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食品リサイクル法は、「売れ残り」や「調理くず」など食品廃棄物の減少を目指し、食品循環資源の有効利用を促進するために2001年5月に施行されました。ただ、食品廃棄物の「発生抑制20%達成」という最終目標年度が06年になっているので、今年になって慌てて検討をはじめる事業者も多いようです。06年度中に20%の目標を達成しないと罰則が適用されることもあります。
食品リサイクル法では、すべての事業者が20%の目標を達成するように義務付けられていますが、実際に罰則が適用されるのは「年間の食品廃棄物等が100トン以上発生する食品関連事業者」だけです。20%達成できないなど、排出抑制が著しく不十分だった場合には、勧告(必要な措置をとるように勧告)→公表(勧告に従わなかったときに企業名等を公表)→命令(勧告通り行うように命令)→罰則(命令に違反した者に50万円以下の罰金)といった順序で処分が下されます。
廃棄量の多い事業所を集中的に
大手企業の場合は、廃棄物を抑制するという社会的使命を果たす責任もありますし、当然法律違反に問われることになるので、積極的に取り組む必要があります。
中小企業についても、100トン以上の廃棄物が発生しないからといって、何もしなくてよいということではありません。どこかに申告する必要はありませんが、廃棄物の発生量や再生利用量等については、01年度より最低1年単位で記録しておくことが義務付けられています。さらに、算出等の基礎となる資料も同時に整理しておかなければなりません。こうした実施状況は、農政局や農政事務所等が調査・点検を行うことになっています。ただし行政側も、中小企業より大企業優先で指導していくことになるでしょう。
年間100トンというと、実働日数が200日であれば、1日0.5トンになります。ただし1事業所あるいは1工場単位ではなく、事業者全体で年間100トンですから、5事業所あれば1事業所あたり平均1日0.1トン以上廃棄物が発生する場合ということです。
では、年間の廃棄物の量をどうやって算出するのかというと、例えば「廃棄物の入ったポリバケツの重さをいくつか計量し平均値を出す。そして1日あたりのポリバケツの数量を掛ける」といった方法があります。
削減対象も1事業所あたりではなく、事業者全体で20%を達成すればよいということです。事業者全体で100トン発生するのであれば、全体で20トン抑制するということです。全事業所で均等に20%削減するより、できるだけ発生量の多い事業所で集中的に実行したほうが、効果的であり達成しやすいでしょう。
排出抑制には「発生の抑制」「再生利用」「減量」がありますが、優先順位は、以下の通りです。
1. |
生産・流通過程の工夫などで、廃棄物の発生を抑制すること。 |
2. |
どうしても発生する廃棄物を、肥料や飼料、油脂及び油脂製品、メタンに再生利用する。 |
3. |
再生利用できない廃棄物を、脱水、乾燥、発酵または炭化により減量する。 |
抑制量の基準とする年度は、発生の抑制の場合は、01年度でも06年度の発生量でも構いませんが、再生利用と減量は単年度となります。
なお、今後毎年、前年度に対し20%抑制しなさいということではありません。今年度中に20%の目標を達成した後は、さらに数年間で何%達成という目標を掲げるのか、そのまま維持するのか、現在国で検討中です。
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