Q&A経営相談室
クラスターの発生を防ぐ室内環境のつくり方
 
Q:
 集団感染を起こさないために座席を減らし、間隔を空けていますが、いまいち効果があるのかどうかはっきりしません。店内でのコロナ感染を防ぐためのポイントを教えてください。(喫茶店)
 
<回答者>日本消臭抗菌予防代表 臭気判定士 村井敏夫

A:
 クラスター対策を行うために押さえておくべきポイントはさまざまですが、とりわけ重要なのが「消毒作業」です。店内設備、特に来店客が使ったテーブル、イス、メニュー表などは退席のつど消毒液を噴霧してタオル、ダスター等でしっかりと拭き上げるようにしましょう。使用した食器類も消毒液の噴霧だけでなく漂白剤等でつけ置きすることでより効果的に消毒することができます。また、人の手が触れやすいクレジットカードの読み取り端末、コイントレーは精算のつど拭き上げることをお勧めします。

 とりわけ念入りに消毒すべき場所がトイレです。2月に発生したダイヤモンド・プリンセス号の集団感染では多くのウイルスがトイレの周りに残留しており、感染拡大の温床となっていたことが分かっています。トイレの消毒作業は30分〜1時間に1回のペースで実施するなど、できるだけこまめに行うようにしてください。

 作業にあたっては、天井、壁、床、便器などトイレ全体に消毒液を噴霧してから拭き取るようにしてください。ドアノブ、洗面台、蛇口、便座、便器のフタ、ペーパーホルダーのフタ、水洗レバーなど、人の手が触れるところはすべて念入りに拭き取ります。

 ちなみに、ウイルスは飛沫(ひまつ)以外にも手指の傷口等から侵入する場合もあるので、消毒作業をするときには必ず手袋を着用するようにしてください。使用した手袋はそのつど捨てるか、再使用する場合は消毒液の噴霧、塗布、つけ置きするようにしましょう。

できることから始めよう

 クラスターを防ぐもう一つのポイントが「換気」です。空気中に漂っているウイルスを外に出すことで感染リスクを大幅に減らすことが期待できます。そのためにもドアや窓はなるべく開けたままにしておき、扇風機・サーキュレーターを活用して空気の流れを良くすることをお勧めします。

 効率よく換気するコツは「空気の流れる方向に風を送る」こと。例えば、出入り口の近くに扇風機やサーキュレーターを置いておき、空気の流れる方向に風を送ることでより効率的に排気することができます。また、エアコンや空気清浄機は室内の空気を循環させるのには効果的ですが、外と室内の空気を入れ換えるものではないので、換気を徹底するにはドアや窓を全開にする、扇風機・サーキュレーターで風を流すことを意識するようにしましょう。

 換気扇、排気口のチェックも重要です。換気扇や排気口はほこりが詰まりやすく、音が鳴っていても空気を排出できていないことがあるので、ほこりが溜まっていないかどうかをこまめに確認し、適宜掃除機等で取り除くようにしてください。

 ほかにも、いつ・誰が・どこを・どうやって消毒するのか、といった作業ルールを決めたり、接客時はフェイスシールドの着用を義務づけるなど、ちょっとした工夫や取り組みを継続することで来店客の安心安全につながります。細かい作業ですが、クラスターを起こさないためには一つ一つできることから手をつけていくことをお勧めします。

提供:株式会社TKC(2020年9月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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