Q&A経営相談室
【人材採用】
外国人留学生採用の留意点
 
Q:
 いまアルバイトに来てくれている外国人留学生を卒業後に正社員として採用したいと考えています。採用に当たっての注意点を教えてください。(自動車整備業)
 
<回答者>社会保険労務士 三留敏明

A:
 少子化やグローバル化などを背景とし、学校卒業後の外国人留学生を採用する企業が増えています。外国人の方は、「出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)」で定められている在留資格の範囲内において、日本での活動が認められています。外国人留学生が日本企業に就職する場合は、法務省に申請して、在留資格をそれまでの「留学」から仕事の内容に合わせて変更しなければなりません。変更にあたっては、留学で培った専門知識や技術を仕事に生かせることが条件となります。工場などでの単純労働は、原則として認められません。

就労が可能な在留資格

 現在、在留資格は27種類あります。就労の可否で分類すると、次の3種類に分けられます。

1.在留資格に定められた範囲で就労が認められる在留資格(17種類)
 外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、特定活動(ワーキングホリデー、技能実習生等)
 一般の事務所での雇用が多いのは、次の4種類です。
(1)技術…コンピュータ技師、自動車設計技師等
(2)人文知識・国際業務…通訳、語学の指導、為替ディーラー等
(3)企業内転勤…企業が海外の本店または支店から期間を定めて受け入れる社員
  (活動は「技術」「人文知識・国際業務」に掲げるものに限る)
(4)技能…中華料理、フランスのコック等

2.就労に制限がない在留資格(4種類)
 
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

3.原則として就労が認められない在留資格(6種類)
 
文化活動、短期滞在、留学、就学、研修、家族滞在
 ただし、「留学」「就学」及び「家族滞在」の在留資格の外国人の方は、地方入国管理局で資格外活動の許可を受ければ、一定条件(時間、就労の内容など)のもと、アルバイト等の就労活動を行うことができます。

採用時の留意点

 法的な側面としては、就労が認められない在留資格で在留している外国人や在留期間を超えて、あるいは上陸の許可を受けることなく滞在している外国人は就労させることはできません。入管法で就労が認められているかどうかの確認が必須です。採用時およびその後の更新についても注意が必要です。外国人の方の在留資格や在留期間は、外国人登録証明書、旅券(パスポート)の上陸許可、または就労資格証明書等により確認できます。外国人労働者の旅券(パスポート)等については、外国人労働者本人が常時携帯することを義務づけられているため、事業主が保管しないようにしてください。
 採用後も、外国人労働者に対しての労働関係法令の遵守、外国人労働者雇用状況の報告、外国人労働者労務責任者の選任など適切な対応が求められます。適正な採用管理や雇用管理に努め、優秀な外国人留学生を活用してください。

提供:株式会社TKC(2007年8月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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