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外貨預金の金利は、定期預金の金利よりもずっと高いため、一見多くの利息を受けとることができる有利な金融商品と思われています。しかし定期預金にはない留意点があることを忘れてはなりません。外貨預金を始めるにあたっては、以下の点に注意してください。
1. 外貨預金は通常金利と為替に配慮して選定すること
円を売って外貨を買い(円を米ドルなどの外貨に換えて)、その外貨を預金する外貨預金は現在、一般的な円建て預金の金利に比べだいぶ高くなっています。つまり高い利子が得られる可能性があるわけです。また、払戻し時に為替相場がドル高・円安に振れていれば「為替差益」が発生し、外貨預金の利子プラス為替差益も得られます。ただし逆にドル安・円高に振れていれば「為替差損」が生じて、金利の高さを考慮しても元本割れが生ずる場合があります。外貨預金はすなわちハイリスク・ハイリターンの金融商品といえるのです。金利も為替相場も日々変化するため、その動向を見極めながら選定する必要があります。
2. 安全性と収益性を見極めて選定することが重要
リスクを最小限にとどめるには、以下のようなリスクヘッジ(回避)法があります。安全性と収益性の両面を考慮しながら、こうしたヘッジ策を選択することが重要となります。
(1)先物予約:払戻し時の円貨転換レートが先物相場であらかじめ決められる先物予測は、預金の実質利回りを確定することになり、為替リスクを回避できます。ただし将来得られるであろう為替差益を失うことになります。
(2)オプション予約:オプション予約とは、外貨預金設定時に先物予約を実行するか否かの選択権(オプション)が付与されたもので、預金者の予測どおりに為替相場が動けば権利を行使し、逆に意に反したならば権利を放棄できます。ただしオプション料が必要です。
3. 外貨預金はペイオフの保護対象にはならない
ペイオフが解禁拡大される今年4月以降はもちろん、現在も預金保険対象外であるため全くペイオフで保護されません。そのため、外貨預金の預入先は経営基盤が強固で格付け機関の評価が高いなど経営破綻懸念のない銀行を預金先に選ぶべきです。
結果については自己責任で
外貨預金は、海外の高額製品の購入や海外旅行などを頻繁に行う中小企業やそのオーナー、あるいは輸入品の支払いを外貨で決済することの多い輸入業者などにとっては、為替リスクの回避のために有効です。とはいえ、自己責任の気持を常に持っておくことが必要です。先述した通り、外貨預金の収益性は金利と為替相場の変動により大きく左右されるからです。金利と為替相場がどう変動するかは誰も正確には予測できません。金利と為替相場の変動による結果については、あくまで自己責任の気持を持っておかなければならないのです。
最後に税金について述べます。先物予約付きの場合、払戻し時に利息プラス為替差益に対して20%の源泉分離課税が適用されるので注意してください。オープン(先物予約なし)の場合については、利息は20%の源泉分離課税で為替差益は雑所得となり、総合課税が適用されます。なお、年収2000万円以下の給与所得者については、為替差益を含めた給与所得以外の他の所得の合計が20万円以下の場合、確定申告は不要とされています。
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