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近年、地球温暖化がクローズアップされ、特に温室効果ガスの削減が求められています。省エネ法指定工場(エネルギー使用量が原油換算1500kl/年以上)では温室効果ガスを毎年国に届けることが義務付けられています。
温室効果ガスの主なものはCO2(二酸化炭素)ですが、それ以外にはCH4(メタン)、N2O(一酸化二窒素)、HFC(ハイドロフルオロカーボン類)、PFC(パーフルオロカーボン類)、SF6(六フッ化硫黄)があります。温室効果ガスの排出量は、CO2ガス排出量に加え、それ以外の各々の温室効果ガス量にCO2に換算するための係数(地球温暖化係数)をかけたものを足し合わせて算出します。排出量の単位は、t―CO2です。CO2排出量と言う場合、CO2換算した温室効果ガス排出量と捉える場合が多いので、ここではその考えでお答えします。
温室効果ガスの排出形態は、業種や設備種類・規模などによって様々です。中小の設備機械製造業では、電気や重油などのエネルギーの使用に伴い発生するCO2が中心ですのでこれを説明します。
エネルギーから発生するCO2算出手順は、
(1)まず、事業所でどんなエネルギーをどの位の量使っているかを調べます。電気はわかりやすいですが、空調や製造現場のエアや熱源などは、重油やガスなどを使っている場合もあります。社有車やトラックなどを保有していればガソリンや軽油もあるでしょう。
(2)次に、各エネルギーの使用量に排出係数をかけることで、エネルギー種類ごとのCO2排出量を求めます。排出係数は、表(〔『戦略経営者』2008年7月号22頁〕)のようになっています。計算する場合には単位に気をつけてください。なお、表に示す電気のCO2排出係数「0.555」(単位:t―CO2/千kwh)は環境省の基準値ですが、環境省が毎年公表する電力会社ごとの排出係数を使ってもかまいません。
(3)求めたエネルギー種類別のCO2排出量を合計して、エネルギー消費で発生するCO2の合計量が算出されます。この表(〔『戦略経営者』2008年7月号22頁〕)の例では、電気8万4000kwh、灯油2kl、軽油5kl、LPG10トン使用して、94.7トンのCO2が排出された計算になります。
その他、もし工場内のボイラーで蒸気や温水を作っていたり、工場排水処理をしているのであれば、更にCH4及びN2Oが発生します。これらの計算は少し厄介です。CH4排出量=燃料使用量×燃料の単位発熱量×設備の排出係数で算出します。N2Oも同様です。例えば、木炭を燃料としたボイラーの場合、CH4の排出量は、木炭の単位発熱量14.4(GJ/t)、ボイラーの排出係数0.000074(t―CH4/GJ)を用いて求められます。
こうして求めたCH4やN2O排出量に地球温暖化係数をかけてCO2換算し、先に求めたCO2排出量に加え、トータルのCO2排出量とします。地球温暖化係数は、CH4が21、N2Oが310と決まっています。
また冷蔵庫や変圧器を製造しているのであればHFCや、SF6の排出もあるかと思います。
詳細は、環境省の「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」を参照してください。
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