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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

純資産価額方式による評価の方法

【質問】

 父は会社の社長をしており、その有する議決権数は、その会社の議決権総数の55パーセントである。その会社は評価上小会社に該当するが、相続税のための株式の評価方法を説明してもらいたい。

【回答】

 評価会社の議決権総数の55%をもっている株主(その同族関係者を含む。)は、相続税の財産評価上同族株主に該当するので、この同族株主の取得した小会社の株式の価額は、原則として純資産価額方式によって計算した価額によって評価することになります。
 この純資産価額方式による株価の計算は、課税時期における各資産を「財産評価基本通達」の定めるところにより評価した価額の合計額から課税時期における各負債の金額の合計額および評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除した金額を、課税時期における発行済株式数で除して計算します。

【関連情報】

《法令等》

相続税法22条
財産評価基本通達185
財産評価基本通達186-2

【解説】

 個人企業と事業規模が変らない小規模の会社の株式は、評価会社の正味財産価額を基として評価額を求める純資産価額方式によることとし、個人企業者の財産評価とのバランスを図ることとしています。
 この純資産価額方式とは、課税時期における評価会社の各資産の相続税評価額(財産評価基本通達に定めるところにより評価した価額)の合計額から、各負債の金額の合計額および会社資産の評価替えに伴って生ずる評価差額に対する法人税等相当額を控除した残額を、課税時期における評価会社の発行済株式数で除して1株当たりの評価額を計算する方式であり、これによる評価額を1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)といいます(評基通185)。
 1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、次の算式によって計算します。
(総資産価額(各資産について相続税評価額によって計算した金額)-各負債の金額の合計額-資産の評価替えに伴って生ずる評価差額に対する法人税等相当額(注))÷課税時期における発行済株式数=求める株式の価額
(注) 資産の評価替えに伴って生ずる評価差額に対する法人税等相当額={(総資産価額(各資産について相続税評価額によって計算した金額)-各負債の金額の合計額)-(総資産価額(各資産について帳簿価額によって計算した金額)-各負債の金額の合計額)}×37%(注)
 ただし、同族株主の取得した株式を純資産価額方式により評価する場合において、その株主の属する同族株主グループの持株割合の合計が50%以下である場合には、その取得株式の価額は、上記の算式により計算した価額の80パーセント相当額によって評価することになっている(評基通185)。また、同族株主のいない会社における株主のうち、その取得株式を純資産価額方式により評価する場合においても、同様に、その取得株式の価額は、上記の算式により計算した価額の80パーセント相当額により評価することになっています。
(注)課税時期が平成28年4月1日以降の場合は37%、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの場合は38%、平成26年4月1日から平成27年3月31日までの場合は40%、平成24年4月1日から平成26年3月31日までの場合は42%、平成22年10月1日から平成24年3月31日までの場合は45%となります。
 (純資産価額の計算例)
  (設例)
 課税時期における評価会社の資産および負債の金額

資産の部
科目        相続税評価額      帳簿価額
現金・預金    4,726,000円  4,726,000円
受取手形     3,613,400   3,613,400
売掛金      6,971,800   7,136,500
有価証券     3,156,600   2,685,000
商品       5,182,000   5,182,600
車両運搬具    2,655,000   2,655,000
什器備品       412,000     412,000
建物       3,150,000   5,250,000
借家権              0   1,200,000
土地      16,835,700   4,836,500
借地権      1,350,000           0
電話加入権      360,000     325,000
合計      48,412,500  38,022,000


負債の部
科目        相続税評価額      帳簿価額
支払手形     6,315,000円  6,315,000円
買掛金      8,043,500   8,043,500
借入金      6,550,000   6,550,000
退職給与引当金  1,500,000   1,500,000

直前期末の翌日
から課税時期ま
での期間に対応    695,000     695,000
する法人税等

被相続人の死亡
退職手当金    3,000,000   3,000,000
平成〇〇年度分
固定資産税の未納額   67,000      67,000
合計       26,170,500 26,170,500

(注)
1 資本金           10,000千円
2 課税時期における発行済株式数 20,000株
3 1株当たりの資本金の額       500円
(1株当たりの純資産価額の計算)
1 相続税評価額による純資産価額
48,412,500円(資産の金額)-26,170,500円(負債の金額)=22,242千円(千円末満切捨て)…(イ)
2 帳簿価額による純資産価額
38,022,000円(資産の金額)-26,170,500円(負債の金額)=11,851千円(千円末満切捨て)…(ロ)
3 資産の評価替えに伴って生ずる評価差額
22,242千円(イ)-11,851千円(ロ)=10,391千円…(ハ)
4 評価差額に対する法人税等相当額
10,391千円(ハ)×37%(注)=4,364千円(千円未満切捨て)…(ニ)
5 純資産価額
22,242千円(イ)-4,364千円(ニ)=17,877千円…(ホ)
6 1株(500円)当たりの純資産価額
17,877千円(ホ)÷20,000株(課税時期における発行済株式数)=893円(1円未満切捨て)
(注)課税時期が平成28年4月1日以降の場合は37%、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの場合は38%、平成26年4月1日から平成27年3月31日までの場合は40%、平成24年4月1日から平成26年3月31日までの場合は42%、平成22年10月1日から平成24年3月31日までの場合は45%となります。

【収録日】

平成30年11月 1日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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