《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
指定寄附金となる大学等の設置を目的とする学校設立準備法人に対する寄附金
【質問】
政府は、大学や高等専門学校等において実社会で活躍できる人材の育成を行っていくことが重要であることから、民間企業の教育への積極的な関与により、企業、社会が求める人材を産学連携して育成できる仕組みづくりための企業の教育への積極的な関与を促進する措置として、令和5年度税制改正において、大学等の設置を目的とする学校設立準備法人に対する寄附金を「指定寄附金」に追加する制度が設けられて、財務大臣に対する指定寄附金の事前手続きが改正前に比べてかなり簡便化されたと聞いていますが、この制度の具体的な内容はどのようになっていますか。
【回答】
1 指定寄附金について 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金のうち、次に掲げる要件を満たすものとして財務大臣が指定したものについては、支出した寄附金の全額が損金の額に算入されます(法37〔3〕二)。(1)広く一般に募集されること。(2)教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。 この場合における指定寄附金については、既に設立された法人等に対するものではなく、これらの法人の設立に関する許可又は認可があることが確実であると認められる場合に、新しくこれらの法人を設立するために支出された寄附金、その他の設立される前に支出された寄附金も含まれます(法37〔3〕二かっこ書)。 そして、この財務大臣の指定を受けるには、必要事項を記載した申請書を財務大臣あてに提出する必要があり、その内容について審査を受けてその結果、指定されるものについては財務大臣告示が行われます。 なお、寄附を行った法人が指定寄附金の適用を受けるためには、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に指定寄附金の額及びその寄附金の明細を記載した書類を添付する必要があります(法37〔9〕)。2 指定寄附金となる大学等の設置を目的とする学校設立準備法人に対する寄附金 この寄附金の募集を行う学校設立準備法人は、大学等の設置を目的とする私立学校法の学校法人の設立を目的とする法人であり、下記の(1)及び(2)の要件を満たすことにより、上記1の財務大臣への申請手続きによる個別審査が不要とされ、財務大臣への届出書の提出のみでよいとされます(令和5年財務省告示第96号)。これにより、早い段階からの寄附金の募集活動ができるようになります。 なお、大学等には、学校教育法第1条に規定する大学、高等専門学校、又は同法第124条に規定する専修学校(同条の専修学校にあっては、専門課程でのその修業期間を通ずる授業時間数が3,400時間以上あるものによる教育を行うものに限ります。)が該当します。(1)当該学校法人の設立前においてされる寄附金で、法人税法施行令第75条(法人の設立のための寄附金の要件)に規定する寄附金に該当するものであること。(2)募集要項(寄附金の使途並びに募集の方法及び期間並びに募集した寄附金の管理の方法を明らかにした書面をいいます。)に、学校法人設立準備法人の設立後5年を超えない範囲内においてその募集要綱で定める日までに大学等の設置に係る学校教育法の設置認可を受けなかった場合には、それまでに受け入れた寄附金の額からその寄附金のうち学校法人の設立及び大学等の設置に特に必要となる費用に充てられたものの額を控除した残額について国又は地方公共団体に寄附する旨の定めがあること。 そして、この場合の募集期間及び対象寄附金は、寄附金募集につき学校設立準備法人から財務大臣に対して届出書(財務大臣の受理書を受けたものに限られます。)が提出された日から令和10年3月31日までの間に支出された寄附金(令和5年4月1日以後に支出するものに限ります。)が対象となります。 (注)上記の届出書及び受理書の書式は別添資料を参照してください。 なお、届出書に添付する書類等は次のとおりです。 イ 定款、寄附行為、規則若しくは規約又はこれらに準ずるものの写し ロ 募集要綱 ハ 届出の日前3月以内に交付された登記事項証明書 ニ 設置認可の申請をする予定の大学等の概要を記載した資料 ホ 大学等の設置認可の申請の準備状況(学校教育法第124条に規定する専修学校にあっては、当該申請の準備状況及び同法第125条第1項に規定する専門課程の修業期間を通ずる授業時間数が3,400時間以上であること)について大学等に係る所轄庁(私立学校法第4条に規定する所轄庁をいう。)の確認を受けたことを証する書類の写し
【関連情報】
《法令等》
【収録日】
令和 5年11月16日