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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

浄化槽設備の耐用年数について

【質問】

 当社(飲食業)は、店舗用建物を建築しましたが、敷地が狭いことから浄化槽(合併処理浄化槽)はプラスチック製の小容量型(コンパクト型)を採用し、建物内部にスペースを確保して設置しました。浄化槽の処理能力は14人から21人槽で、価格は300万円です。浄化槽設備は、通常は、耐用年数別表第5に掲げる構築物として耐用年数は18年とされているようですが、規模の小さいコンパクト型で建物内部に設置するような場合も構築物として減価償却をするのでしょうか。

【回答】

1 浄化槽は、公共下水道が普及していない地域でトイレを水洗化するために必要とされますが、近年では青潮等の原因になる窒素やリンを除去する高度処理機能を持った合併処理浄化槽(し尿(トイレ)と生活雑排水(台所、風呂、洗濯機などの排水)を併せて処理するもの)が主流になっているようです。また、浄化槽は、公共下水道と違い近くの川などに処理水が放流されるため、川の水量を保つことができることや地震や津波などの災害にも強く、設置も短期間でできるため、身近な水環境を保全していくための有用な処理設備であることなど、その評価も高いとされています。
  ところで、家庭生活等から排出される汚水も汚水に違いないことから、耐用年数取扱通達2-9-2では、「ビル、寄宿舎等から排出される汚水を浄化するために施設した浄化槽等で、構築物に該当するものは、汚水処理用減価償却資産に含まれるものとする。」とされています。
  したがって、浄化槽が構築物に該当する場合は、汚水処理の用に供されている減価償却資産として耐用年数省令別表第5(公害防止用減価償却資産の耐用年数表)を適用し、その耐用年数は「構築物」、「18年」となります(耐用年数省令2一)。
2 しかしながら、構築物に該当するものであっても、その取得価額等からみてしいて構築物として区分する必要がないと認められるものについては、経理の簡素化等の見地から建物附属設備に含めることができるものとされています。すなわち、耐用年数取扱通達2-2-3では、「建物に附属する給水用タンク及び給水設備に直結する井戸又は衛生設備に附属する浄化水槽等でその取得価額等からみてしいて構築物として区分する必要がないと認められるものについては、それぞれ、別表第1の「建物附属設備」に掲げる「給排水設備」又は「衛生設備」に含めることができる。」とされています。
  これは、建物附属設備の衛生設備とは、用水管、水そう、便器、配管及びこれらの附属品をいい、浄化槽は構築物に該当するので衛生設備には含まれないところ、その取得価額等からみてしいて構築物として区分する必要がないと認められるものについては、衛生設備に含めることができるとされているものです。
  したがって、浄化槽を建物附属設備に含める場合は、耐用年数省令別表第1により、「給排水又は衛生設備及びガス設備」の「15年」となります。
3 ご質問の浄化槽は、建物の敷地が狭いことから浄化槽(合併処理浄化槽)はプラスチック製の小容量型(コンパクト型)を採用し、建物内部にスペースを確保して設置したものであり、また、処理能力(14人から21人槽)や取得価額(300万円)からも小規模のものと考えられます。したがって、貴社は、上記2の耐用年数取扱通達2-2-3の取扱いにより、浄化槽を建物附属設備の衛生設備に区分して、耐用年数15年を適用して減価償却をすることも認められるものと考えます。

【関連情報】

《法令等》

耐用年数省令2一
耐用年数通達2-2-3
耐用年数通達2-9-2

【収録日】

平成27年12月28日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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