A: インターネットの普及とともに、ビジネスでもプライベートでも、Eメール(電子メール)はコミュニケーションの中枢を占めるようになりました。そのEメールを活用したマーケティングは、「Eメールマーケティング」と呼ばれ、いま、もっとも注目されているマーケティング手法です。
消費者の積極的なアクセスがあってこそ成立するホームページに対し、Eメールは、1人ひとりの受信トレイに届けられます。もともと受信トレイはプライベートな空間。親友や恋人からのEメールが届く場所なのですから、まさに『個人の部屋』です。そのような個人的な空間でコミュニケートをおこなうので、メッセージの到達度は他の媒体に比べて極めて高いと言えます。
ところで、Eメールマーケティングというのは「メールマガジン(メルマガ)」のことを指すと思っている方が少なくないようです。2001年6月の小泉内閣メルマガ創刊に触発されてメルマガ発行を始めた会社も多かったので、さらに「Eメールマーケティング」イコール「メルマガ」という印象が深まったのかも知れません。
しかし、じつは「メルマガ」というのは、Eメールがもつマーケティング機能のほんの一部でしかありません。
Eメールによるマーケティングの本質はコミュニケーションです。この基本ポイントを抑えておけば、メルマガ以外でも十分効果的なマーケティングを実践することができます。
例えば来店したお客様に、次回から特別割引などの特典を与える会員化サービスを行うとします。登録の際にEメールアドレスを記入してもらえば、後日「先日はご来店ありがとうございました」とお礼のEメールを送信することができます。これだけでも価値のあるコミュニケーションです。また「Eメール会員限定で、今日から1週間、特別割引おこないます」といったサービスを提供することで、さらにリレーション(関係)を高めることができます。
本人の同意を得る
ところでEメールマーケティングを実践するにあたり、守らなければならない大原則がひとつあります。それは、消費者に商業ベースのEメールを送信する場合は、事前に本人の同意を得ておくということです。携帯メールで「迷惑メール」が社会問題化したのは記憶に新しいところですが、問題となった理由は、本人の許諾を得ずに送信しているからです。そのメール受信は消費者がコスト負担するわけですから、当然といえば当然です。これは携帯メールばかりでなくパソコンのEメールも同じです。
総務省および経済産業省は今年7月1日、それぞれ迷惑メールの対策法を施行しました。いずれも本人の許諾を得ていなければ、未承諾の広告である旨の定められた表記を盛り込まなければならない、というものです。大切なのは、まず本人の同意を得てからコミュニケートするということです。先に挙げた会員登録の場合で言えば、申込用紙に「会員限定の割引や特典をEメールでお送りしてもよろしいですか?」という項目を設け、本人の意思でチェックしてもらうことで同意を得るようにします。
さて、消費者本人の同意を得てから、Eメールでリレーション(関係)を高めていくわけですが、1人ひとりに対応するにはコストがかかります。そのあたりをすべてシステム化し、来店のお礼メールや、次回来店を促すフォローメールなどを自動化したサービスもあります。また、単純にメルマガのサービスを提供する会社も多くありますので、比較検討するのがいいでしょう。
Eメールマーケティングで成功するには、いままでのようなマスマーケティングとは異なり、1人ひとりとコミュニケートするような気持ちで接することが必要です。
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