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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

事前確定届出給与について、届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合の取扱い

【質問】

 当社(年1回3月決算)は、6月25日に開催された定時株主総会において、役員給与のうち夏(6月)と冬(12月)年2回の役員賞与支給分については、事前確定届出給与として届出期限までに所轄税務署長へ届け出ております。
 この定めに従い、当期(12月25日支給)は、届け出どおり支給しましたが、来期(6月25日支給)については、業績が予想より悪化していることから6月の役員賞与については事前確定届出給与として税務署長に届け出た支給額よりも少なく支給する予定です。
 このような場合、法人税法上の取扱いはどのようになるのでしょうか。

【回答】

 その役員の職務につき、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与(所定の事項を記載した書類を所轄税務署長に届出している給与:事前確定届出給与)については、各事業年度の所得の計算上、損金の額に算入することができることとされています(法法34(1)二、法令69(2)、法規22の3(1))。
 この場合、事前確定届出給与としてその事業年度の損金の額に算入される給与とは、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給するもの、すなわち、支給時期、支給金額が事前に確定しており、実際にもその定め(届け出た支給額)のとおり支給される給与に限られていると解されています。
 したがって、原則として、所轄税務署長に届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合には、支給額が事前に確定していたものとはいえないことから、事前確定届出給与に該当しないこととされています。
 御質問の事例のように、決算期をまたがって2回以上の支給がある場合にその定めのとおり支給されたかどうかの判定については、一般的に、役員給与は定時株主総会から次の定時株主総会までの間の職務執行の対価であると解されていることから、その支給が複数回にわたる場合であっても、定めどおり支給されたかどうかはその職務執行の期間を一つの単位として判定すべきであると解されています。
 したがって、複数回の支給がある場合には、原則として、その職務執行期間に係るその事業年度及び翌事業年度における支給について、その全ての支給が定めどおりに行われたかどうかにより、事前確定届出給与に該当するかどうかを判定するものとされています。
 例えば、3月決算法人が、12月支給分については定めどおり支給しないで、翌期の6月支給分については定めどおり満額支給したような場合には、その職務執行期間に係る支給の全てが定めどおり行われたとはいえないため、その支給額の全額が事前確定届出給与に該当せず、損金不算入になると解されています。
 ただし、御質問の事例のように、3月決算法人がその事業年度中(12月支給分)は定めどおり支給したものの、翌事業年度(6月支給分)は定めどおり支給しなかった場合については、その支給しなかったことにより直前の事業年度(当期)の課税所得に影響を与えるものでないことから、翌事業年度(6月支給分)に支給した給与の額のみについて損金不算入と取り扱っても差し支えないものと解されています。

【関連情報】

《法令等》

法人税法34条1項2号
法人税法施行令69条2項
法人税法施行規則22条の3第1項

【収録日】

平成19年 3月 1日


 
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