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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

更地を賃貸し賃借人が構築物を設置した場合の「貸付事業用宅地等」の判定

【質問】

 被相続人甲は、更地の状態で所有していた駅前の土地(以下「本件土地」といいます。)をコインパーキング運営会社A社との間で、土地に係る賃貸借契約を締結し、甲は毎月賃料を同社から受け取ることとした。
 この土地賃貸借契約の基本契約期間は、契約締結日から3年間であり、その後は、双方いずれからも更新できない旨の通知がなければ、原則として1年単位で自動更新されるものとされ、契約上での本件土地の使用目的は、A社の時間貸駐車場の経営であり、コインパーキング機器等の設置をすることとされている。
 貸駐車場の現況としては、全面にアスファルト舗装が施されていて各駐車スペースごとに区画がペイント表示され、コインパーキング設備として駐車中の車の盗難防止用として必要な配線等が埋め込み方式で敷設され、敷地内の一角には駐車料金精算設備も設置されているが、このコインパーキング設備の設置及び舗装工事等は、全て賃借人であるA社の費用負担として施工したものであり、甲は工事関係費用を含め何らの負担もしておらず、ただ毎月の賃料を口座振込みで収受しているのみである。
 このように構築物の建設・設置を賃借人の負担として実施している場合で、甲がA社に対して賃貸していた本件土地を甲と生計を別にしていた親族乙が相続で取得し、甲の貸付事業を承継することとなったが、この場合、このコインパーキング設備の設置されている土地について、「貸付事業用宅地等」として「小規模宅地等の特例」の対象とすることができるか。
【相続開始の直前の状況】、【相続開始後(申告期限)での状況】については、【図表】をご参照ください。

【回答】

  ご質問の事例では、被相続人甲が更地状態のままの宅地を賃貸していたものですが、甲に係る相続の開始までに、賃借人A社において、その借地上に構築物を建築した場合にあっては、その構築物の建築を被相続人が行っていない場合であったとしても、結果として、本件宅地は相続開始の直前において構築物の敷地の用に供されている現況にあることから、「貸付事業用宅地等」に該当するものと判定されることになりますので、「小規模宅地等の特例」の対象となります。

【関連情報】

《法令等》

租税特別措置法69条の4第1項
租税特別措置法69条の4第3項4号
措置法通達69の4-4(1)
措置法通達69の4-4(2)
措置法通達69の4-13

【解説】

 「貸付事業用宅地等」とは、被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等で、その親族が、相続の開始時から申告期限までの間に、その宅地等に係る被相続人の貸付事業を引き継いで、申告期限まで引き続きその宅地等を有していて、かつ、その貸付事業の用に供している場合には、「貸付事業用宅地等」に該当しますので、「小規模宅地等の特例」の対象とすることができます。
 「小規模宅地等の特例」の適用の対象とするためには、相続の開始の直前において、被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等で、建物又は構築物の敷地の用に供されていることが必要であるとされています。
 この場合、「貸付事業用宅地等」については、「特定居住用宅地等」や「特定事業用宅地等」のように建物又は構築物の所有者に関しては、被相続人又は被相続人の親族であるなどの要件は付されていませんので、土地を更地の状態で第三者に貸し付けていたとしても、所有者甲が第三者に有償で賃貸している事実が存在していることが確認できる場合に該当しています。
 また、賃借人であるその事業者が施したコインパーキング設備及び敷地全体のアスファルト舗装工事等は、構築物に該当するものとして判定され、賃借人A社が費用を全て負担しており、土地の所有者である甲は、コインパーキング設備の設置等に係る費用等を負担していないとしても、相続の開始の直前において、建物又は構築物の敷地の用に供されている現況にあることから、「貸付事業用宅地等」として「小規模宅地等の特例」の対象とすることができます。
 この場合の所有者甲が第三者に有償で賃貸しているという条件としての「有償」とは、賃料を受け取っている場合であり、かつ、その賃料の金額については、相当の対価と認められる金員を授受し、継続的に賃貸している状態にあることをいうものとされています。
 なお、この事例の場合において、相続等で取得した親族乙については、被相続人と生計を一にしていた親族に限るというような要件は付されていませんので、親族乙が相続税の申告期限まで取得した宅地等を保有し、貸付事業を継続しているとしますと、「貸付事業用宅地等」に該当しますので、「小規模宅地等の特例」の対象とすることができます。

【収録日】

平成28年 7月29日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
注2: 当Q&Aの内容は、作成時の法令等を基に作成しております。このため、当Q&Aの内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
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