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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

賃貸用マンションの修繕積立金と譲渡費用

【質問】

 賃貸用マンションを譲渡するに当たり、資産勘定として将来の修繕のために積み立てられていた修繕積立金については、買主の将来の修繕費用に充当されることから、譲渡費用となるか。

【回答】

 修繕積立金は、譲渡のために直接要した費用でも、マンションの譲渡価額を増加させるためその譲渡に際して支出した費用でもないことから、譲渡費用には該当しません。

【関連情報】

《法令等》

所得税法33条
所得税法37条
所得税基本通達33-7
所得税基本通達37-2
国税庁質疑応答事例「賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い」(所得税)

【解説】

1 譲渡費用とは、資産の譲渡に際して支出した仲介手数料等で、その譲渡のために直接要した費用のほか、土地を譲渡するためその土地の上にある建物等の取壊しに要した費用、既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で他に譲渡するためその契約を解除したことに伴い支出する違約金その他その資産の譲渡価額を増加させるためその譲渡に際して支出した費用が含まれるものとされています(所基通33-7)。
2 ところで、修繕積立金は、マンションの共用部分について行う将来の大規模修繕等の費用の額に充てられるために長期間にわたって計画的に積み立てられるものですが、区分所有者となった時点で、管理組合へ義務的に納付しなければならないものであるとともに、管理規約において、納入した修繕積立金は、管理組合が解散しない限り区分所有者へ返還しないこととされているのが一般的です(マンション標準管理規約(単棟型)(国土交通省)第60条第5項)。
  したがいまして、賃貸用マンションに係る修繕積立金については、管理費と同様に、不動産所得計算上の必要経費に該当するものと考えられますが、実際に修繕等が行われるまでは具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していないことから、管理組合への支払期日の属する年分の必要経費には算入されず(所得税基本通達37-2)、前払金等の資産勘定として経理されることとなります。そして、実際に修繕等が行われ、その費用の額に充てられた部分の金額について、その修繕等が完了した日の属する年分の必要経費に算入されることとなります。
  なお、修繕積立金の支払がマンション標準管理規約に沿った適正な管理規約に従い、〔1〕区分所有者となった者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うことになること、〔2〕管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと、〔3〕修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと、〔4〕修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていることのいずれの条件をも満たす場合には、当該修繕積立金をその支払期日の属する年分の必要経費に算入しても差し支えないものとされています。
3 そうしますと、ご質問の修繕積立金勘定については、譲渡契約の成立など譲渡のために直接要した費用には該当しないと思われますし、その多寡がマンションの譲渡価額を増加させる影響を与えることがあるとしても、既に管理組合に支払済みのものですから、譲渡に際して支出した費用にも該当しないものと考えられます。
  そして、本件の修繕積立金は、本来的には不動産所得の損益に係るものであることからすると、譲渡した年分の売主の不動産所得の計算上、一括償却するのが相当であるように思われます。
  したがいまして、本件修繕積立金について譲渡費用として控除することはできないように考えられます。

【収録日】

平成28年10月31日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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