Q&A経営相談室
【人材活用】
インターンシップ受け入れの留意点
 
Q:
 地元商工会議所を通じインターンシップの打診が来ており、前向きに検討したいと考えています。受け入れる際の留意点を教えてください。(精密機械設計)
 
<回答者>就職・採用アナリスト 斎藤幸江

A:
 インターンシップは、「学生が在学中に、企業等において自らの専攻や将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義されています(文部科学省)。要は、職場での体験を通じて、将来のキャリアにプラスになる知識や視点、具体的にはビジネスの仕組みや社会人に求められるものに対する理解及び自己の特性や適性の把握といったことを得たり、働くことへの興味や意欲を醸成する機会です。期間は2週間前後が一般的です。
 大学が少子化時代の生き残りをかけてキャリア教育に力を注いでいることもあり、インターンシップを経験する学生は年々増加し、平成17年度では1学年の約1割にあたる4万2000人が経験しています。しかし受け入れ企業は依然、不足しており、相談の事例にもあったように、大学や仲介機関から新たに協力を求められる企業も増えています。
 企業が学生をインターンとして受け入れるメリットには、以下のものがあります。
1.学生に企業を認知してもらう機会になる
 
本人だけでなく、友人や大学などにも企業情報が伝わります。
2.若手社員の育成の機会になる
 
指導者という立場で教えることで仕事を見直したり、自分の成長の振り返りができます。
3.新たな視点が獲得できる
 
既存の知識や経験がない学生の目からみた、企業の魅力や習慣化している作業の矛盾点などを指摘されることもあります。
4.新卒採用や教育研修のヒントを得られる
 
今の学生の意識や興味を知ることで、彼らのニーズに応えるPRや採用選考及び新人研修の構築に利用できます。

  これらのメリットを期待したいのであれば、ぜひインターンシップに取り組んで下さい。

無理のない内容・期間で

 受け入れにあたって留意したい点は次の3点です。
1.無理をしない
 学生を受け入れるだけで、さまざまな作業が発生します。無理せず、負担のない受け入れから始めましょう。まずは1人に2日間の実習というレベルでも構いません。
2.体験の成果がわかる仕組みを提供する
 
研修の目的を明確に示します。これは「ビジネスの仕組みを理解する」「業界の特性を知る」などで十分です。成果を把握するには、「業界」「企業」「ビジネスの仕組み」「人材に求められるもの」「私と仕事」などについて、理解度を測るいくつかの質問を用意し研修前と研修後に回答してもらい、違いを比較させてもいいでしょう。目的の達成度について、レポートを求めることもできます。
3.受け入れに好意的な社員がいる部署から始める
 
研修成果に社員とのコミュニケーションを挙げる学生が多くいます。受け入れに前向きな社員をぜひ活用しましょう。社内で公募すると、「大学生の息子が昨年、経験したので」という意外な協力者を得られることもあります。

  インターンシップでは、原則的に報酬は支払いません。交通費は支払うケースがほとんどです。また、情報の取り扱い等につき事前に書面での取り交わしを行います。保険については、大学が負担する場合もあります。不明な点があれば、仲介機関や大学に積極的に情報を求めてください。

提供:株式会社TKC(2007年5月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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