Q&A経営相談室
【マーケティング】
中小商店でも電子マネーを導入できるか
 
Q:
 「Suica」や「Edy」などといった電子マネーがいま話題ですが、当社のような中小小売業でも導入することは可能なのでしょうか。可能であればその方法をお聞かせください。(酒類卸・小売店)
 
<回答者>MM総研 研究員 山岸耕太

A:
 JR東日本が行っている「Suica」も、ビットワレットが行っている「Edy」も、ソニーが開発した「フェリカ」という非接触型ICカード技術を使っています。
  「フェリカ」を利用したサービスには、プリペイド式電子マネー「Edy」や定期券やイオカードとして利用できる「Suica」のほか、JR西日本の「ICOCA」、関西の私鉄、バスなどで利用できる「PiTaPa」などがあります。さらに「フェリカ」は、社員証や学生証、会員証やポイントカードとして使われており、勤怠管理などとも連動して使用されるケースもあります。また利用地域も日本だけにとどまらず、香港の地下鉄やシンガポール、インドなどアジアを中心に拡大しています。
 このように拡大している「フェリカ」の中小小売店による導入ですが、結論は可能といえます。ソニーとしても積極的に「フェリカ」の拡大を目指しており、より低価格で「フェリカ」を利用できる「フェリカポケット」というアプリケーションソフトを開発しました。これにより、事業者が対応端末などを購入することで、ポイントカードやクーポン、会員証やチケットなどのサービスを「フェリカ」で実現できます。また、法律(プリペイドカード法など)の範囲内で電子マネーとしても使用できます。この「フェリカポケット」の対応端末は、5〜7万円程度で、その他にアプリケーション設定カードの購入が必要ですが、トータル10万円以下で対応可能です。

中小でも「Edy」導入は可能

 既存サービスである「Suica」や「Edy」の導入については、提供するビットワレットが店舗の規模の大小に関わらず「Edy」の使える場所を増やしていく方針でいます。中小の小売店や商店街などで「Edy」の対応を進めるために、低コストで「Edy」を導入できるソリューション(Edy Network SDK)を、夏ごろを目処に提供すると、今年3月に発表しています。これにより、Windows搭載端末を利用し、ADSL回線や光ファイバー回線でブロードバンド環境が整っている店舗は、少ない導入コストで「Edy」の加盟店端末を導入できる予定です。
 一方、「Suica」についてですが、現状では中小小売店が導入することは難しいようです。JR東日本では「Suica」の利用を電車に乗るだけでなく、「Edy」と同じように商品の購入にも対応できる電子マネーとしての展開を進めていますが、現在は、首都圏と仙台エリアの駅構内や駅周辺の大規模店舗やチェーン店の一部だけで利用できるという段階です。JR東日本の話では、「店舗の規模による基準は設けておらず個別の話し合いになる」とのことですが、現状では中小の小売店が自社で「Suica」を導入している例はありません。ただ、「モバイルSuica」が2006年1月にスタートしますので、それまでに状況が変わっている可能性もあります。いずれにせよ、まだ具体的な方向性は見えていませんが、「Suica」についても今後、利用できる店舗は拡大していくと思います。それにより、個人商店であっても導入できるようになるかもしれません。
 2004年7月にはNTTドコモがiモードフェリカ対応携帯電話(おサイフケータイ)の販売を開始し、注目を集めました。昨年の12月には100万台を突破しています。今年秋には、auとボーダフォンも「フェリカ」対応の携帯電話を発売する予定です。今年度から来年度にかけて、「フェリカ」の利用場所、利用可能端末とも拡大していくので、今後も一層の注目が必要でしょう。

提供:株式会社TKC(2005年5月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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