Q&A経営相談室
【賃金制度】
「401k」を簡単に導入する方法
 
Q:
 近く退職金制度を見直し、日本版401kを導入しようと考えています。その詳しい内容と手順について教えてください。(印刷業)
 
<回答者> 大同生命保険 企業保険業務部長 細田敏昭

A:
 最近、ご質問者のような、日本版401k「確定拠出年金」への関心が高まっています。同年金は、平成13年10月にスタートしたもので、昨年11月末現在で1639社に導入されています(厚生労働省調べ)。規模別では、従業員数99人以下が1001社、100〜299人が282社などとなっています。
 確定拠出年金は、掛金(拠出)が確定している年金のことです。裏返せば給付(受取額)は確定していません。DC(Defined Contribution)制度とも呼ばれます。これに対し、給付が確定しているのが「確定給付企業年金」(平成14年4月スタート)です。
 日本版401kでは、年金資産の運用は加入者自身が自己責任で行い、原則60歳以降に運用結果に応じて年金を受け取ります。そのタイプは加入対象者と掛金の負担者の違いで、「企業型」と「個人型」の2つがあります。
 企業型は、企業が実施しその従業員が加入者になるタイプで、掛金は企業が負担します。毎月の拠出限度額は、401k以外の企業年金(適格退職年金、厚生年金基金など)がある場合は1万8000円、ない場合は3万6000円。一方、個人型は、(1)自営業者と、(2)勤務先で企業型確定拠出年金や適格年金、厚生年金基金等を実施していないサラリーマンを加入対象者にしており、個人で掛金を負担(全額所得控除)します。毎月の拠出限度額は、(1)が6万8000円(国民年金基金を含む)、(2)は1万5000円です。
 確定拠出年金がここにきて注目を集めている理由は、第1に少子高齢化の進展で公的年金の給付水準などが見直されていること、第2に退職給付会計が導入されたこと、第3に企業年金の積立不足が増大していること、第4に雇用が流動化していること――に対応できる年金制度だからです。

「総合型」401kプランとは
 
 では、どうすれば確定拠出年金を導入できるのかを簡単に説明します。一般的には、まず最初に「新しい退職金制度の設計」に着手し、それに基づいて「確定拠出年金規約」を作成します。具体的には掛金の算出方法、年金の受け取り方法などを定めます。他方、運用商品の選定・提示や加入者の口座管理など制度の運営を行う「運営管理機関」と年金資産を管理する「資産管理機関」を決めます(加入者は提示された預金、保険、投資信託などからどの商品に何%かを配分)。そのうえで労働組合等の合意を取りつけて、「規約」を地方厚生局へ申請します。着手から制度がスタートするまでに6ヵ月ほどかかります
 しかし、これでは手続きが煩雑すぎて、導入意欲がそがれてしまうおそれがあります。そこで最近、各金融機関が中小企業向けに開発・提供しているのが「総合型」です。これはある会社(代表企業)が行っている企業型確定拠出年金に、別の会社が随時参加するものです。例えばA社が代表企業で、その規約に、人的なつながりなどに関係なく、印刷業B社、小売業C社などが自由に参加できるというものです。このため、単独で規約を作成する場合に比べ導入手続きが簡単なうえに、手数料も割安になるといったメリットがあります。中小企業が日本版401kを導入するにあたっては最もよい方法だと思います。

提供:株式会社TKC(2004年2月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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