《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
使用貸借の建物の譲渡
【質問】
免税事業者である個人事業者Aは飲食店を経営しています。Aは相続により店舗用建物を取得し土産品を販売している同族会社に有償で貸し付けていましたが、平成21年に同族会社が店舗を閉めたことから、それ以後は親族に無償で貸し付けています。 令和5年になって、この建物を500万円で売却しましたが、この建物の売却代金は、飲食店売上げに加算して課税事業者になるかどうか判定する(基準期間における課税売上高に含める。)ことになるのでしょうか。
【回答】
飲食店を営んでいる個人事業者Aは、相続により取得した店舗用建物を土産品を販売している同族会社に有償で貸し付けていた(賃貸借)ということですから、その取得原因が相続であったとしても、貸付けの時点では事業用資産に該当します。 個人事業者が事業の用に供していた資産を、その後無償で貸し付ける(使用貸借)ことにした場合、その時点で当該建物は事業用資産ではなくなった、すなわち、Aが家事のために使用することとして転用したといえます。 その場合、消費税法上は、みなし譲渡の規定の対象になります(消法4〔5〕一)が、家事転用した課税期間が免税事業者であったのであれば、課税は発生しないことになります(消法9〔1〕、45〔1〕)。 また、平成21年の課税売上高がみなし譲渡による譲渡対価の額(その建物の時価)を加算することで、平成23年が課税事業者であったとしても、徴収権の消滅時効にかかっています(通則法72)から、課税庁から是正されることもないと思います。 今般、平成21年に家事転用していた当該建物を譲渡したとしても、それは家事用資産の譲渡ですから、消費税の課税の対象にはならないものと考えます(消法2〔1〕八、4〔1〕)。
【関連情報】
《法令等》
【収録日】
令和 6年 1月15日