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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

支払時から1年を若干超える場合の短期前払費用の取扱い

【質問】

 3月決算のA社は、諸経費の支払日が22日であるため、他の諸経費の支払と合わせて、4月1日から翌年3月31日分までの地代(以下「本件地代」といいます。)を3月22日に前払で支払いました。支払った日から1年以内の役務提供に係る費用が対象である短期前払費用の取扱い(法基通2-2-14)に照らしますと、本件地代は支払った日から1年を若干(10日間)超えてしまっています。
 この場合、本件地代について、短期前払費用の取扱いの対象として、支払った日に全額損金算入することができるでしょうか。

【回答】

1 短期前払費用の取扱いについては、会計学上の費用の計上は期間計算に従って行うべき(原則)ところ、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続して(会計処理の継続性)その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときはこれを認める(例外)(法基通2-2-14。以下「本件通達」といいます。)とされています。
  これは、短期の前払費用について、あくまで課税上弊害が生じない範囲内で費用計上の要件を緩和し、支払ベースでの一括損金計上を認めるものです。
2 役務の受入れの開始前にその対価の支払が行われていても、支払時から1年を超える期間を対象期間とするようなものは、原則として本件通達の適用はできません。
  しかし、国税庁の質疑応答事例「短期前払費用の取扱いについて」(国税庁HP>税について調べる>質疑応答事例>法人税目次一覧。以下「本件質疑応答事例」といいます。)によれば、「支払時から1年を超える期間」となるかどうかの判断には若干の幅があるようです。
  例えば、「期間10年の建物賃借に係る賃料について、毎年、家賃年額(4月から翌年3月)1,000,000円を2月に前払により支払う」場合(事例5)では、本件通達の適用は認められないとされる一方、「期間4年のシステム装置のリース料について、12ケ月分(4月から翌年3月)379,425円を3月下旬に支払う」場合(事例4)は、本件通達を適用しても差し支えないと回答しています。つまり、支払時から1年間の役務提供期間が開始するまでの期間が、2ヶ月(2月から4月)の事例5では本件通達の適用はなく、同期間が、月の下旬から月末までの事例4では本件通達が適用できると解されています。
  本件質疑応答事例では、事例4のように判断した理由と思われる記載として、「役務の受入れの開始前にその対価の支払が行われ、その支払時から1年を超える期間を対価支払の対象期間とするようなもの」については、「何らかの歯止めを置いた上で」という条件を付しつつも、結論としては「本通達の適用を認めることが相当と考えられます。」と判断しています。この場合、「何らかの歯止め」が何かということですが、事例4の場合で言えば、まず「3月下旬」は「3月末日」と時期的に大差がないと言えますし、また、「翌月分の費用を前月下旬に支払う」のがその法人の常況だとしますと、短期前払費用の取扱いの対象費用もその同じ時期に支払うのは、その法人の費用の支払方法として極めて一般的と考えられます。したがって、このような場合であれば短期前払費用の取扱いを認めるが、それ以外の場合は原則として認めないというのが、ここでいう「何らかの歯止め」であると考えられます。そして、そのような「何らかの歯止め」を踏まえた費用であれば、継続適用を前提に短期前払費用の取扱いを認めたとしても、課税上弊害がないと判断できることになります。
  したがって、本件地代についても、A社は諸経費の支払日が22日で、これは「月の下旬」と言えますし、本件地代を他の諸経費の支払と合わせて3月22日に前払で支払ったことはA社の費用の支払方法として極めて一般的ですから、そのような場合は、継続適用することを前提に、本件地代について本件通達が適用でき、支払日(3月22日)において翌4月から翌年3月分までの全額を損金の額に算入することができると考えます。

【関連情報】

《法令等》

法人税基本通達2-2-14
国税庁質疑応答事例(法人税)「短期前払費用の取扱いについて」

【収録日】

平成30年 5月14日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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