Q&A経営相談室
【マーケティング】
顧客アンケートの回収率を高めるには…
 
Q:
 顧客アンケートを実施しているのですが、回収率が低いのが悩みです。回収率を上げるためにはどうすればいいでしょうか。(レストラン)
 
<回答者> 武田マネジメントシステムス 代表取締役 武田哲男

A:
 店内での顧客アンケート調査は、お客さまの店に対する「生の声」を吸い上げる有効な手段です。実際、アンケート用紙を置いている飲食店は身近によく見かけます。とはいえ、アンケート用紙に書き込んでいる人を目の当たりにすることは滅多にありません。なぜでしょうか。その理由はいろいろありますが代表的なのは、(1)店のテーブルの上にアンケート用紙を置いているだけで、まったく管理されていない、(2)店員が「アンケートにご協力してください」と積極的な呼び掛けをしていない、の2つです。回収率を上げたいのなら、まずはアンケート用紙が“かざり”ではないことを社員に徹底することが重要です。
 さらに、アンケートの設問について見直してみることも必要です。実は、「顧客の声をキャッチし、組織としてCS(顧客満足)活動に真剣に取り組もうという姿勢が伝わってくる」アンケートでなくては、お客様は本気で答えようという気になってくれません。「顧客にお誉めの言葉を書いてもらいたい」という意識が見え隠れするような設問や、アンケート調査によって何を知ろうとしているのか趣旨が不明確な設問では、「アンケートに答えても意味がない」とお客様に思われてしまうのがオチです。では、どんな設問にすればいいのでしょうか。
 もし本当にお客様の意見に耳を傾ける気持があるなら、「顧客『不』満足度調査」を実施するという視点で設問を考えてみてください。具体例を1つ紹介します。

【Q1】

日頃はどこのお店にいらっしゃってますか。以下の店名に○をつけてください。(1・A店 2・B店 3・C店…)

【Q2】

その中で2度と行きたくないお店はどこですか。また、その理由を教えてください。

【Q3】

店員のマナーや態度について不快に感じた項目に○をつけてください。(1・あいさつ 2・料理の運搬…)

【Q4】

次回も当店に来たいと思いますか。以下の中からお選びください。(1・絶対に来ない 2・来ない 3・どちらとも言えない 4・来る 5・絶対に来る)

【Q5】

クレームや要望があればお書きください。

“双方向性”をもったアンケート

 顧客の不満足度を調べるなかでわかった自店のウィークポイントについては、すぐに改善するようにしてください。それを繰り返していけば、近い将来必ずや人気店の仲間入りができるはずです。たとえアンケートにひどいことが書かれていたとしても、「それは顧客からのプレゼント・エールなのだ」という認識で受け止め、問題点の改善に取り組んでください。『顧客支持率=業績』ということを忘れてはなりません。
 さらに、クレームに関する記入があった際には、改善策を考えたうえで、アンケート記入者に電話等ですぐに報告してほしいものです。顧客の意見を求めるだけでなく、指摘されたことについてはしっかり回答するというスタンスを持って、「店と顧客との“双方向性”をもったアンケート」だということを知らしめていくことが、回収率を高めるには大事なのです。
 また、アンケートによって改善した課題を、『CSニュース』といったかたちで書面にして来店客に配る、もしくは店内に掲示しておけば、アンケートに書き込んでくれる方がますます増えるでしょう。
 通常、飲食店の場合、年間約24%の固定顧客が離脱化していますが(「武田マネジメントシステムス」調べ)、効果的な顧客アンケートの実施を通じて店の改善を図っていけば、その数字はぐっと抑えられます。ご健闘をお祈りします。

提供:株式会社TKC(2003年12月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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