Q&A経営相談室
【法改正】
「改正次世代法」で中小企業の対応は
 
Q:
 2011年4月から改正次世代育成支援対策推進法が施行されると聞きました。中小企業にも関係ありますか?ある場合にはどのような対応が必要でしょうか。(機械製造業)
 
<回答者>厚生労働省 雇用均等・児童家庭局
職業家庭両立課課長 塚﨑裕子

A:
 次代を担う子どもたちが健やかに生まれ育つ環境を作るため、次世代育成支援対策推進法(次世代法)が03年に制定され、国、地方公共団体、事業主、国民がそれぞれの立場で次世代育成支援を進めていくこととされています。

 次世代法では、(1)仕事と子育てを両立するのに必要な雇用環境整備を図る一般事業主行動計画を策定する、(2)計画を速やかに都道府県労働局に届ける、(3)計画を公表し従業員へ周知するなどの義務が定められています。11年4月の法改正で、義務の対象となる企業が、従業員301人以上の企業から、従業員101人以上の企業に拡大されることになりました。従業員数が101人以上300人以下の事業主の方は、法が施行される11年4月1日までに届出ができるよう行動計画の策定準備をする必要があります。

 行動計画は、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たり、(1)計画期間、(2)目標、(3)目標達成のための対策と実施時期を定めるものです。

 行動計画を策定する際には、自社の現状や従業員のニーズを把握するために、一定期間(例えば、過去5年程度)をさかのぼって、自社の両立支援関係制度の利用状況を確認したり、従業員にアンケートやヒアリングを行うことが有効でしょう。

 そして、自社の実情を踏まえて計画期間を設定し、具体的な目標を定めます。目標は何項目でも構いませんが、可能な限り定量的な数値目標(例えば、「平成○年までに育児休業取得率を男性で◎%、女性で△%にする」)とするなど、達成状況を客観的に判断できるものにしましょう。また、目標を達成するために「いつまでに」「どんなことをする」かの対策も定めておくべきです。

 計画策定後は、行動計画そのものを一般に公表し、従業員への周知を行って下さい。公表方法は、(1)インターネットの利用(21世紀職業財団が運営するサイト「両立支援のひろば」や自社のHPへの掲載)、(2)都道府県、市区町村の広報誌への掲載が考えられます。

 従業員への周知方法は、(1)事業所の見やすい場所への掲示や備え付け、(2)従業員への配布、(3)電子メールを利用して送信することなどが適切でしょう。

 さらに、行動計画を策定した旨を一般事業主行動計画策定・変更届(様式一号)により都道府県労働局に届け出て下さい。

 また、事業主は、一定の要件(具体的な内容は厚生労働省ホームページに記載)を満たす場合、申請を行うことにより、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣(都道府県労働局長へ委任)の認定を受けることができます。

 認定を受けた事業主は、次世代認定マーク(愛称「くるみん」)を広告、商品、求人広告などにつけ、子育てサポート企業であることを内外にアピールすることができます。10年10月末現在、全国で1006社の企業が認定を受けています。仕事と子育ての両立を図るために雇用環境の整備を図ることは、優秀な人材の確保・定着、生産性向上や業務の効率化などにつながることから、人事戦略や経営戦略として、積極的に位置づけることが大切です。

提供:株式会社TKC(2011年1月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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