《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
1株当たりの利益金額の計算上控除する「非経常的な利益金額」の範囲
【質問】
A社(製造業)の株式(取引相場のない株式)の相続税評価額は類似業種比準価額方式により評価することになっている。 類似業種比準価額方式による評価上、次のものは、1株当たりの利益金額の計算上、法人の課税所得金額から除かれる「非経常的な利益金額」に該当するか。(1)レバレッジドリース匿名組合配分利益(毎年発生)(2)固定資産売却益(毎年発生)(3)投資有価証券の売却益(毎年発生)(4)新事業用建物建設補助金益・雇用助成金益(不定期に発生)(5)満期保険金・解約返戻金益(不定期に発生)
【回答】
A社については(1)レバレッジドリース匿名組合配分利益、(2)固定資産売却益、(3)投資有価証券の売却益については毎年発生していますので非経常的な利益金額には該当しませんが、(4)新事業用建物建設補助金益・雇用助成金益(ただし、圧縮記帳金額を控除した後の金額)、及び(5)満期保険金・解約返戻金益(ただし、支払い保険料のうち、積立金などとして資産計上してある金額を控除した後の金額)については不定期に発生していますので非経常的な利益金額に該当します。
【関連情報】
《法令等》
【解説】
財産評価基本通達183(2)では、非経常的な利益金額として固定資産売却益、保険差益等が例示されています。 この非経常的な利益金額については評価会社の業種、営業などの実態等により異なりますが、上記のほか非経常的に発生するゴルフ会員権売却益、受贈益・債務免除益などが考えられています。 非経常的な「損」「益」がある場合には、非経常的な損益を通算し、通算の結果「利益」の金額(負数の場合はゼロとなります。)のときに1株当たりの利益金額から除かれます。 この非経常的な利益と通算する非経常的な損失には、ゴルフ会員権売却損、固定資産売却損、災害損失など考えられています。 そして、経常的な利益又は非経常的な利益のいずれに該当するかは、評価会社の事業の内容、その利益の発生原因、その発生原因たる行為の反復継続性又は臨時偶発等を考慮し、個別に判定することになります。 ご質問の場合は、(4)の新事業用建物建設補助金益・雇用助成金益について圧縮記帳をしている場合は圧縮記帳金額を控除した後の金額が、(5)満期保険金・解約返戻金益については支払い保険料のうち積立金などとして資産計上した金額があればその金額を控除した後の金額が非経常的な利益金額に該当するものと考えられます。
【収録日】
令和 2年12月 2日