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急速な少子高齢化による労働力人口の減少が見込まれます。既に、「高年齢者雇用安定法」により、事業主には65歳までの雇用確保措置(定年延長、勤続延長、再雇用等)が義務づけられています。2012年には、団塊の世代が65歳に到達します。65歳以上の定年制や定年の定めの廃止を普及して、団塊の世代の働く場の確保が当面の課題です。中小企業としても人材確保のため、働く意欲を持った高年齢者の能力を活用することが必要不可欠となってきます。このような中小企業の負担を軽減するため、表1(下図)のような助成金制度が用意されています。
ここでは、中小企業が活用しやすい「中小企業定年引上げ等奨励金」を簡単に説明します。支給に関して細かな条件はありますが、簡単にまとめれば次のようになります。(1)雇用保険の被保険者として1年以上雇用している60歳以上65歳未満の従業員がいて、(2)就業規則に定める定年年齢が、60歳以上65歳未満である中小事業主が、(3)定年年齢を65歳以上に引き上げる、または定年の定めを廃止した場合、雇用される常用被保険者の数に応じて、表2(下図)の金額が1回限り支給されます。支給を受けたい事業主は、定年変更の実施日の翌日から1年以内に申請してください。
また、65歳以上への定年の引き上げ、または定年の定めを廃止し、その雇用する55歳以上65歳未満の高年齢者に対して、定年延長等に伴う意識改革などの研修を実施した場合、当該研修の実施に要した費用の一部(研修費の2分の1、上限有り)が支給される「雇用環境整備助成金」も合わせて申請できます。定年の延長や廃止に伴い、中高年齢者向けに職場環境を整備したり、中高年齢者の資質の向上や職域の拡大をしたりすることも忘れないでください。
また、「70歳定年引上げ等モデル企業助成金」は、70歳まで働くことができる新たな職域の拡大等を行うモデル的な取り組みなどを実施した事業主に対して支給されます。「中小企業高年齢者雇用確保実現奨励金」は、事業主団体が傘下の中小企業事業主に対して、高年齢者雇用確保措置の導入などに関する相談・指導を実施した場合に支給されるものです。
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