《税務Q&A》
情報提供 TKC税務研究所
【件名】
不動産所得の必要経費の範囲
【質問】
不動産所得の金額を計算する場合には、収入金額(賃貸料など)から必要経費を控除するということであるが、その概要について説明してほしい。
【回答】
不動産所得の金額は、その年中の不動産所得の総収入金額から必要経費を控除して計算するが、この不動産所得の必要経費は、その年における不動産所得の総収入金額を得るために直接要した費用の額とその年における一般管理費その他不動産所得を生ずる業務について生じた費用の額である。 不動産所得の必要経費になる一般的な費用としては、貸付不動産について支払う固定資産税・修繕費・損害保険料などや、貸付不動産の減価償却費・貸付不動産を取得するために要した借入金の利子、アパートの管理人などに支払う給料、アパートの入居者募集の広告費用などがある。
【関連情報】
《法令等》
【解説】
1 不動産所得の金額は、その年中の総収入金額から必要経費を控除して計算することになつている(所法26条2項)。 不動産所得の必要経費になるのは、具体的には賃貸している物件などに対応するもので、その主なものを列挙すると次のようになる。(1) 賃貸物件を自分が所有している場合 公租公課、損害保険料(火災保険料)、修繕費、減価償却費、繰延資産の償却費、借入金利子、使用人の給料、賃貸物件の取壊し、除却、滅失などの損失(2) 賃借物件を転貸している場合 地代家賃や借料、使用人の給料2 なお、不動産所得の計算上特に注意しなければならない事項は次のとおりである。(1) サービス付き高齢者向け賃貸住宅及び特定都市再生建物等については、一定の要件に該当する場合には割増償却が認められる(措法14条1項、14条の2)。(2) 事業専従者控除や青色事業専従者給与の必要経費算入はその建物の貸付けが事業的規模で営まれていることを要する。(3) 建物の賃借人を立ち退かせるために支払う立退料は不動産所得の必要経費になる(譲渡に際して支払うものは譲渡所得の計算上の「譲渡費用」となる。)(4) 不動産などの取壊し、除却、滅失などによる損失は次のように取り扱われる(所法51条1項、4項)。イ これらの資産の貸付けを事業として営んでいる場合には、その全額を必要経費に算入できる。ロ 上記イ以外の場合は、不動産所得の金額を限度として必要経費に算入することができる。
【収録日】
平成29年 4月27日