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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

役員の持ち家をその役員の社宅として借り上げることの妥当性

【質問】

 A社は、代表者B氏が所有し、現に居住している住宅(木造2階建。床面積 160平方メートル)を役員社宅として借り上げ、B氏に貸し付けることを考えていますが、税務上、問題とされることはないでしょうか。
 なお、借上料の額については、近隣の同規模同程度の住宅家賃の相場を勘案して20万円とし、B氏から徴する社宅家賃は、役員社宅に係る通常の賃貸料の取扱い(所基通36-40)により計算した結果に基づいて、借上料の50パーセントに相当する10万円とする予定です。

【回答】

1 社宅等、法人が所有する資産の貸与により役員が受ける経済的利益の額は、その資産の利用につき通常支払うべき賃貸料の額とされています(所令84の2)から、その通常支払うべき賃貸料相当額を、その役員が法人に対して支払う場合には、原則として給与課税等は行われないことになります。
  役員社宅の「通常支払うべき賃貸料の額」については、所得税基本通達36-40において、使用者がその役員に対して貸与した社宅に係る通常の賃貸料の月額として、家屋及び敷地の固定資産税の課税標準額を算定要素とした一定の算式により計算した金額とする旨の取扱いが示されていますが、借上げ社宅の場合には、借上料の月額の50パーセントに相当する金額が当該算式により計算した金額を超えるものについては、その50パーセントに相当する金額とすることとされています。
  お尋ねのケースのA社は、上記の役員社宅の通常の賃貸料に係る取扱いにおける「通常支払うべき賃貸料の額」の取扱いの適用を意図して、代表者B氏の自宅を借り上げ、借上料の50パーセントに相当する額を社宅家賃として徴収することを予定しているものと考えられます。
2 しかしながら、一般に「社宅」とは、使用者から役員又は使用人(以下「役員等」といいます。)に対して、役員等の福利厚生のため、あるいは使用者の事業上の必要性に基づき提供される住宅であることから、基本的には、入居する役員等において、自ら入居する住宅を探して社宅として使用者に借り上げさせることや、入居者において社宅を選択する権利等は認められていないものと解されます。
  まして、既に住居を有しており、社宅入居の必要性が認められない役員等についてまで、その住居を使用者において役員社宅として借り上げた上で、その役員等本人に貸し付けるという取引は、上記の社宅の制度の趣旨からして著しく妥当性を欠くものと認められます。
  そして、そのような借上げに係る賃貸借契約は、実質を伴わないまったくの形式的なものといわざるを得ず、実質的には借上料と社宅家賃との差額相当額の住宅手当を支給したことと変わりがありませんから、その差額相当額についてはその役員等に対する給与等と認定され、源泉所得税の課税が行われるべきところと考えられます。
3 以上により、A社がB氏に支払う借上料月額20万円とB氏から徴する社宅家賃10万円との差額10万円は、B氏に支給する住宅手当、すなわち課税すべき給与と認定され、その結果として、過大役員給与(法法34条〔2〕)と認定される場合には損金不算入とされる金額が生じ、法人税の課税にも影響することになります。
  したがいまして、B氏の自宅を社宅として借り上げることについては、税務上容認されることはないものと考えます。

【関連情報】

《法令等》

法人税法34条2項
所得税法施行令84条の2
所得税基本通達36-40

【収録日】

平成27年 2月28日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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