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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

準確定申告に係る「未納個人事業税」を相続税の債務控除することの可否

【質問】

 相続人甲は、被相続人乙の個人事業に関して、その年の1月1日から相続開始日までの所得について、その相続の開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日までに申告(いわゆる準確定申告)と納税を行った。
 その後、甲は、乙の個人事業税に係る納税通知があり納税を行った。
 この個人事業税は、乙に係る相続税の申告において債務控除することができるか。

【回答】

 乙の「個人事業税」については、乙が死亡し、所得税の確定申告書(いわゆる準確定申告書も含みます。)が提出された場合には、個人事業税の申告がされたものとみなされ、乙の個人事業税の納税義務が成立することになります。
 そうしますと、乙に係る「個人事業税」は、被相続人が負担すべきであった地方税法が規定する地方団体の徴収金に当たることから、相続税法が規定する「確実と認められる債務(公租公課)」となりますので、乙に係る相続税の申告において債務控除することができます。

【関連情報】

《法令等》

相続税法13条
相続税法14条
相続税法施行令3条1項10号
相続税法基本通達14-1
国税通則法5条
地方税法1条1項14号
地方税法9条
地方税法72条の49の11
地方税法72条の55
地方税法72条の55の2

【解説】

1 相続税の債務控除の対象となる債務は、被相続人の債務で相続開始の際に現に存するもので、確実と認められるものであることが原則となっています(相法13、14)。
  また、債務控除をする公租公課の金額については、被相続人の死亡時に納税義務が確定しているもののほか、被相続人の死亡後、相続人が納付し、または徴収されることとなった被相続人に係る所得税、相続税、贈与税、地価税、登録免許税、消費税、酒税、揮発油税及び印紙税などの公租公課の額が含まれることになっています。ただし、相続人の責めに帰すべき事由により納付し、又は徴収されることとなった金額は含まないものとされています(相法14〔2〕、相令3ただし書)。
2 ところで、地方税法においては、相続があった場合には、その相続人は、被相続人に課されるべき地方団体の徴収金を納付し、又は納入しなければならないとされています(地法9)。
  そして、この場合における地方団体の徴収金とは、相続の開始時において、被相続人について既に課税要件が充足し、抽象的な納税義務が成立しているが、未だ賦課決定や申告等により納税義務が具体的に確定するに至っていない地方団体の徴収金をいうものとされています。
3 個人事業税については、納税義務者から提出された申告書等の課税資料を基にして税額を計算し、その納税通知書により課税するいわゆる賦課課税方式により課税することとされています。
  この場合の課税標準は、原則として前年中における個人の事業の所得によることとされています(地法72の49の11〔1〕)。
  ただし、個人が年の途中において事業を廃止した場合の課税標準は、前年中における個人の事業の所得のほか、その年の1月1日から事業の廃止の日までの個人の事業の所得によることとされています(地法72の49の11〔2〕)。
  ところで、個人事業税の納税義務者は前年中の事業の所得を翌年3月15日までに事務所等所在地の都道府県知事に申告することになります。
  また、年の中途において事業を廃止した場合には、その年の1月1日から事業の廃止の日までの事業の所得を事業の廃止の日から1ヶ月以内(納税義務者の死亡によるときは4ヶ月以内)に事務所等所在地の都道府県知事に申告することになります(地法72の55)。ただし、個人事業税の申告は、所得税の確定申告書(いわゆる準確定申告書を含みます。)又は個人住民税の申告書を提出した場合には、個人事業税の申告がされたものとみなされます(地法72の55の2、所法2〔1〕三十七)。
  このように個人事業者は、事業を廃止する日まで個人事業税の納税義務を負うことになります。
4 個人事業者の「個人事業税」については、個人事業者が死亡し、所得税の確定申告書(いわゆる準確定申告書も含みます。)を提出した場合には、その個人事業者の個人事業税の申告がされたものとみなされ、個人事業税の納税義務が成立することになります。
  そして、個人事業者の相続人は、地方税法9条の規定により、個人事業者に課されるべき個人事業税の納付すべき義務を承継し、納税する必要があります。
  そうしますと、個人事業者(被相続人)に係る「事業税」は、被相続人が負担すべきであった地方税法が規定する地方団体の徴収金に当たることから、相続税法が規定する「確実と認められる債務(公租公課)」となりますので、被相続人に係る相続税の申告において債務控除することができます(相令3〔3〕十)。

【収録日】

平成30年12月 4日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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