Q&A経営相談室
【知財戦略】
特許料が減額されるそうですが…
 
Q:
 特許料が近々、減額されると聞きました。具体的内容について教えてください。(機械部品製造)
 
<回答者>西川特許事務所 西川幸慶

A:
 特許法等の改正に伴い、ちかく特許料の引き下げが予定されています。その内容を解説する前に、まず「特許料」について簡単に整理しておきます。

 特許料は登録時に最低3年分納付し、第4年以降の特許料についてはその前年が終了するまでに納付することになっています(例えば第4年目の特許料は、第3年目が終了するまでに納付)。特許権は原則として出願日から20年の存続期間がありますが、特許料を納付しなければ途中で消滅してしまいますので、忘れずに納付する必要があります。

 特許料は「第1年〜第3年」「第4年〜第6年」「第7年〜第9年」「第10年以降」と後年次になるほど段階的に高額になっていきます。特に「第10年以降」の特許料は諸外国に比べても高額であり、中小企業を中心として「負担感が強い」との指摘がありました。

 そこで、今回の改正では中小企業の負担軽減という意味もあって、第10年以降の重点的な引き下げを含む特許料の引き下げが行われることになりました。

 引き下げの前後における具体的な特許料については、下の図表に示した通りです。引き下げ後の額は、特許庁が発表している「案」ですが、特に問題が生じない限りこの案の通りになるはずです。これを見ますと、第9年までの特許料の引き下げ額はわずかですが、第10年以降の特許料については大きく引き下げられていることがわかります。

 具体的には第10年以降の特許料は、「8万1200+請求項数×6400円」から「6万1600+請求項数×4800円」となりますので、仮に請求項(保護を受けたい発明)の数が「5」であるとした場合、毎年11万3200円だったものが、引き下げ後は毎年8万5600円となります。

 

現行料金 新料金(案)
第1年〜第3年 2,600+請求項数×200円 2,300+請求項数×200円
第4年〜第6年 8,100+請求項数×600円 7,100+請求項数×500円
第7年〜第9年 24,300+請求項数×1,900円 21,400+請求項数×1,700円
第10年以降 81,200+請求項数×6,400円 61,600+請求項数×4,800円

商標登録料も引き下げ

 また、特許料だけでなく、商標の設定登録料や更新登録料等も引き下げられる予定ですので簡単に説明します。

 設定登録料や更新登録料は指定している商品区分の数によって違いますが、今回の改正により、設定登録料は「区分数×6万6000円」から「区分数×3万7600円」に引き下げられる予定です。

 さらに10年ごとの更新登録の際に必要な更新登録料も「区分数×15万1000円」から「区分数×4万8500円」と大幅に引き下げられる予定です。3分の1以下になるわけですから嬉しいですね。

 商標登録は中小企業の利用も多く、件数ベースでは約36%が中小企業による利用だといわれていますが、今までは高い設定登録料や更新登録料が負担となっていました。今回の引き下げにより中小企業や個人事業にとってもさらに利用しやすくなるでしょう。

 なお新しい料金が適用される具体的な施行日は、現時点(2008年3月)ではまだ決まっていません。特許庁に問い合わせたところ、「公布の日から3ヵ月以内ということになっているので、本年の6月か7月頃になると思われます」とのことでした。

 施行日の前後で料金が異なるため、施行日前に引き下げ後の料金を納付すると料金不足となってしまいますので、納付前に特許庁のホームページ(http://www.jpo.go.jp/indexj.htm)等で確認するとよいと思います。

提供:株式会社TKC(2008年4月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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