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ネットリサーチはここ数年間で、急速にその利用が進んできています。その理由としては、1.スピードやコストの安さなど手軽に調査が実施できる、2.画像や音声などの素材の提示を必要とする調査が容易である、3.出現率が低く他のリサーチ手法では捉えづらいレアターゲットに対する調査が可能、4.画像や動画などの素材を提示してそれについて答えてもらうような調査が実施しやすい、等があげられます。
さて、ネットリサーチを実施する場合、ネットリサーチ会社に依頼するケースが多いと思います。そこで、依頼するネットリサーチ会社を選定する場合の注意点や、収集した調査データを解釈する場合に注意すべきポイントを解説していきたいと思います。
リサーチ会社の選定ポイント
まず、ネットリサーチ会社選定のポイントとしては、以下の3点があげられます。
(1)モニターの管理方法はしっかりしているか?
ネットリサーチ会社のほとんどは、独自に調査モニターを抱えています。登録モニターを使う場合において最低限チェックしておきたい項目としては、「登録属性に著しく偏りがないか」「最低年に一度程度は登録情報の更新が行われているか」「モニターの募集方法は調査目的から考えて問題はないか」等です。モニターに関する公開資料を基に判断するようにしましょう。
(2)ネット技術に精通しているか?
ネットリサーチは、大量のサンプル回収が必要な場合など、アクセスが集中し、回答に時間がかかったり、データの欠損などが起こる可能性があり、ある程度余裕のあるスペックのインフラ環境が用意されているか、システムの二重化対策が十分施されているかなど、システムの堅牢性についてのチェックが必要です。
また、調査データという非常に機密性の高い情報を扱うため、システムのセキュリティ面で十分な配慮がされているのかもポイントになります。
(3)リサーチの知識は十分あるか?
ネットリサーチは単なる手段ではありません。ネットリサーチを成功させるには、リサーチ会社からの調査目的やその背景を理解した上での提案が欠かせません。日本マーケティングリサーチ協会(http://www.jmra-net.or.jp)に加盟している企業かどうかは、一つの選定の材料になると思われます。
以上の点のバランスを考えて、適切な会社を選定しましょう。なお、料金については各社、オプション代等に差があるのでしっかり見積書をとって比較してみることも必要です。
データ解釈上の注意点
次に、ネットリサーチによる調査後に得たデータの解釈上の際の注意点ですが、調査対象者はインターネット利用者が前提になるため、調査テーマによってはネット利用者特有の特徴が結果に反映される場合があるので、それを考慮してデータを見る必要があります。以下の2点には注意しましょう。
(1)デジタル・ITに関する知識が高い
インターネット利用者は、当然のことながら一般の人に比べ、パソコンおよび周辺機器の所有率・知識は高い傾向にあります。
(2)年齢層・居住地などがインターネット利用者の分布に重なる
インターネット利用者のボリュームゾーンが20〜40代・大都市の居住者であるため、回答者の分布もこれに準ずる形になります。
以上のような点を考慮して、有効なネットリサーチの活用していただければと思います。
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