Q&A経営相談室
【税  制】
平成18年度「設備投資関連」の税制改正
 
Q:
 今年度の税制改正でIT投資促進税制が廃止され、新たに情報基盤強化税制が創設されたと聞いています。情報基盤強化税制について詳しい内容を教えてください。(機械部品メーカー)
 
<回答者>税理士 石岡正行

A:
 平成18年度の税制改正は、「新しい時代の架け橋となるもの」という認識のもとで、「国民生活における安心・安全の確保、企業の国際競争力の強化や中小企業の経営の活性化、地方分権の推進等の視点を踏まえて行う」とされています。このうち中小企業に直接関係する改正項目としては、「IT投資促進税制等の廃止」と「情報基盤強化税制の創設」などが注目されます。
  IT投資促進税制(情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は税額特別控除)及び開発研究用設備の特別償却制度が、平成18年3月31日で廃止されます。IT投資促進税制に該当する機器の取得等の予定がある中小企業は、3月31日までに行わなければ特別償却等ができなくなるので、注意が必要です。
  対象となる情報通信機器等とは、新品で取得し、又は制作した次(1.〜9.)の情報機器等で、合計額が140万円以上、ソフトウェア70万円以上のものとされています。
 1.電子計算機及び附属設備
 2.デジタル複写機及び附属設備
 3.ファクシミリ及び附属設備
 4.ITカード利用設備及び附属設備
 5.デジタル放送受信設備
 6.インターネット電話設備及び附属設備
 7.ルーター又はスイッチ及び附属設備
 8.デジタル回線接続装置
 9.ソフトウェア
 以上の情報機器等を事業の用に供した年分において、その取得価額の50%相当額の特別償却か取得価額の10%相当額の税額控除を選択できます。

情報基盤強化税制の創設

 IT投資促進税制は景気対策的な色彩が強く、パソコンやファックスなどのIT関連でしたが、今回創設される情報基盤強化税制は企業の国際競争力の強化が目的で、企業が顧客と即時に情報をやりとりできる通信網の構築、顧客の要請に応じて商品を発送するシステムなどを想定しています。
  対象となる設備は、「ISO/IEC15408」に基づいて評価・認証を受けた次(1.〜3.)のソフトウェア等で、年間投資額が資本金1億円以下の法人については300万円以上(資本金1億円超10億円以下の法人は3000万円以上)です。
1. OS及びこれと同時に設置されるサーバー
2. データベース管理ソフトウェア及びこれと同時に設置されるアプリケーションソフトウェア
3. ファイアーウォール(組織内のコンピュータネットワークへ外部から侵入されることを防ぐシステムで、1.又は2.と同時に取得)

 平成18年4月から国内にある事業の用に供した場合には、その設備等の取得価額の10%相当額の税額控除と50%相当額の特別償却との選択適用ができます。2年間の時限措置として創設されました。
 また、資本金1億円以下の法人は、リース費用が420万円以上のリース資産を賃借した場合には、リース資産の総額の60%相当額について10%相当額の税額控除ができます。ただし、当期の法人税額の20%相当額を超える場合1年間の繰り越しができるようになっています。
 一方、「中小企業の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」に関しては、その適用を2年間延長することになりました。が、その事業年度に取得した少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円を超える部分に関しては対象から除外されることになりました。

提供:株式会社TKC(2006年2月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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