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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

親会社の取締役が子会社の代表取締役を兼任する場合の給与負担金の取扱い

【質問】

 A社は、この度、子会社としてB社を設立し、その代表取締役としてA社の取締役であるCを出向させることとしました。
 「役員の出向」が法律上あり得るかについては存じませんが、A社の認識としては、出向との認識であり、Cは出向期間中においてもA社の取締役を兼任することになります。
 B社との出向契約においては、Cに係る出向期間及び給与負担金の額を定めており、その給与負担金の額については、出向先法人たるB社の株主総会において決議しています。
 Cに対しては、毎月、A社の取締役に係る役員報酬の額(10万円)に加え、B社から支払を受ける給与負担金の額(50万円)を合計した金額60万円をA社から支給する予定です。
 そこで質問ですが、法人税基本通達9-2-45及び9-2-46において示されている給与負担金の取扱いは、役員でない使用人の他社への出向を前提としているように見受けられますが、A社及びB社の役員を兼任しているCについても同様に取り扱って差し支えないでしょうか。出向先B社が支払う給与負担金の処理方法並びに出向元A社における当該給与負担金の受入れ及び支給の処理方法、そして、源泉徴収に係る取扱いを含めてご教示ください。

【回答】

1 出向とは、一般に、企業が社員との雇用契約を維持したまま、業務命令によって元の企業の従業員としての地位を維持しながら、他の企業においてその指揮命令の下で就労することをいうものと解されます。
  そして、労働契約法14条においては、「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は無効とする。」と規定されていることから、出向に際しては従業員の同意が必要とされることになります。
  上記からすると、出向とは、本来、出向元企業が雇用契約により雇用する使用人を、他企業たる出向先へ就労させる場合を前提とするものであり、これに対して雇用契約ではなく委任契約による役員が、委任契約が継続したまま、他の企業との新たな委任契約に基づいて役員となる場合は、「出向」ではなく、単なる複数の企業の役員を兼任することにすぎないのでは、との考え方もあり得るものと考えられます。
2 この点、出向先法人が支出する給与負担金の損金算入について示された法人税基本通達9-2-45においては、「法人の使用人が他の法人に出向した場合」を前提としており、その場合、出向者が出向先法人において役員となっている場合の給与負担金の取扱いについては、次の法人税基本通達9-2-46によることとされています(同通達(注2))。
  すなわち、出向者が出向先法人において役員となっている場合において、次のいずれにも該当するときは、出向先法人が支出する当該役員に係る給与負担金については役員給与として、法第34条《役員給与の損金不算入》の規定が適用されることとされています(法基通9-2-46)。
(1)当該役員に係る給与負担金の額につき当該役員に対する給与として出向先法人の株主総会又はこれらに準ずるものの決議がされていること。
(2)出向契約等においてその出向者に係る出向期間及び給与負担金の額があらかじめ定められていること。
3 上記2からすると、法人税に係る取扱いも「使用人の出向」を前提とし、「役員の出向」のケースは想定されていないものとも考えられるところ、会社法においては、監査役が子会社の取締役を兼務することは認められていません(会社法335)が、取締役と他社の取締役との兼任は禁止されていません。
  また、「派遣役員等の給与等に対する源泉徴収」に係る所得税基本通達183~193共-3においては、「使用者が自己の役員又は使用人を他の者のもとに派遣した場合において、その派遣先が当該役員又は使用人に対して支払う給与等の一切を当該使用者に支払い、当該使用者から当該役員又は使用人に対して給与等を支払うこととしているときは、その派遣先が当該使用者に支払う給与等に相当する金額については源泉徴収を要しないものとする。」として、派遣先企業から派遣元企業への事実上の「給与負担金」の支払があるときは、役員又は使用人の区別にかかわらず、派遣先における源泉徴収を要しない旨の取扱いが示されています。
4 以上から、お尋ねのケースのA社の取締役及びB社の代表取締役を兼務するCについて、B社がA社に支払う給与負担金については、「出向」、「派遣」又は「兼任」等の名目のいかんにかかわらず、出向先法人が支出する給与負担金に係る役員給与の取扱い(法基通9-2-46)に準じて取り扱うこととして差し支えないものと考えられます。
  一方、A社においては、B社から支払を受けるCに係る給与負担金50万円については、仮受金等として処理し、当該仮受金等とA社の取締役に係る役員報酬の額10万円の合計額60万円をCに支給することとなりますが、当該合計額に対する源泉徴収税額を4万円と仮定した場合の具体的な仕訳としては次のとおり考えられます。
    現預金  500,000 / 仮受金 500,000
    仮受金  500,000 / 現預金 560,000
    役員報酬 100,000 / 預り金  40,000
  なお、源泉徴収については、A社において上記合計額に対する源泉徴収を行う限り、上記3の取扱いにより、B社においては源泉徴収を要しないことになります。

【関連情報】

《法令等》

法人税基本通達9-2-45
法人税基本通達9-2-46
所得税基本通達183~193共-3
労働契約法14条
会社法335条

【収録日】

平成29年 5月31日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
注2: 当Q&Aの内容は、作成時の法令等を基に作成しております。このため、当Q&Aの内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
注3: 当Q&Aの著作権は株式会社TKCに帰属します。当Q&Aのデータを改編、複製、転載、変更、翻訳、再配布することを禁止します。

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