Q&A経営相談室
【IT活用】
いま話題の「スマートフォン」の魅力とは
 
Q:
 今後ますます普及が進むといわれている「スマートフォン」の魅力とは何でしょうか。(食品卸)
 
<回答者>モバイル機器評論家 石川 温

A:
 最近、携帯電話の世界で話題となっているのが「スマートフォン」です。各社が相次いで新製品を投入し、これまでの携帯電話よりも利便性が高いとあって、売れ行きも上々です。スマートフォンとは、一般的にパソコンを手のひらサイズにまで小さくして、無線通信によってインターネットに接続できる端末のことを指します。パソコンと同じく、新たにソフトを追加することで機能を増やし、動画や音楽の再生もスムーズに行えるのが特長です。

 実はこれまでの日本の携帯電話も動画や音楽、新しいソフトを追加することは可能でした。しかし、スマートフォンは高性能なチップを搭載して、パソコン並みの処理を実現している点が大きく違います。また、日本のメーカーは携帯電話を国内に特化した製品ばかりを開発しているのに対し、スマートフォンは世界規模での流通を可能とした製品が多いです。

 現在、日本ではアップルが開発し、ソフトバンクモバイルが販売を手がける『アイフォーン(iPhone)』が人気です。250万台程度が流通していると言われています。それ以外にはNTTドコモが『ブラックベリー』という欧州のビジネスマンに人気の機種や、マイクロソフトの『ウィンドウズフォン』といったものもあります。これまでスマートフォンに消極的な姿勢を示していたauも今年6月から、アメリカの検索サービス会社「グーグル」が開発した「アンドロイド」という基本ソフトを搭載したスマートフォンを発売する予定です。

法人単位での導入も進む

 これらのスマートフォンは今後急速に普及していくと見られています。これまで携帯電話を開発してきたメーカーが、スマートフォンにより一層力を入れるようになるからです。すでに日本の携帯電話市場は1億1000万台以上の契約数を抱え、これ以上の成長は難しいとされています。メーカーにとって国内市場だけでは収益を上げることはできなくなるわけで、早期に海外市場を掘り起こす必要がでてきます。だからこそ国内向けに特化した携帯電話ではなく、海外で幅広く流通させられるスマートフォンに着手していく必要があるのです。そうした流れの中で、国内でもスマートフォンの普及がますます進むと考えられます。

 また国内向けの携帯電話は、各メーカーが独自に製造してきたため、開発費が莫大になっていました。スマートフォンは「汎用OS」と呼ばれるものが採用されており、ソフトウェアが世界的に共通化されています。開発環境に汎用性があるため、開発費を安価に抑えられるという点も、メーカーがスマートフォンに目を向ける理由の一つといえます。

 これから盛り上がりを見せるスマートフォンですが、仕事の効率化を狙い、会社単位で導入するところも増えるはずです。スマートフォンを活用すれば、たとえば通勤中や商談に出かけている間も売上報告や部下の日報のチェックが行えるようになります。社長・上司が外出先からスマートフォンを使って社内情報システムにアクセスすることで決裁を進められ、全社的に効率化を促せます。

 なおスマートフォンは通信機能を備えているので、万が一紛失した際も遠隔操作で保存されている情報を削除するといったことも可能です。パソコンと比べても、安心して使えるというメリットもあり、将来的に企業での導入が進んでいくと見られています。

提供:株式会社TKC(2010年6月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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