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わが国経済を取り巻く環境は、長引く不況とデフレ経済の進行により依然として厳しい状況にあります。加えて、今後金融機関の不良債権処理の加速化に伴い、企業の経営環境の悪化が懸念されています。とりわけ、わが国経済を支える中小企業は極めて数が多く、業種・業態も多種多様。各々地域の実情に応じた再生の課題を抱えるなど地域性が強くなっています。従って、中小企業の再生支援に取組むに当たっては、このような特性を踏まえて柔軟に対応するとともに、多種多様な経営上の課題に対して、きめ細かに対応していくことが不可欠となります。
このため政府では、過剰債務、過剰設備といった課題だけでなく、新事業展開、販路開拓、セーフティネット金融、倒産防止対策など幅広い施策が活用可能となる仕組みが必要であるとの観点から、平成14年度補正予算において、経済産業大臣から各地域の商工会議所等の支援機関が、再生支援のための「中小企業再生支援協議会」設置の受託を請け、中小企業の事業再生支援を行うことにより、雇用の確保および地域経済の振興を図ることになりました。
主力銀行の支援が絶対条件
協議会において対象となる中小企業とは、地域において重要な役割を果たしている中小企業であって、経済団体、金融機関等多くの地域の関係者の協力を得て、自主的に再生可能な企業です。
具体的には、財務上の問題を抱えている、もしくは抱える懸念のある企業で1.事業の将来性の見通しの明確化が可能であり 2.再生の実現性が高いが比較的多数の関係者の調整に困難があり
3.取引の主力銀行において再生の理解を得ることが可能な企業などです。
協議会は、商工会議所・商工会等地域経済団体、政策金融機関(商工組合中央金庫、中小企業金融公庫、国民生活金融公庫等)、信用保証協会、地域金融機関(銀行協会・信用金庫協会等)、地域弁護士会・中小企業診断士協会・公認会計士協会・税理士会等の地域関係機関を代表する委員で構成される(1)「全体会議」と、中小企業の再生支援の専門家(金融機関出身者、弁護士、公認会計士、中小企業診断士等)である支援業務責任者とそれを補佐する窓口専門家の2名を配置し、個別案件についての窓口相談を行う(2)「支援業務部門」で構成されます。
協議会は、再生支援を行う企業が関係する金融機関(主力金融機関、政策金融機関等)に対して、金融支援を義務づける権限はなく、あくまでも中小企業が自主的に再生を図るための支援にとどまります。
具体的にはまず、財務状況(決算書、借入金明細)、会社概況等を文書で提出していただきます。次に面談の上、再生可能性ありとなった場合は、会社了解のもと、主力銀行にヒアリングを行い、支援の意向を確認します。さらに支援が可能となれば支援チームを組織し、不動産売却、営業譲渡、会社分割などの再生のための施策を盛り込んだ経営改善計画の策定を行います。その上でリスケ等について債権者への理解を求めます。かりに銀行の支援や債権者の理解が得られなかったりした場合は、法的再建に向けて弁護士などを紹介することもあります。ここで注意していただきたいのは、当協議会では新規融資の紹介などの資金繰り対策を行うところではありません。あくまでも財務内容を立て直し、健全な企業をつくるための取り組みであることをご理解いただきたいと思います。ちなみに東京都においては、東京商工会議所本部1階に当協議会の相談コーナーを設け、多くの企業さんの相談に応じています。
【相談窓口】TEL:03-3283-7425
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