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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

相続財産管理人が管理不動産を譲渡した場合の課税関係

【質問】

 個人甲は、平成19年12月に死亡したが、相続人がいないため、民法951条の規定により相続財産法人が成立し、同法952条2項の規定により相続財産管理人として個人乙が家庭裁判所により選任された(なお、甲には、特別縁故者もいない。)。
 相続財産管理人乙は、被相続人甲の遺した債務を清算するため、家庭裁判所の許可を得て、甲の遺産であるA土地を第三者に譲渡(以下「本件譲渡」といいます。)した(登記上の登記名義人は「亡甲相続財産」、登記申請人は「亡甲相続財産管理人乙」となっている。)。
 このような場合において、相続財産管理人である個人乙は、本件譲渡による譲渡所得について所得税の申告と納税をする義務を負うのか。

【回答】

 相続財産管理人が行う相続財産の管理、清算事務は、相続財産法人を代表して行うものですから、相続財産管理人が相続財産を譲渡した場合の効果は、相続財産法人に帰属することとなり、相続財産管理人乙には、本件譲渡に係る譲渡所得についての所得税の申告納税を行う義務はないものとされます。
 また、相続財産法人についても、法人税の申告納税義務はないものとして取り扱われています。

【関連情報】

《法令等》

民法951条
民法952条
民法953条

【解説】

1 相続財産管理人は、相続財産法人の事務執行に必要な範囲において、これを代表し、その財産を管理する権限をもち(民法953)、相続財産目録作成義務、相続財産の状況報告、管理計算義務を負っています。
 また、相続財産管理人の有する管理権限は、民法103条に規定する保存行為及び改良行為の範囲内であり、それを超える行為については、家庭裁判所の許可を得なければならないこととされています(民法28)。
 つまり、相続財産管理人の行為は、あくまでも相続財産法人を代表して行うものですから、相続財産管理人乙が被相続人甲の相続財産を譲渡した行為は、乙個人として行ったものではなく、相続財産法人が行ったものというべきです。
 したがって、相続財産管理人乙は、本件譲渡に係る所得税の申告を行う必要はないことになります。
2 相続財産法人は、法人税法上、普通法人として位置づけられるものですが、次のような理由により法人税の申告義務はないのでないかと考えられています。
(1)相続財産法人は、相続財産が無主物となることを避けるため、法技術上法人とされたに過ぎないこと。
(2)相続財産法人が相続財産を特別縁故者に分与し、法人税を納付しないで消滅した場合に相続財産管理人又は特別縁故者に法人税の納付に関し、連帯納付義務などの法律上の義務が負わされていないこと。
(3)相続財産法人に法人税の納税義務を課すことについて、現行法は予定していないものと考えられること。
 なお、被相続人自体が生前に譲渡所得を有していながら、申告納税しないで死亡したような場合において、相続人が不存在の場合には、上記のとおり、相続財産は相続財産法人となりますが、その相続財産法人の申告手続については、所得税法上も何ら規定していません。
 それについては、相続財産法人は、国税通則法5条の規定により被相続人の納税義務を承継するものとされていますから、所得税法125条の規定を相続財産法人に対して類推適用することが合理的であると考えられています。
 しかし、本件では被相続人が譲渡したのではなく、相続財産管理人が譲渡したのですから、相続財産法人又は相続財産管理人のいずれに対しても本件譲渡に係る法人税又は所得税の申告納税義務は課されないことになると考えられています。

【収録日】

平成25年 6月20日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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