基本的な枠組み
「中小企業の会計」の骨子は、以下のとおりです。
1.中小企業が行うべき事項
これまでは、税法の影響を強く受ける傾向にあった項目のうち、債権者等の信頼を得るという観点から、中小企業といえども実行すべき会計処理項目を明確にしました。例えば、減価償却については「毎期継続して、規則的な償却を行う」とし、商法上の義務を明確にしています。
2.中小企業においては任意でよいものとされる事項
企業規模による属性の違い、負担可能なコスト、決算書の目的等を考慮し、中小企業にあっては、任意で適用すればよいと考えられる事項を明らかにしました。例えば、税効果会計に係る会計基準や固定資産の減損に係る会計基準等については、基本的に任意適用としています。
3.中小企業においても行うことが望ましい事項
キャッシュ・フロー計算書や「注記事項」については、商法上の義務として求められていないものの、金融機関等の信用力を高める観点からは、作成することが望ましいとされています。
質の向上にむけた取り組み
「中小企業の会計」の公表以後、政府をはじめ中小企業団体、会計専門家、金融機関等において、その普及・定着に向けた取り組みが広がってきています。
特に、日本税理士会連合会では、「中小企業の会計」をより具体的・実務的に示す指針として「中小会社会計基準」を提示しました。そして、それに基づいて作成された決算書の事後的チェックのために「中小企業会計基準適用に関するチェック・リスト」を作成し、普及に取り組んでいます。さらに、一部の金融機関においては、顧問税理士によるこの「チェック・リスト」の添付があった場合に、債務超過であっても融資の対象とする等、入口要件や融資条件において一定のメリットを付与する金融商品の提供が始まっています。
「中小企業の会計」の入手方法
中小企業庁では、「中小企業の会計」を解説し、問答集の形にした小冊子『中小企業の会計35問35答』を広く配布しています。この小冊子をご希望の方は、中小企業庁財務課(電話03-3501-5803)までご連絡下さい。
(中小企業庁のホームページhttp://www.chusho.meti.go.jp/からのダウンロードによる入手も可能です)。