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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

役員の分掌変更に伴う退職給与の分割支給

【質問】

 甲は今期末で代表者を辞任し、来期からは当分の間、非常勤の取締役として経営補助に当たることとなりました。そこで、当期末における株主総会で甲の分掌変更に伴う退職給与5,000万円を支払うこと、ただし、その内の2,000万円は資金事情により翌期の中間期末日に支給する旨を決議しました。そこで、当期は支給する3,000万円のみを損金に計上し、2,000万円は翌期での損金算入を考えています。
 役員の分掌変更による退職金の支給については、原則として法人の未払金等に計上した場合の当該未払金等は含まないと法人税基本通達9-2-32の(注)に書かれていますことから、翌期に支払う2,000万円は損金算入が認められませんか。

【回答】

1 役員退職金は、株主総会等の決議によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度に損金算入するのが原則ですが、実際に支払った日の属する事業年度においてその支払額を損金経理した場合には、これが認められます(法基通9-2-28)。
2 ところで、役員の分掌変更による退職金の未払金計上については、法人税基本通達9-2-32(本通達)の注書において、『本文の「退職給与として支給した給与」には、原則として、法人が未払金等に計上した場合の当該未払金等の額は含まれない。』とされていますが、国税庁のホームページに掲載されています『平成19年3月13日付課法2-3ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明』の9-2-32において、国税庁は次のように述べています。
 『3 更に、今回の改正では、本通達に(注)が追加されている。退職給与は、本来「退職に因り」支給されるものであるが、本通達においては引き続き在職する場合の一種の特例として打ち切り支給を認めているものであり、あくまでも法人が分掌変更等により「実質的に退職したと同様の事情にあると認められる」役員に対して支給した臨時的な給与を退職給与として認める趣旨である。
 したがって、本通達の適用により退職給与とされるものは、法人が実際に支払ったものに限られ、未払金等に計上したものは含まれないこととなるのである。
 ただし、役員退職給与という性格上、その法人の資金繰り等の理由による一時的な未払金等への計上までも排除することは適当ではないことから、「原則として、」という文言を付しているものである(このような場合であっても、その未払いの期間が長期にわたったり、長期間の分割支払いとなっているような場合には本通達の適用がないことは当然であろう。)。』
3 以上のような内容からしますと、退職によらない役員退職給与の損金算入を例外的に認める本通達は、恣意的な損金算入などの弊害を防止する必要性に鑑み、原則として、法人が実際に支払ったものに限り適用されるべきであって、当該分掌変更の時に当該支給されなかったことが真に合理的な理由によるものである場合に限り、例外的に認められる、と解されます(裁決事例集No86、24.3.27裁決)ので、逆に、分掌変更の時に当該支給されなかったことが真に合理的な理由によるものであることが説明できる場合には本通達が適用できることとなります。
4 この点、ご質問の場合には、甲の分掌変更に伴う退職金の全額を一時に支払わず分割払いとするに至った資金事情が、会社の資金繰り表やキャッシュ・フロー計算書等によって説明できる場合には、分割払いの期間が半年と短く、時期も特定されておりますから、本通達が適用され(本通達の(注)にある「原則として、」の例外に該当するものとして)、各々の現金支給した役員退職金はその支給した事業年度で損金経理することにより損金計上できると思われます。
 ついては、分掌変更の時に当該支給されなかったことが真に合理的な理由によるものであることが説明できるように、甲の分掌変更に伴う退職給与の額を決議した株主総会議事録や分掌変更時における資金事情を示す資金繰り表、キャッシュ・フロー計算書等を整理・保存しておくことが必要となります。

【関連情報】

《法令等》

法人税基本通達9-2-28
法人税基本通達9-2-32

【収録日】

平成24年12月19日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
注2: 当Q&Aの内容は、作成時の法令等を基に作成しております。このため、当Q&Aの内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
注3: 当Q&Aの著作権は株式会社TKCに帰属します。当Q&Aのデータを改編、複製、転載、変更、翻訳、再配布することを禁止します。

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