第5次医療法改正にともなって医療法人制度は、新たな類型として社会医療法人、基金拠出型法人が創設されるとともに、今後の医療法人の方向性を示す改革となりました。今医療法人制度改革では医療法人の「非営利性の徹底」「公益性の確立」「効率性の向上」「透明性の確保」「安定した医業経営の実現」を図る観点から、
(1)解散時の残余財産の帰属先の制限
(2)医療法人の附帯業務の拡大
(3)医療法人のガバナンスの強化
(4)社会医療法人制度の創設
を中心とした見直しが行われました。
また、医療法第40条の2において医療法人の果たすべき役割を定義づけしたことも注目に値する点といえます。
既存医療法人が持分なしの医療法人へ移行するのか、あるいは現行のままでゆくのか、その判断は難しく、まずは制度そのものの理解が欠かせません。
医療法人制度改革 5つのキーワード
【非営利性の徹底】
●社団医療法人の持分の解消(「事実上の配当」を厳しく抑制)
●監事業務の権限強化
●基金拠出型法人を法規定
【公益性の確立】
●公益性の高い法人への移行促進
●社会医療法人の創設
●公認会計士等の監査
【効率性の向上】
●理事長要件の緩和
●理事会の役割強化、権限の明確化
【透明性の確保】
●経営情報の公開推進
●理事の同族割合の制限
●評議員会の設置
【安定した医業経営の実現】
●社会医療法人債の創設
●附帯業務の拡充
●外部監査の導入
医療法人の類型は、大きく財団と社団とに分けられ、さらに社団は持分の定めの有無によって分かれます。ただし、持分のある医療法人というのは、従来の持分あり社団医療法人と出資額限度法人となります。新法によって設立することができるのは財団医療法人または持分のない医療法人に限定されます。
【新法により設立できる医療法人】
●社会医療法人(医療法第42条の2により設立)
●特定医療法人(租税特別措置法第67条の2第1項で規定)
●基金拠出型法人(医療法施行規則第30条の37、第30条の38で規定)
【経過措置型医療法人】
●出資額限度法人
●持分あり医療法人
※特別医療法人については改正法附則第8条において5年間存続するとしています。
ここに注意
平成19年4月以降設立される医療法人は、これまでのような持分の定めのある医療法人が解散時の残余財産の帰属先を出資者にすることはできなくなります。
平成19年4月以前に設立された持分のある医療法人、出資額限度法人については、「当分の間」そのまま存続できることとなっています。