Q&A経営相談室
4月に始まった「プラチナくるみん制度」とは
 
Q:
 仕事と育児の両立を支援する企業に「プラチナくるみん認定」が付与されると聞きました。従来の「くるみん認定」との違いなどを教えてください。(ソフトウエア開発)
 
<回答者>社会保険労務士 石川弘子

A:
 企業が仕事と子育ての両立を推進するための行動計画を策定、実施し一定基準を満たすと、厚生労働大臣認定の「くるみんマーク」が付与されます。ことしの4月、新たにプラチナくるみん制度が設けられました。これは、すでにくるみん認定を受けている企業のうち、特に両立支援の取り組みが優れている企業に対して「プラチナくるみんマーク」が付与される制度です。

 プラチナくるみんの認定基準はいくつかありますが、なかでも、男性労働者の育児休業取得をさらに推進している点が特徴となっています。具体的には、次のどちらかを満たすことが条件となります。

@配偶者が出産した男性労働者のうち、育児休業等を取得した者の割合が13%以上
A配偶者が出産した男性労働者のうち、育児休業等を取得した者および育児休業等に類似した企業が講じる育児目的の休暇制度を利用した者の割合が30%以上、かつ育児休業等を取得した者が1人以上

 その他にも、1年間の平均週労働時間が60時間以上の労働者の割合が5%以下、平均月時間外労働時間が80時間以上の労働者がいないことなど「所定労働時間の削減」も認定基準となっています。

 さらに、出産後の女性労働者のうち、子どもの1歳の誕生日までの在職率が90%以上、育児休業を取得する女性労働者に対して、能力向上やキャリア形成支援のための取り組みを行っていることなど、認定基準は多岐にわたります。

人材確保策として有効

 プラチナくるみん認定を受けた企業にとってのメリットとしては、プラチナくるみんマークを商品、名刺、広告等に付けられるため、企業のイメージアップを図ることができます。また、認定を受けた企業は、事業所内保育施設や授乳コーナーなどの建物等の割増償却を受けられる等の、税制上の優遇措置があります。くるみん認定にも同様の措置はありますが、プラチナくるみん認定では、優遇措置が拡充されました。

 プラチナくるみん認定を受けるには、まず、くるみん認定を受ける必要があります。くるみん認定およびプラチナくるみん認定申請の大まかな流れは、次の通りです。

@自社の現状や従業員のニーズを把握し、適切な行動計画を策定する
A行動計画をホームページなどで公表し、従業員に周知する
B行動計画策定後、その旨を労働局へ届け出る
C行動計画に沿って、取り組みを行う
D計画期間終了後、労働局へくるみん認定申請を行う
Eくるみん認定取得後、取り組みを進め、プラチナくるみん認定を申請する
Fプラチナくるみんが認定されたら、毎年1回、実施状況を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」に公表する

 公表内容は、育児休業等取得に関する事項、短時間勤務等の内容、時間外労働の削減や、有給休暇の取得促進の取り組み、女性の継続就業に関する事項、育児と両立するための能力開発やキャリア形成の支援などです。

 働き手が不足しているなか、プラチナくるみん認定企業は、働きやすい労働環境を実現していることを求職者にアピールできます。イメージアップのためにも、まずはくるみん認定の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

提供:株式会社TKC(2015年10月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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