TKC会員事務所一覧 TKC会員のご紹介
戻る 前文献
20文献中の14文献目

《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

譲渡所得の意義

【質問】

 譲渡所得とはどのような所得をいうのか。

【回答】

 譲渡所得に対する課税は、資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に、これを清算して課税の対象とするものです。
 そして、この場合の資産には、棚卸資産や金銭債権を除く土地、借地権等の土地の上に存する権利、建物、船舶、航空機、車両、器具、備品などはもちろんのこと取引慣行のある借家権、漁業権、特許権その他の許認可、割当等により発生した事実上の権利などで、経済的価値のあるものがすべて含まれます。

【関連情報】

《法令等》

所得税法9条1項9号
所得税法22条2項
所得税法33条
所得税法59条
所得税法施行令25条
所得税法施行令79条
所得税法施行令80条
所得税法施行令81条
所得税法施行令95条
所得税法施行令169条
所得税基本通達33-1
所得税基本通達33-6の8
所得税基本通達33-15の3

【解説】

1 譲渡所得とは、所得税法上の10種類の所得の一つとされています。
  そして、譲渡所得に対する課税は、資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に、これを清算して課税する趣旨であると解されており(所法33条(1))、その典型的な例が土地や有価証券を売却した場合の値上り益を譲渡所得の対象となります。
  したがいまして、譲渡による所得の実質は、毎年毎年発生した値上り益の総和ということができます。
  そして、譲渡した資産の所有期間に応じ、長期譲渡所得と短期譲渡所得に分け、長期譲渡所得の場合には、値上り益の総和が大きくなるため、これに対する累進税率の適用を緩和するよう、譲渡所得の2分の1に相当する金額に対して課税するという考慮が払われています(所法22条(2)二)。
(注)土地建物等の譲渡所得については、別途、租税特別措置法の規定により分離課税が行われます。
  また、有価証券の譲渡所得については、(1)申告分離課税(措法37条の10、37条の11)、(2)分離短期譲渡所得課税(措法32条(2))、(3)総合課税(所法41条の2)、(4)非課税(措法37条の15)に区分されて課税等が行われます。
2 ここにいう資産の「譲渡」とは、所有権その他の財産権を移転させる一切の行為をいう。したがって、通常の売買のほか、交換、競売、公売、収用、現物出資、代物弁済なども「譲渡」となります。
3 譲渡所得の基因となる資産には、棚卸資産や金銭債権を除き、土地、借地権等の土地の上に存する権利、建物、船舶、航空機、車両、器具、備品等はもちろんのこと取引慣行のある借家権、漁業権、特許権その他の許認可、割当等により発生した事実上の権利などで経済的価値のあるものがすべて含まれます(所基通33-1)。
  なお、令和2年4月からは、民法改正で創設された配偶者居住権及び配偶者敷地利用権(以下「配偶者居住権等」といいます。)も含まれます。
4 資産の譲渡であっても、次に掲げる資産の譲渡による所得は譲渡所得ではありません。
(1)事業所得、不動産所得、山林所得または雑所得を生ずべき業務に係るたな卸資産や少額の減価償却資産(所法33条(2)一、所令81)。
(2)営利を目的として継続的に譲渡される資産(所法33条(2)一)。
(3)山林の伐採または譲渡による所得(所法33条(2)二)。
 (注)山林の伐採または譲渡による所得は、山林所得となる(所法32条)。
(4)金銭債権
5 資産の譲渡による所得であっても、家具、什器、衣服など通常生活に必要な生活用動産(宝石や貴金属または書画骨とうなどで一個または1組の価額が30万円を超えるものは除く。)の譲渡、資力を喪失して債務を弁済することが困難な場合における強制換価手続などによる資産の譲渡および相続財産の物納による譲渡所得は非課税とされている(所法9条(1)九・十、所令25条、措法40条の3)。
6 次のような設定対価等については、譲渡所得に含めることになります。
(1)借地権または地役権の設定によって対価を取得した場合
   建物、構築物、施設または工作物の全部(又は一部)の所有を目的とする地上権、賃借権(これらを「借地権」といい、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の規定による使用認可を受けた事業で上下の範囲を定めたものを含みます。)または地役権(一定のものに限る)の設定によって他人に土地を使用させる行為のうち、その対価として支払を受ける金額が、その土地の価額の50パーセント(区分地上権などの設定にあっては25%、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の規定による地表から大深度までの垂直方向の区間における地下の権利を分割するものと捉え、使用収益の制限される垂直方法の範囲に応じて設定する割合(判定基準))を超える場合の所得(所法33条(1)、所令79条(1)、所基通33-15の3)。
 なお、その借地権等の設定の対価として支払を受ける金額が当該設定により支払を受ける地代の年額の20倍に相当する金額以下である場合には、譲渡所得に該当しないものと推定される(所令79条(3))。
(2)配偶者居住権等の消滅によって対価を受けた場合
   配偶者居住権等は、民法で譲渡することができないと規定されていますが、配偶者居住権者との合意により、その権利を消滅させることが可能と考えられています。
   そして、配偶者居住権者がその配偶者居住権等を合意消滅する対価の支払を受けた場合には、配偶者居住権等(法定債権)の譲渡対価となりますので、総合課税の譲渡所得として課税されることになります(所基通33-6の8)。
(3)契約等により、資産の消滅(または減少)したことに伴い補償金等の支払を受ける場合
   契約(法令により契約に代わる効果が認められる行政処分その他の行為を含みます。)により資産の消滅(または減少)したことに伴い補償金その他これに類するものの額の支払を受ける場合には、その補償金等は、譲渡対価となりますので、資産の権利に応じて譲渡所得として課税されることになります(所令95)。
   なお、配偶者居住権者が公共事業による配偶者居住権等の消滅に係る損失補償として交付を受けた補償金については、資産の買取りの対価(対価補償金)として総合課税の譲渡所得に該当することになります(措法33条(1)三の二、三の三、措通33-22)。
(4)総合課税の対象となる有価証券譲渡益
イ 有価証券先物取引、株式形態によるゴルフ会員権等の譲渡及び発行法人から与えられた新株予約権等をその発行法人への譲渡したことによる所得がこれに当たり、原則譲渡所得とされるが、事業所得又は雑所得とされる場合もあります(措法37条の10(1)・(2)、措令25条の8(2)、所法41条の2)。
(5)贈与等または低額譲渡の場合
   贈与(法人に対してするものに限る。)、相続(限定承認したものに限る。)もしくは遺贈(法人に対するものおよび個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)または著しく低い価額の対価による資産の移転(法人に対するものに限る。)があったときは、その時の時価によって資産の譲渡があったものとみなして譲渡所得が課税されます(所法59条(1))。
   ここにいう「著しく低い価額の対価」とは、その資産の時価の2分の1に満たない金額をいいます(所令169条)。

【収録日】

令和 2年10月19日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
注2: 当Q&Aの内容は、作成時の法令等を基に作成しております。このため、当Q&Aの内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
注3: 当Q&Aの著作権は株式会社TKCに帰属します。当Q&Aのデータを改編、複製、転載、変更、翻訳、再配布することを禁止します。

 TKC会員事務所一覧 TKC会員のご紹介
戻る 前文献 次文献