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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

債務確定と損害賠償金の損金算入時期について

【質問】

 9月決算のA社には、従業員Bがいましたが、平成26年4月に入社して以来、同僚で現在も在職中の従業員Cから暴力行為を受け続けていたようで、やがて出社してこなくなり、結局平成28年3月に退職しました。A社としては、従業員Bに対して数ヶ月は給与を支給していましたが、就業の事実がありませんので、平成27年4月からは休職扱いにして給与を支給していませんでした。そうしたところ、平成28年4月に、退職した従業員BがA社に対して訴訟(以下「本件訴訟」といいます。)を提起し、総額600万円の暴力行為に係る損害賠償金を請求してきました。
 本件訴訟については、平成29年7月12日に400万円部分につき請求を認める旨の第一審判決があったため、A社は、従業員Bの弁護士にこれを供託金として支払った上で双方控訴となりましたが、控訴審の中で和解の話が進められ、10月2日になってA社は従業員Bに対し本件解決金500万円(以下「本件解決金」といいます。内400万円は支払済み。)の支払義務があることを認める旨の裁判上の和解(以下「本件和解」といいます。)が成立しました。
 そうすると、本件解決金については、平成28年10月1日~平成29年9月30日事業年度(以下「本件事業年度」といいます。)において、400万円を供託金として支払い、残り100万円は未払金として計上する予定ですが、総額500万円を全額損金の額に算入できますでしょうか。

【回答】

1 法人税法上「債務が確定しているもの」とは、別に定めるものを除き、〔1〕当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること、〔2〕当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること、〔3〕当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること、の3つの要件の全てに該当するものとされています(法基通2-2-12)。
  ただし、法人が、その業務の遂行に関連して他の者に与えた損害につき賠償をする場合において、当該事業年度終了の日までにその賠償すべき額が確定していないときであっても、同日までにその額として相手方に申し出た金額(相手方に対する申出に代えて第三者に寄託した額を含む。)に相当する金額(保険金等により補てんされることが明らかな部分の金額を除く。)を当該事業年度の未払金に計上したときは、これを認めることとされています(法基通2-2-13)。
2 本件解決金は、本件和解によって本件解決金という新たな債務が発生したものと考えられます。
  この点、本件解決金の税務上の取扱いについては、原則として、事業年度の末日までに「債務が確定しているもの」(法基通2-2-12)が損金の額に算入されることとなりますが、上記1のとおり、法人がその業務の遂行に関連して他の者に与えた損害につき賠償をする場合においては別の取扱いがあり、当該事業年度終了の日までにその賠償すべき額が確定していないときであっても、同日までに「その額として相手方に申し出た金額」(相手方に対する申出に代えて「第三者に寄託した額」を含む。)に相当する金額(保険金等により補てんされることが明らかな部分の金額を除く。)を当該事業年度の未払金に計上したときは、これを認めることとされています(法基通2-2-13)。
  本件解決金は、本件訴訟の控訴審における和解に基づくものであり、和解の成立は平成29年10月2日で本件事業年度の翌期ですから、確定債務にはなりませんが、控訴審の中で和解の話が進められていたようです。
  したがって、本件解決金のうち供託金400万円は従業員Bの弁護士という「第三者」に本件事業年度中に寄託(支払)されていますから、損金の額に算入できることになります。また、残金100万円については本件事業年度中に確定しているとはいえませんが、控訴審の中で和解の話が進められて事実上金額についての申し出があり、これを未払金として計上するのであれば、「当該事業年度終了の日までに賠償すべき額として相手方に申し出た金額に相当する金額」として、やはり損金に算入できることになると考えます。

【関連情報】

《法令等》

法人税基本通達2-2-12
法人税基本通達2-2-13

【収録日】

平成29年12月29日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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