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社内ネットの私的利用を禁止する企業は増えています。
この春、民間調査機関が行ったアンケート調査(有効回答数139社)で、社員300人未満の会社では約18%(社員1000人以上では約25%)が社員の電子メールを監視し、約15%(同約30%)がインターネットの利用状況を監視しているという発表がありました。また、社内規定などで利用ルールを定めているのは全体の約50%、このうち電子メールの私的利用を禁止しているのは約90%、私的にホームページを閲覧することを禁じているのは約80%でした。この傾向は、今後も増えていくことでしょう。
背景には、パソコンウィルスによるシステムへの被害やファイル交換ソフトなどによる情報漏えいの増加など、企業のリスク対策があると考えられます。裁判でも、監視体制について適切な方法をとれば、必ずしも違法ではないとする事例もあります。
利用規定を明確に
メールやインターネットの監視については、プライバシーの問題ともかかわってきます。どこまでが公的メールで、どこからが私的メールなのか、あるいは、どこまでが仕事にかかわるインターネットの閲覧で、どこからがそうではないのかの判断も厳密には割り切れません。
会社のパソコンは、業務の必要のために使用することが目的です。また、会社のメールアドレスを私的に利用するのは厳禁です。パソコンの私的利用を明確に禁止するため、就業規則や利用規定で「会社のパソコンなどの備品を業務外の目的で利用してはならない」と規定し、違反した場合の懲戒規定を明確にしておきます。あわせて、利用履歴や内容を監視することを社員に周知徹底し、利用ルールに沿った使い方を促すこと、各種のリスクに対する社員の感度を高めていくことが重要です。
労務管理上では、社内規定で利用ルールを明確にし、公私の区別をしっかりさせることがポイントです。また、監視することで、社内のセクハラや誹謗中傷などに利用されることも防止できます。システム的には、特定のホームページの閲覧を禁止する、ファイルのダウンロードができないようにする、一定のメールの送受信を禁止するなどのセキュリティーソフトもあります。こちらは情報セキュリティーの専門家に相談してください。
メールやインターネットは、現代においては非常に便利なツールです。利用を制約するだけではなく、上手に活用させることが大切です。会社としては、不適切な使用については処罰するとともに、不適切な使用例を紹介するなどして、適切な使用に関する啓発活動を積み重ねてください。
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