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外食産業はアルバイトを多く使うマニュアル運営で店の数を競ってきました。そうした積極姿勢の多くは消えていってしまいました。アルバイトを多く使った経営は収益力の向上には結びつかなかったのです。
その最も大きな理由は、アルバイトをマニュアルどおりに使う店舗運営では、ノウハウが蓄積できなかったからです。顧客から最も離れた位置にある本部の作った作業手順書では、そつなく進めることができても、心をつかむことはできませんでした。
飲食店で究極の繁盛店をつくりたければ、目指すのはとんかつだけ、パスタだけなどの一品料理店です。それには、他店では出せない味、他店では味わえないもてなしができなければなりません。ご質問のお店もこうした専門料理店を目指していらっしゃるようです。売れていない店ほどメニューの数が多いものです。でも、どの料理もろくなものではありません。
ご夫婦でやってこられて、初めて人を使うときほど勇気のいる決断はありません。家族であれば、資金繰りの苦しいときには給料を我慢することもできます。しかし、他人には約束した額をキチッと払わなければならないからです。けれど、今は大きく立派なレストランも、みんなそれを乗りこえてきたのです。
4つのポイント
繁盛店にするためのアルバイトの使い方には、いくつかのポイントがあります。
1.使おうとするな、使われようとせよ……人が最も高い能力を発揮するのは、仕事を楽しいと感じられる時です。また、誰も他人に指示をされながら働きたいと思っている人はいません。外食産業がダメになった大きな原因の一つにマニュアル経営が挙げられます。頭を使わず手足だけを動かさせるやり方はうまくいかなかったのです。“使おうとするな”とは、いちいち細かな指図はするなということです。また“使われようとせよ”とは、仕事を楽しんでもらうために店主として何をなすべきか考えることです。
2.加点主義を実践しよう……儲かっていない店に限ってトイレやバックヤードなどに、あれはするな、これはダメという張り紙が目につきます。お客も店員も程度の低いマナー知らず、といっているようなものです。これではファンになる客もできないし、店員も働こうとしません。そうではなく、あなたの笑顔は素敵だった。君の料理を出すタイミングは最高。むし暑い日に食欲が出る酸味をきかせたドレッシングはグッドなど、プラス面に目をむけるようにしましょう。
3.高い報酬をだそう……アルバイト料は他店との相場だけに目をむけて決めてはいけません。質の高い仕事には、それに応える高い報酬を支払うことが大切です。具体的には、加点項目をメモしておき、素敵な笑顔に500円プラス。お客様の好みを知った特別メニューに300円プラスと時間給に加えていきます。月にすれば、一人1000円か2000円のことですが、認められることは、能力向上の大きな動機づけとなります。
4.アルバイトの両親の信頼を得ること……実際にあった話です。子どものアルバイト先を母親が訪ねてきました。そして初対面の店主に深々と頭を下げ「無表情だった娘が明るく挨拶ができるようになりました」と。母親は、そのお礼を言いに来店したのでした。アルバイトの高校生や大学生の後ろには、その子達を大切に育ててきた両親がいます。その大切な子を預かるのだから、自分が親になったつもりで、ときにはやさしく、またときには、お客さまからお金をいただくことの意味を教えなければなりません。
以上の4点を実践すれば、繁盛店へと導くことができると思います。
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