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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

二世帯型住宅の敷地の場合の特定居住用宅地等の判定(平成22年4月1日前に開始した相続)

【質問】

 次のような事実関係の下で、二世帯型住宅の敷地となっている宅地を同住宅の所有者である乙が相続によって取得しました。この場合、乙が取得した二世帯型住宅の敷地は、小規模宅地等に係る相続税の特例の適用上「特定居住用宅地等」に該当することになりますか。
(1)甲は、自己の有する戸建住宅に妻とともに居住していましたが、その住宅用家屋が老朽化したため、10年前それを取壊し、その跡地を乙(甲の子)が無償で借り受け、いわゆる二世帯型住宅(1階部分と2階部分が構造上独立しており、それぞれ独立して住居の用に供することができる住宅用家屋)を新築しました。
(2)以後、甲夫婦は1階部分を乙から無償で借りて居住し、乙とその家族は2階部分に居住していましたが、甲と乙とは生計を別にしていました。
 5年前に甲の妻が病没したため、甲は、持家のない姪夫婦に同居してもらい、家族同様に暮らしていましたが、最近、甲が病没しました。
 そこで、この二世帯型住宅の敷地を、相続人である乙が相続しました。

【回答】

 被相続人の居住用宅地等を配偶者以外の親族で、その相続人と同居していた者が相続(遺贈)により取得した場合、その宅地等は、小規模宅地に係る相続税の課税の特例上「特定居住用宅地等」に該当し、80%減額の対象になります。
 この場合、その被相続人と同居していたかどうかについては、被相続人の居住の用に供されていた家屋が共同住宅の各独立部分であったときは、各独立部分を単位として判定するのが原則ですが、その家屋がいわゆる二世帯型住宅のような小規模な区分建物である場合には、その判定について特別の取扱い(措置法通達69の4-21)が設けられています。
 それによれば、本件については、被相続人甲と配偶者以外の相続人である乙は、二世帯型住宅の異なる独立部分をそれぞれ居宅とし生計を別にしていましたが、乙が措置法69条の4第3項第2号イの同居親族に当たるとし、相続したその二世帯型住宅の敷地が特定居住用宅地等に該当するものとして相続税の申告をしている場合には、他の特例適用要件に抵触しない限り、その申告が認められることになります。

【関連情報】

《法令等》

租税特別措置法69条の4第1項
租税特別措置法69条の4第2項
租税特別措置法69条の4第3項
租税特別措置法通達69の4-5
租税特別措置法通達69の4-21

【解説】

1 特例の対象となる「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」の範囲
 小規模宅地等に係る相続税の課税の特例(措置法69の4)は、被相続人等(被相続人又は被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族)の事業や居住の用に供されていた宅地等特定の財産を相続(遺贈)によって取得した場合に、適用されます。
 この特例の対象となる「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」とは、具体的には、被相続人の有する宅地等で、次のいずれかに該当するものをいいます(措置法通達69の4-5)。
(1)被相続人の有する次の家屋の敷地の用に供されていた土地等
 ○ 被相続人が、自ら居住の用に供していた家屋
 ○ 被相続人と生計を一にする親族の居住の用に供されていた家屋(この場合は、その親族が、その家屋を被相続人から無償で借り受けていたものに限られます。)
(2)被相続人の親族が有していた家屋で、被相続人の居住の用に供されていたものの敷地の用に供されていた土地等(この場合は、被相続人(敷地の所有者で、その家屋の使用者)とその親族(家屋の所有者で、その敷地の使用者)の間の、敷地と家屋の貸借がともに無償であるものに限られます)
2 特定居住用宅地等の範囲
 「特定居住用宅地等」とは、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、その宅地等を相続(遺贈)により取得した者(個人)のうちに、その被相続人の配偶者か次のいずれかに該当する親族がいる場合のその宅地等をいいます。
(1)相続開始直前において、被相続人が居住の用に供していた家屋に同居していた者
(2)相続開始後に当該家屋に入居した者で、相続開始前3年以内にその者又はその配偶者の所有する家屋に居住したことがないもの(その被相続人の配偶者又は当該家屋に居住していた配偶者以外の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)がいない場合に限られます)
(3)被相続人と生計を一にしていた親族で、相続開始前から、被相続人から住宅用家屋を無償で借受け、又は宅地等を自己の住宅用家屋の敷地として無償で借受けることにより、当該宅地等を自己の居住の用に供している者
3 1棟の建物の敷地の一部が特定居住用宅地等の要件に該当する場合の特定居住用宅地等の範囲
 小規模宅地等に係る相続税の特例の対象となる宅地等は、特定の用途に供されている宅地等に限られていますから、一団の宅地等のうちに事業用部分、居住用部分及びその他の用途に供されている部分があるような場合には、その用途別に区分して、特例対象宅地等に該当するものかどうか判定するのが原則です(措置法令40の2(2))。
 平成22年4月1日以後の相続又は遺贈に係る場合においては、実際に居住の用に供されている部分に対応するものについてのみ特定居住用宅地等として減額することができることとされました。
4 共同住宅等の場合の居住用家屋の判定単位
 例えば、「2」の(1)により、被相続人とその親族が一の家屋に同居していたかどうかを判定する場合、その家屋がいわゆる共同住宅のようにその構造上区分された数個の部分の各部分(独立部分)を独立して住居その他の用途に供することができるもの(区分建物)であるときは、その各独立部分を単位として判定するのが原則です(措置法通達69の4-21)。
 しかし、この原則を貫けば、本件の二世帯住宅のように、建物全体が被相続人又はその親族によって所有され、その建物に係る各独立部分に被相続人とその親族が分かれて居住しているような場合についても、「同居に当たらない」ことになり、その敷地は特定居住用宅地等に該当しないことになりますが、それでは、かえって実情に沿わないことになりかねません。
 そこで、被相続人の親族で、被相続人の居住に係る共同住宅(その全部を被相続人又は被被相続人の親族が所有するものに限る)の独立部分のうち被相続人が相続開始の直前において居住の用に供していた独立部分以外の独立部分に居住していた者がいる場合(その被相続人の配偶者も、配偶者以外でその被相続人が居住の用に供していた独立部分に同居していた被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)もいない場合に限る)において、その親族が、被相続人の居住用家屋に居住していた者(措置法69の4(3)二イに該当)の当たるものとして申告があったときは、その申告を認めるものとして取り扱われています(措置法通達69の4-21なお書き)。
(注)1.平成22年4月1日以後に相続又は遺贈により取得した小規模宅地等において、共同相続の場合に適用要件を満たさない相続人等については適用が認められなくなりました(措法69の4(3))。
 2.平成22年4月1日以後の相続又は遺贈に係る場合においては、当該相続に係る相続税の申告期限まで当該宅地等の保有及び事業の継続が要件となりますからご注意ください。

【収録日】

令和 4年10月31日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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