Q&A経営相談室
今年の花粉症の傾向と対策は?
 
Q:
 2023年の花粉飛散量は例年よりも多いと聞いています。社員に花粉症対策を徹底させたいのですが、最新の対策を含め、効果的な予防法を教えてください。(建設業)
 
<回答者>医療ジャーナリスト 東 茂由

A:
 環境省の発表によると、今年春の花粉飛散量は過去10年で最高になると予測されています。飛散開始日は全国的に例年より遅く、東京都は去年より2週間ほど遅い2月26日との見込みです。

 花粉症の対策は、花粉を体内に取り込まないことと、花粉に負けないように体調(免疫)を整えることの両面から求められます。室内では空気清浄機を使用するとともに、なるべく花粉を持ち込まないように注意したいもの。

 外出時にはマスクが必須です。新型コロナウイルス感染症が流行して以後、戸外や人前でのマスクは常識になりました。そのおかげで花粉症の発症数は半分以下に減少したといわれています。

 花粉症は、花粉から身を守ろうとする防御(免疫)が強く反応しすぎるために発症しますが、それは自律神経のバランスが崩れているということです。

 働き過ぎやストレス、睡眠不足、過度の飲食などは自律神経のバランスを崩します。

 ですから、花粉症対策の基本として、これら生活習慣に気をつけなければなりません。十分に睡眠をとり、暴飲暴食を避けるだけで症状はずいぶん軽くなります。腸内環境によい作用をするからです。

 飲食物では、冷たい飲み物(ビールやアルコール飲料も)、お酒、唐辛子などの刺激物、甘い菓子類、動物性脂肪が多い食品などは、花粉症の症状を悪化させます。

最善の応急策はファスティング

 サプリメントで効果的なものに、茶葉に含まれる成分のエピガロカテキンガレート(EGCG)があります。

 納豆菌や乳酸菌もよく知られていますが、それよりもお酢に含まれる酢酸菌のほうがより効果的という報告もあります。

 アレルギーを感知するスイッチに「TLR2」と「TLR4」があります。このうち、納豆菌や乳酸菌はTLR2を押します。

 ところが、酢酸菌は2つのスイッチを押すことができます。それによって免疫の誤作動や過剰反応を抑制し、花粉症などのアレルギー症状を抑えるということが明らかになっています。

 数年前から、鼻詰まりに効くとの評判があるのが「タマネギ深呼吸」です。

 やり方は簡単で、タマネギを皮つきのまま薄切りにして、皿やラップに載せ、鼻を近づけて深呼吸します。これをくり返し行うことで、鼻の通りがよくなります。

 鼻うがいで鼻の奥を洗浄する方法もよく知られています。鼻に関してはまた、奥ではなく、より手前を洗浄すると花粉の除去に効果があるとの見方も出てきました。この部分を洗う専用のブラシも販売されています。

 とはいえ、鼻水ズルズル、涙が出て目が充血、頭痛、微熱もあり、仕事に支障がでるような状態に陥ったとしたら……。

 いちばん即効性がある対策法はファスティング(断食。絶食)です。3日間の断食を勧める専門家もいますが、1日でも無理という人が大半でしょう。

 そこで次善の策として、朝食、昼食を抜くだけで、最悪の症状をしのぐことができます。夕食も軽めにし、しかもお酒を飲み過ぎないことが肝要です。

提供:株式会社TKC(2023年2月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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