令和5年4月期)に先行する先行取得の場合の圧縮記帳の適用年度は、返還不要が確定した補助金の交付を受けた翌事業年度となります。
3 その場合、少額減価償却資産の損金算入の特例制度の適用は、対象資産を事業の用に供した事業年度において損金経理や別表添付(別表16(7)、16(8))により選択することとされているところ、先行取得の場合、対象資産である器具及び備品の取得・事業供用年度においては、圧縮記帳の適用を受けていませんので、法人税法施行令54条3項の規定により実際の取得価額から控除される「圧縮記帳の規定により損金の額に算入された金額」はなく、また、少額減価償却資産の損金算入の特例に係る各規定の適用上、先行取得の場合に補助金の交付予定額を控除した金額により判定する等の特段の規定や取扱いもありません。
 したがって、お尋ねのような先行取得の場合は、少額減価償却資産の損金算入の特例制度の適用に係る金額判定は、当該器具及び備品の実際の取得価額により行うこととなるものと思われます。
 そして、この金額判定の結果、その取得・事業供用年度において少額減価償却資産の損金算入の特例制度の適用を受けなかった国庫補助金の対象資産について、翌期に返還不要が確定した補助金の交付を受けた場合には、上記の法令規定にしたがい、国庫補助金等の交付を受けた時におけるその固定資産の帳簿価額(未償却残高)を基に計算される圧縮限度額の範囲で対象資産の圧縮記帳を行うことにより、国庫補助金への課税が繰り延べられることとなるものと思われます。

【関連情報】

《法令等》

法人税法42条
法人税法施行令54条
法人税法施行令79条の2
法人税法施行令133条
法人税法施行令133条の2
租税特別措置法67条5

【収録日】

令和 4年 9月14日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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