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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

役員の分掌変更等の場合の役員退職金の「支給」について

【質問】

 A社の代表者甲は、これまで従業員であった息子乙に代表権を譲り、非常勤役員の会長として会社に留まることとしました。甲は、乙に代表権を譲った後はA社の経営に深く関与する意思はないと明言しています。A社としては、甲の役員給与がこれまでの半分未満になるので、分掌変更に伴う役員退職金(3,000万円)を支給するつもりですが、A社にはそのための資金が足りません。
 A社は、甲に対して2,000万円の貸付債権があるのですが、役員退職金 3,000万円の支給に当たり、甲の同意を得ることを前提にこの貸付債権と相殺する形で差額1,000万円を現金で支給した場合、この相殺部分2,000万円についても役員退職金を「支給」したものとして損金の額に算入することができるのでしょうか。

【回答】

1 法人税法上、法人が役員の分掌変更又は改選による再任等に際しその役員に対し「退職給与として支給した給与」については、その支給が、例えば次に掲げるような事実があったことによるものであるなど、その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には、これを退職給与として取り扱うことができるとされ、〔1〕常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)になったこと、〔2〕取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及びその法人の株主等で令第71条第1項第5号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる要件の全てを満たしている者を除く。)になったこと、〔3〕分掌変更等の後におけるその役員(その分掌変更等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)の給与が激減(おおむね50パーセント以上の減少)したことの3つが例示列挙されています。(法基通9-2-32)
  ただし、上記の役員の分掌変更等の場合の「退職給与として支給した給与」には、原則として、法人が未払金等に計上した場合の当該未払金等の額は含まれないこととされています(法基通9-2-32注書き)。
2 法人税基本通達9-2-32の注書きに「『退職給与として支給した給与』には、原則として、法人が未払金等に計上した場合の当該未払金等の額は含まれない」とされていますから、問題は、相殺が「未払金等」ではなく「支給」に該当するかどうかということになります。
  相殺とは、相手に対して同種の債権をもっている場合に、双方の債権を対当額だけ消滅させることと解されています。相殺によって、双方の債務は相殺適状の時点に遡及して消滅することになります(民法506〔2〕)。
  A社は甲に対して2,000万円の貸付債権を有し、甲はA社に対して2,000万円の役員退職金の未収債権を有しているときに、甲の同意を得てこれを「相殺」することで双方の債権を対当額だけ消滅させることができます。そうすると、「相殺」も「支払」の一種であると考えられることになります。
  したがって、「相殺」も「支払」の一種であり、「未払金等の計上」ではないため、相殺の対象とした2,000万円部分も役員退職給与として「支給」した給与に該当し、損金の額に計上できると考えます。

【関連情報】

《法令等》

法人税基本通達9-2-32

【収録日】

平成29年 8月31日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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