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ご質問者の会社の営業体質が、成約結果がすべてであって、途中プロセスなど関係ないのだと考えているのなら、あるいは新人営業マンに根性論、精神論だけを叩き込んで、まずは飛び込んで断りのめったうちを受けてこいという教育だけをやって、それが一番正しいと信じている企業なら、新人営業マンの成約率をアップさせることはできません。
旧来の非科学的な営業スタイルをトレースするしかなく、いわば営業マン個人の「育ち」に待つしか方法はないのです。この方法は、営業マンの個人資質に依存する方法であって、御社の業界営業に向いた人間を集める方法が良く、採用時点での課題になります。
しかし、経営者が新たな顧客創造、顧客維持、顧客育成施策を通じて売上を上げる仕組みを構築し、営業改革を実現していきたい、営業活動を営業マン個人の暗黙知から企業の形式知に変えていきたい、営業活動をブラックボックスからホワイトボックスに導き出したいと考えているのなら、その実現のために経営者自身が営業改革に対する新しい考えを持たなければいけません。
その考えというのは、これまでブラックボックスにあって営業マン個人の暗黙知に依存した営業プロセスを数値化し、可視化することで白日の下に晒し出し、新たにプロセスを組み直して営業マンに徹底指導する、営業改革を導入するということです。
営業改革はいま企業ではブームになっています。多くの企業が営業プロセスを改善しようとしています。
私が言っているのは、その流れに乗りなさいという提案です。
営業改革の目的を明確にする
しかし、気を付けなければいけないことがたくさんあります。多くのIT会社が営業改革を旗印にして、システム導入のセールスをかけていますが、残念なことにIT会社ができる領域はマーケッターの我々から見ると極めて小さいことです。良く見受けられるのが営業マンの時間管理をして、社内にいる時間が長すぎるとか、接客時間が短すぎるといった行動管理で、これを営業改革といっていることです。
結果として、生産性の上がった余剰時間をもっと働けと指導し、余剰時間を余剰工数に置き換えて、何人の削減が可能であるという方向に進んでいるようです。
本来営業改革とは、営業プロセスの質を高め、営業マンの誰もが新人であろうとベテランであろうと、売上を上げる仕組みに則って営業プロセスを展開し、成約率を高める活動のはずです。営業マンの数を減らす活動に終始するのではなく、まず営業改革の目的を経営者自身が明確に確立しておかないといけません。
一般に企業は初回訪問から見積書を提出するまでのプロセスを「業務プロセス」と言っていますが、その延長上に契約地点はありません。
成約にたどり着くためには、業務プロセスだけではなく関係構築プロセスを進捗させなければならず、関係構築プロセスを御社の業態に合わせて定義し、プロセスをつくり、それを営業マンに徹底する作業が必要になります。
新人営業マンを教育し、成約率を高めるには、こうした営業プロセスを社内に確立して、そこを徹底することが一番早い方法です。理想的には新たに売上を上げる仕組みを構築して営業マンに教え込むことが営業改革の第一歩であり、新人営業マンの成約率を高める一番の早道なのです。
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