TKC会員事務所一覧 TKC会員のご紹介
戻る 前文献
20文献中の10文献目

《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

国庫補助金の収益確定の時期(「交付決定通知」と「補助金の額の確定通知」)

【質問】

 A社(9月決算法人)は、平成26年度地域工場・中小企業等省エネルギー設備導入促進事業(A類型)補助金を受けて、工場内の照明のLED照明への取替工事(以下、「本件LED工事」といいます。)を行うことになり、交付申請をしたところ、交付手続を行う一般社団法人Kから、平成27年5月に、補助金(以下、「本件補助金」といいます。)等の額を次のとおりとする旨の交付決定通知書の送付を受けました。
   補助事業に要する経費 2,000万円(工事費込み)
   補助対象経費     1,500万円(設備購入費)
   補助率            1/2
   補助金の額        750万円
 本件LED工事は、平成27年9月中旬までに完了し、さっそく事業の用に供しましたが、業者からは、当初の見積りのとおり工事費を含めて2,000万円の納品書及び請求書を受領したため、近々支払う予定です。
 ところで、A社においては、本件LED工事について国庫補助金で取得した固定資産等の圧縮記帳(法法42)を適用したいと考えています。
 しかしながら、本件補助金は、工事完了後に提出した実績報告書の審査及び現地調査の後、申請書類の条件に適合すると認められた後に交付されるため、入金は翌期となる見込みであることから、本件補助金の収益計上と圧縮記帳をいつ行うのか判断に困っています。
 平成27年5月に送付を受けた交付決定通知書をもって本件補助金の収益が確定したものとして当期において未収計上の上、本件LED工事の取得価額について圧縮記帳を行うべきでしょうか。
 それとも、本件補助金は入金する翌期に収益が確定することになるのでしょうか。その場合資産の取得(当期)と補助金の収益計上(翌期)が異なる事業年度となることから圧縮記帳の適用はできなくなるのでしょうか。

【回答】

1 補助金の収益計上時期について
  本件補助金に係る交付規程等によれば、本件補助金は、経済産業省が所管し、一般社団法人Kが交付手続を行う国庫補助金と認められますが、本件補助金については、補助事業に係る実績報告書の審査等をクリアした後において通知される「補助金の額の確定」を待って収益計上すべきものであり、お示しの交付決定通知書によって収益が確定するものではないことから、当期における未収計上は時期尚早と考えられます。
  すなわち、本件補助金の交付規程の各条項によれば、おおむね次の事実が認められます。
(1)本件補助金の交付を申請する者から交付申請書の提出(8条)があった場合には、一般社団法人Kはその内容を審査し、補助金を交付すべきものと認めたときは、交付決定通知書を申請者(補助事業者)に送付すること(9条)。
(2)補助事業者は、補助事業の完了後30日以内に、一般社団法人Kに実績報告書を提出し(17条)、一般社団法人Kは、その実績報告を受理したときは、報告書等の書類審査及び必要に応じて現地調査等を行い、その報告に係る補助事業の成果が補助金の交付の決定の内容及びこれに付した条件に適合すると認めたときは、交付すべき補助金の額を確定して補助事業者に通知する(19条)とともに、補助金を支払うこと(20条)。
  上記の交付規程の内容によれば、本件補助金の「交付決定通知書」は、補助金の交付を確定させるものではなく、補助対象事業を行うことを条件として交付を約するいわば停止条件付きの支払の予告にすぎないものと認められます。
  したがいまして、本件補助金については、交付決定通知の時点での未収計上は要せず、補助対象事業に係る実績報告に対する審査等を踏まえた補助金の確定の通知がなされた時に初めて交付が確定するものとして収益計上すべきものと認められます。
  なお、この「補助金の確定の通知」は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第15条《補助金等の額の確定等》の規定に基づくものと認められますが、その通知を受けた場合には、その補助金の額の収益が確定するのみならず、返還を要しないことが確定した国庫補助金等に該当するものとして取り扱われます(法基通10-2-1(注))から、そのタイミングで圧縮記帳を行うことが可能となります。
2 対象資産の取得後の事業年度において補助金が交付された場合の圧縮記帳について
  国庫補助金の圧縮記帳の規定(法法42)は、原則として補助金の交付と対象資産の取得が同一事業年度において行われた場合に適用がありますが、補助金の交付が対象資産の取得年度後の事業年度となる場合においても、その交付を受けた事業年度において圧縮記帳を適用することができます。
  お尋ねのA社においても、上記1のとおり、補助対象経費たる設備等の取得に係る実績報告の審査を経て通知される「補助金の額の確定」を待って収益計上すべきものと考えられますから、その通知が、対象設備等を取得した当期(平成27年9月期)中に行われず、翌期に通知される場合には、翌期において圧縮記帳を行うべきことになります。
  その場合の圧縮限度額については、次の算式により算定されることになります(法令82、法基通10-2-2)。

  国庫補助金等の交付を受け     交付を受けた国庫補助金等の額
  た時におけるその固定資産 × ―――――――――――――――――
  の帳簿価額(未償却残高)    その固定資産の取得等に要した金額

【関連情報】

《法令等》

法人税法42条
法人税法施行令82条
法人税基本通達10-2-1
法人税基本通達10-2-2

【収録日】

平成27年11月30日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
注2: 当Q&Aの内容は、作成時の法令等を基に作成しております。このため、当Q&Aの内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
注3: 当Q&Aの著作権は株式会社TKCに帰属します。当Q&Aのデータを改編、複製、転載、変更、翻訳、再配布することを禁止します。

 TKC会員事務所一覧 TKC会員のご紹介
戻る 前文献 次文献