Q&A経営相談室
【マーケティング】
小口輸入を行う際の留意点
 
Q:
 「品揃え充実のために小口輸入を始めたいのですが、まず何から始め、どんなことに注意すればいいのでしょうか。(雑貨小売店経営)
 
<回答者> 中小企業総合事業団 国際化支援アドバイザー 奥村 稔

A:
 消費生活のグローバル化が進んで海外の商品は誰でも手軽に手に入るようになりましたが、その反面、ビジネスとして成功するにはそれなりの「計画と準備」が必要です。「何から始めればよいか」を以下、3つの「どんな…」を切り口にして説明していきます。

どんな商品を見つけたいか…得意分野に絞る

 いうまでもなく、まず第一には売れそうな海外商品を見つけることが必要ですが、一番大事なことは今までの営業を通じて熟知し、得意とする分野に絞って探し始めることです。というのは、マーケット知識が豊富な分野は、商品センスや選択眼も確かですし、競合他社との商戦になった時でも訴求点や差別化の戦略を自信を持って打ち出せるからです。
 それに経験のある分野なら、贔屓やターゲットとする顧客のデータをもとにして、その商品を見ただけで売れるか売れないかの判断が働き、同様に値づけに際しても適正な「売れ筋価格」を付けることが出来るなど、成功の確率が高くなります。

どんな方法で売れ筋商品を見つけるか…幅広くソースを求める

 日本国内で手っ取り早く見つけるには、一番のお薦めは見本市を訪れることです。見本市では一般に多くの外国業者も出展しているので、その場で外国業者との具体的な商談を行うことも可能です。
 またインターネットで海外業者の売り込み商品情報を検索することも有力な方法でしょう。そのほか、各種海外商品情報誌で商品を見つけて相手先に連絡をとったり、在日大使館で業者の紹介を受けて商品カタログを取り寄せる方法もあります。
 とはいえ一番望ましいのは、直接海外の見本市に足を運ぶことです。各国の商品を比べながら具体的な見本を前にして商談することで交渉を効率的に進めることができます。ブランド品の場合は、既に国内で流通販売されている商品でも「並行輸入」という手段で扱うことも可能になります。
 海外の通販会社から仕入れる「メールオーダー」は、直輸入のように廉価で手に入るわけではないので、ビジネスとしてはあまりお薦めできません。
 一般に、海外雑貨の売れ筋要件としては 1.ユニークさ 2.デザイン・色 3.便利性 4.高質で割安 5.民族色…などが考えられますので、商品発掘時の参考にしてください。

注文前にどんな点に注意すべきか…見本を入手して確認する。

 商品を見つけたら、仕様、価格、納期等について自分の考えを海外業者に伝え、交渉に入ります。その時サンプルも取り寄せて仕上げの程度や材質など、思い通りの商品かどうか、実際に手にとって確認することが大変重要です。見本入手は、その輸入商品の法的規制の有無をあらかじめ知り対処する上でも役立ちます。関税定率法・外為法による輸入禁止品目、割当て品目や国内法による輸入規制(食品衛生法、薬事法、電波法、植物防疫法、火薬類取締法、銃刀類所持等取締法、表示法、取り扱い免許等)に合致していないと輸入許可がでませんので、細心のチェックが必要です。
 また、輸入採算についても見本の入手を機会に確認しておくことが大切でしょう。商品代金のほかに海外からお店までの諸経費(海外輸送費、関税、輸送保険料、消費税、通関料、国内運賃)、それに販売諸経費などが上乗せされますので、価格からそれらのコストを差し引いて尚十分な利益がでるかどうかをあらかじめ確認しておきたいものです。

提供:株式会社TKC(2004年7月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
戻る ▲ ページトップへ戻る