Q&A経営相談室
【知的財産】
中小企業向け“知財特例措置”とは
 
Q:
 中小企業向けの「知財特例措置」というものがあると聞きました。どんな内容なのでしょうか。(機械部品製造業)
 
<回答者>西川特許事務所 西川幸慶

A:
 「中小企業」とのことですので、法人を対象とした支援制度について説明します(個人事業の場合も支援制度を利用できますが、条件や内容が少し異なります)。
 まず、「特許関係料金減免制度」があります。これは特許庁に支払うべき所定の料金が、軽減、免除または猶予される制度のことです。中小企業の場合、「資金に乏しい法人」又は「研究開発型中小企業」に該当すれば利用できます。
  「資力に乏しい法人」として減免措置を受けるためには、「その発明が職務発明であること」、「職務発明を予約承継した使用者等であること」、「資本の額又は出資の総額が3億円以下であること」、「法人税が課されていないこと」、「他の法人に支配されていないこと」等の条件をクリアする必要があります。この場合、「特許料(第1〜第3年分)」の3年間猶予、「出願審査請求料」の半額軽減という減免措置を受けることができます。
  「研究開発型中小企業」とは資本額、従業員数、研究開発支出比率等について所定の要件を満たす法人のことです。この場合、審査請求料と特許料(第1〜第3年分)が半額軽減されます。
 料金軽減を希望する場合は「審査請求料減免申請書」を、特許料の猶予を希望する場合は「特許料猶予申請書」を提出します。その際には、減免措置を受ける条件を満たすことを証明する書類も添付書類として提出する必要があります。
 次に、「先行技術調査支援」を利用することができます。これは、所定の要件を満たす特許出願について、無料で先行技術を調査してくれる支援施策のことです。
 特許庁で特許出願の審査をしてもらうためには、出願審査請求をする必要がありますが、その際に審査請求料を特許庁に納付しなくてはなりません。審査請求料の無駄を省くためにも、審査請求をする前に特許調査を行って「特許になりそうかどうか」を検討した方が良いでしょう。調査は出願人自身が行うこともできますが、「先行技術調査支援」を利用できます。
 対象となるのは原則として、平成16年4月1日以降に中小企業によりなされた特許出願であって、まだ出願審査請求が行われておらず、審査請求期間の満了まで2ヵ月以上ある特許出願です。
  「先行技術調査支援」を依頼できるのは出願人本人に限られます。
 調査は特許庁が委託した民間の調査事業者が行います。依頼者は複数の調査事業者の中から任意の調査事業者を選択することができます。依頼は特許庁を通さず依頼者が調査事業者に直接申込みます。その際には、必要事項を記入した申込書や出願書類の写し(又は公開公報の写し)が必要です。
  調査依頼すると、調査事業者が調査をし、依頼者である出願人に調査結果を報告します。出願人はその報告を参考にして審査請求をするか否か検討することができます。
  但し、調査結果は特許庁の審査の結果を保証するものではありません。つまり、調査で「類似する先行技術は無い」と報告された場合でも、審査において調査で見つからなかった文献が見つかって拒絶されるようなことはあり得ます。
 次に「早期審査制度」があります。特許出願の出願人が中小企業である場合は、「早期審査に関する事情説明書」を提出して早期審査の申請をすれば、他の出願に優先して審査が行われます。通常であれば出願審査請求後、審査結果が出るまで2年近くかかるのですが、早期審査を請求すれば約3ヵ月程度で審査結果の通知があります。なお、商標、意匠の審査にも早期審査制度があります。

提供:株式会社TKC(2007年1月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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