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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

市所有の設備に対して支出した修繕費等について

【質問】

 これまでB市が運営していたB市駅前地下駐車場については、今年度から、A社がB市から地下駐車場施設を借り受けて、管理運営を行うことになりました。
 具体的には、A社とB市が締結する市有財産貸付契約書に基づいて、A社は、毎年定額の施設使用料をB市に支払うとともに、老朽化した駐車場の設備機器について稼働に必要な機器の交換及び修繕を行う一方で、駐車場運営による収益は、すべてA社に帰属するというものです。
 また、契約期間は10年とされており、契約期間終了後に更新継続できるかについては契約書上、明記されていませんが、駐車場の設備機器の所有権はB市にあるため、契約終了後はそのままの状態にして退去することとされています。
 以上の契約関係に基づいて、A社は、この程、駐車場の設備機器の交換及び修繕を完了し、駐車場の賃貸を開始しました。
 ところで、この駐車場の設備機器の交換及び修繕に要した費用(以下、「本件設備関連費用」といいます。)は、約1億円に上りましたが、本件設備関連費用については、他人の建物に対する造作に係る取扱い(耐通1-1-3)に準じて、A社の減価償却資産として取り扱うべきでしょうか。
 また、もし、契約終了時において駐車場の設備機器をB市に無償返還する場合には、その返還時の時価相当額をB市に対する寄付として処理をすることになるのでしょうか。
 参考までに、償却資産税については、B市から「市所有の設備に対する修繕のため、課税しない」旨の回答を得ています。

【回答】

1 お示しの耐用年数取扱通達1-1-3においては、法人が建物を貸借し自己の用に供するため造作した場合の造作に要した金額は、当該造作が、建物についてされたときは、当該建物の耐用年数、その造作の種類、用途、使用材質等を勘案して、合理的に見積った耐用年数により、建物附属設備についてされたときは、建物附属設備の耐用年数により償却することとされており、その場合、当該建物について賃借期間の定めがあるもの(賃借期間の更新のできないものに限る。)で、かつ、有益費の請求又は買取請求をすることができないものについては、当該賃借期間を耐用年数として償却することができることとされています。
  また、耐用年数取扱通達1-1-4においては、法人が使用する上記の建物又は建物附属設備以外の他人の減価償却資産につき支出した資本的支出の金額は、その減価償却資産の耐用年数により償却することとされています。
  しかしながら、これらの取扱いは、造作や資本的支出部分が、それらが施された資産の所有者以外の賃借人等の所有に帰する場合の取扱いと解するのが相当であり、お尋ねのケースにおける本件設備関連費用のように、他人の所有物である駐車場設備に対してなされた資本的支出部分も含めて当該他人の所有物とされる費用についても適用があると解することはできないものと考えられます。
2 ところで、繰延資産とされる「自己が便益を受ける公共的施設の設置又は改良のために支出する費用」(法令14〔1〕六イ)には、法人が自己の必要に基づいて行う道路、堤防、護岸、その他の施設又は工作物等の公共的施設の設置又は改良のために要する費用(自己の利用する公共的施設につきその設置等を国又は地方公共団体が行う場合におけるその設置等に要する費用の一部の負担金を含みます。)又は法人が自己の有する道路その他の施設又は工作物を国等に提供した場合における当該施設又は工作物の価額に相当する金額が含まれることとされています(法基通8-1-3)。 
  そして、その場合の償却期間については、その施設又は工作物等がその負担した者に専ら使用されるものである場合には、その施設又は工作物等の耐用年数の10分の7に相当する年数とされています(法基通8-2-3)。
3 お尋ねの本件設備関連費用は、B市が所有する地下駐車場施設における駐車場設備についてA社が支出したものであり、その支出による交換及び修繕部分を含めてB市の所有物とされ、A社は、その改良後の設備を借り受けて駐車場収入を稼得するものと認められます。
  そうすると、本件設備関連費用は、A社が自己の必要に基づいて行う公共的施設の設置又は改良のために要する費用と認められますから、上記2の「自己が便益を受ける公共的施設の設置又は改良のために支出する費用」に該当し、繰延資産として取り扱うのが相当であり、その償却期間は、本件設備交換等費用が支出された駐車場機械設備の耐用年数とされる10年(別表第二の「55機械式駐車場設備」)の10分の7に相当する7年とすべきところと考えられます。
  なお、上記のとおり、駐車場設備についてA社の所有に帰する部分は存在しませんから、契約終了に際して駐車場設備をそのままの状態にして退去した場合でも、寄付金とされる金額は生じないことになります。

【関連情報】

《法令等》

法人税法施行令14条
法人税基本通達8-1-3
法人税基本通達8-1-3

【収録日】

平成29年 5月31日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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