Q&A経営相談室
【税  務】
平成17年分の確定申告のポイント
 
Q:
 平成17年分の確定申告の時期になりました。税法の主な改正ポイントについて教えてください。(物流業)
 
<回答者>TKCシステム開発研究所 小島 圭

A:
 確定申告の時期が近づいてきました。そこで、平成17年分の所得税確定申告に備え、税法改正のポイントについて解説します。

社会保険料控除の改正

1.国民年金の控除証明書が必要に
 平成17年分以後の所得税では、国民年金保険料について社会保険料控除を受ける場合は、確定申告の際に『社会保険料(国民年金保険料)控除証明書』を添付することとされました。
 平成16年分までの確定申告では社会保険料控除は支払った金額を確定申告書に記載するだけで控除を受けられましたが、平成17年分からは社会保険庁から11月上旬に送付された『社会保険料(国民年金保険料)控除証明書』の添付が必要になります。
 ただし、年末調整ですでに国民年金保険料について社会保険料控除を受けた人が、医療費控除の還付申告などのために確定申告書を提出する場合は、『給与所得の源泉徴収票』を添付することで控除を受けられますので、改めて控除証明書を提出する必要はありません。
2.家族の分の控除証明書も必要
 生計を一にする家族の国民年金保険料を支払った場合にも支払者本人の所得から社会保険料控除を差し引くことができますが、この場合家族の分の控除証明書が必要になります。例えば大学生の子供が就学のため親元を離れて暮らしているような場合、控除証明書は被保険者(子供宛)に送付されますので、注意が必要です。

その他の改正事項

 他にも、昨年と大きく変わる確定申告のポイントとして以下のものがあります。
1.老年者控除(50万円)の廃止
 年齢65歳以上で合計所得金額が1000万円以下の場合に受けられた老年者控除が、平成16年で廃止されました。
 老年者控除の廃止で気を付けるべきことは、今回の改正に併せて、寡夫(婦)控除の適用要件である「老年者に該当しない人」がなくなったことです。つまり、平成16年分まで老年者控除を受けていた人が、平成17年分以後は寡夫(婦)に該当する場合は寡夫(婦)控除を受けられますので、注意が必要です。
2.年齢65歳以上の人の「公的年金等控除額」の縮小
 年齢65歳以上の人の公的年金等に係る雑所得の計算上、公的年金の収入金額から差し引かれる「公的年金等控除額」が縮小されました。このため、年齢65歳以上の人については、年金収入が平成16年分と同水準であっても、課税対象の所得金額は多くなります。
 さらに、上記1.の老年者控除の廃止の影響もあるため、年齢65歳以上の方の平成17年分の所得税の負担は平成16年分よりも大きくなります。また、昨年まで所得税がかからなかった人であっても、本年から所得税がかかる場合があります。
 以上、平成17年分の確定申告のポイントを紹介してきましたが、より詳しい説明や具体的な申告手続きについては、最寄りのTKC会員税理士や税務署にご相談ください。または、国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp/)にも詳細な情報が掲載されています。

提供:株式会社TKC(2006年1月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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