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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

「3年以内の取得」に土地の造成が含まれるか

【質問】

 平成26年12月相続開始に係る相続税の財産評価において、非上場会社であるA社の株式を純資産価額で評価することとなった。
 A社は、20年以上前から所有していた本件土地(平成26年分相続税評価額1億円)について、平成25年7月に2千万円をかけて造成の上、同年中にその上に8千万円で本件ビルを建築した。
 この場合、A社株式を純資産価額で評価するに当たり、本件ビルは、課税時期(相続開始時)前3年以内に取得したものであるから、固定資産税評価額ではなく、通常の取引価額により評価することとなるが、本件土地についても、課税時期前3年以内に造成したことにより、「3年以内の取得」した土地等に当たるとして、「通常の取引価額」により評価しなければならないか。

【回答】

 財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます。)185においては、「評価会社が課税時期前3年以内に取得又は新築した土地及び土地の上に存する権利並びに家屋及びその附属設備の価額は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価する」旨定められています。
 しかし、その「取得」には、課税時期前3年以上前から有していた土地に係る「土地の造成」は含まれないものと解されます。

【関連情報】

《法令等》

財産評価基本通達185

【解説】

1 取引相場のない株式の純資産価額の計算において、評価会社が課税時期前3年以内に取得等した土地等の価額は、原則として、通常の取引価額により評価するものとされています(平成2年改正)。
  これは、評価会社が課税時期の直前に取得し、「時価」が明らかに分かっている土地等については、その「時価」の把握が容易であることから、そのように取り扱われているものとされています。
2 ところで、その場合の「取得」の定義は必ずしも明らかではありませんが、TKC税務Q&A46005259によれば、「通常の売買による取得はもとより、交換、買換え、現物出資、合併等による取得も含まれる」ものとしています。
  しかしながら、本件のごとき土地の造成の場合は、上記の事例と異なり、一般的な概念である「取得」にはなじまないものと解されるところです。
  もとより、課税時期前3年以内に取得した土地について造成したような場合においては、その取得と造成が一体となって、ここにいう「取得」に当てはまるものと解すべきものと思われます。
3 したがって、本件土地の純資産価額に算入すべき評価額については、「造成中の宅地の評価」(国税庁ホームページ質疑応答事例より)に準じて、その土地の造成工事着手直前の地目により評価した課税時期における価額とその宅地の造成に要した費用原価の80パーセント相当額との合計額によるべきものとなります。

【収録日】

平成27年 3月31日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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